ギャグ空間というの名のバトルシーン
時は昼、新王国王都正面門にて誰も得しないというか、一人に負が集中した楽しいお遊戯会が始まった。
「聖剣抜刀『煌めけ星の光』真名解放『聖剣:エクスカリバー』!」
「聖槍擬似解放、ロンの槍偽装登録『神葬の聖槍』投射!」
「馬鹿ばっかだ!クソォ!ミギャ!?」
「し、師匠ー!!」
ヒミツは見た魔法やその術式の術理を解析、理解し応用出来る。
アーサーとモードレッドと言う王国最強のタッグを前に説教(物理)をされればさすがのヒミツも死ぬ可能性がある。
勿論彼女らも手加減するつもりだったらしいが、アーサーがヒミツにじゃれつく山田を発見したため状況は悪化、槍を持ち出される前に迷宮都市にあった冒険者ギルドの訓練場にあったものとほぼ同じものを結界として展開したはいいが、即座にモードレッドに解析され死んでも死なないと言う効果を逆手に取られ全力でぶつかられている次第である。
「心配して待って居たって言うのに…新しい女の子を、しかも若い子を、うー☆許せん!」
「父上!まるで威厳がないその姿も素敵!」
なんと言うか色々と吹っ切れている彼女らだが、勿論、節度はわきまえている。現にアーサーの攻撃は上に打ち上げるようなものであったし、モードレッドのエクスカリバーも出力は10%がいいところだ。
まあ、どちらにしろ神をも殺せる可能性を秘めた神秘で人間に斬りかかっているのだからあまり関係はないが、
「ぐぬぬ…さすがに色々とはぐらかしたり伸ばしたりすぎた…か?というかモテたこととかねぇから勝手がわからんな。」
「ふふふ、さすがに私の未来の旦那様、簡単のはやられてくれないようですね。」
「流石だぜ!」
とっさに三日月を展開したはいいもののぶっちゃけ今回のヒミツはそのリソースのほとんどをこの高度な結界を維持する事に注がれているため魔力でゴリ押しはできない、それに凄まじくわかりやすく示される愛、というか結婚を前提にしたお付き合い的な事をしたい的な欲望をはぐらかしっぱなしな上どう言う関係かわからない女性をちょっと長生きし「ウフっ?」・・・人生経験が豊富すぎて精神が人間を超えてしまっている女の子の前に出してしまったヒミツの失態といえなくは無い。
「・・・はぁ、ダメだな、腑抜けちゃあ、とりあえず答えを用意せんとな。」
背負っていた透華を抜刀、左はフリーにしておく。
「いけるか?」
『勿論!それのおかげで魔剣にまでなったんだからね…今度は優しくしてよ?お父様?』
ヒミツはトオカに確認を取りその返答にニヤリとして透華のその不可視の刀身に魔力を灯す。
まるで空中に浮き出るように青白い魔力のヤイバが形成されていくかのように見える異様な光景に一瞬立ち止まるアーサーたちであったが、彼女らの持つ直感があの剣に凄まじい力が宿ろうとしているのを感じ一気に潰そうと距離を詰め始める。
勿論、彼女らも戦士であり騎士、やれる時には目一杯、それも二人とも一度は彼に敗れているのだ色々と事情があるように見えるものの、今回の一件は詰まる所模擬戦、いや、決闘のようなルール無用の死なない殺し合いだ。
「させるわけには!」
「行かないぜ!『深淵纏』!」
深淵よりきたる叡智を記し持ち主はその精神を侵されると名高い魔書の自作写本の頁を破りその魔法効果を速攻発動させアーサーを置き去りに進むモードレッド(大人モード)、どうやら発動させたのは身体強化と自ら精神汚染をする事で身体の制限を一時的に外すもの、そして粘性を感じる泥のようなオーラは凄まじい呪いを撒き散らす攻防一体の鎧を纏う魔法、が
「遅かったな!『奔れ月光』!」
「なっ!?」
「やられましたか・・・」
迸る青白い月の聖なる力を抽出した光、たちまち邪悪なる深淵の魔法は打ち消されモードレッドの時間操作も一時的に無効化される。
「うまくいったか。」
『・・・うー、ちょっときついですね、もっと私を強化しないとこれ以上の出力は出せませんよ?』
上出来だ。と念話で返事をして剣の調子を確かめる。全くの無地、大凡その外観は市販のものより簡素で質素だが、素材や取り込んだ魔力、何よりも聖剣に勝るとも劣らない知性ある精霊の宿った刀身は大気に溶けるかのような透明度の刃先と青白い魔力によってできた葉脈のような芯の部分の美しいコントラストを描いている。
ヒミツは気を失ったモードレッドを左腕で抱えながら優雅に騎士礼をする。それにつられてアーサーもとても様になる騎士礼を見せる。
「ここで、答えを聴かせてくれるのを期待しています。もちろん、私は好きですよ?」
「はは、こんな小僧の何処がいいのだか、ま、一先ず勝負といきましょうぜ?」
すっかり幼女に戻ったモードレッドを端の方に寝かせ騎士鎧の胴体と頭の兜を脱ぎ、パーカーと手足の鎧だけという軽戦士のような格好になるヒミツ、一方アーサーは投擲にも馬上槍にも向いていない巨大でおよそ人の持てるようなものではない名槍を油断なく構え直す。
聖剣ビームや投擲され持ち主の手元に戻る槍の投射時の衝撃波や戻る際の高速移動で生じるソニックブームで吹き飛ばされていた山田がよろよろと立ち上がり、その戦いの見届け人となる。
「王国元騎士王、現キャメロット領領主アーサー・ペンドラゴン。」
彼女特有の龍にも似た絶対者の持つ魔力が高まる。
「元キャメロット衛士、現超級冒険者ヒミツ・ムカイザカ。」
反対にヒミツの魔力はより内側へ内側へと圧縮されヒミツの周辺にだけ陽炎のように纏わり付いている。
この決闘の意味など既に頭から抜け落ちて、ただ武人と武人の間にある奇妙なそれでいて重くも軽くも感じる間が続く。
その静寂を破ったのは一陣の風、それを機に魔力とは違う純粋な殺気、闘気とも言える可視化できるレベルにまでなった気迫が衝突し同時に踏み込む。
「「参る!!」」
まるでロボットアニメの格闘シーンじみた超重量と超重量とのぶつかり合い、質量に速度が乗り破壊力となった二つの人影がぶつかり手始めとばかりに空気が破裂、砂埃が爆発したのだった。




