↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やり直し魔女と欠落の竜  作者: 中村ねり
【第二章】ヒュードルにて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/28

幕間 ー1ー

(side.???)



 竜という生き物に生まれついたことを不満に思ったことはないが、良くも悪くも〝番〟という相手に縛られる生態はどうなのだろうと眉を顰めたことはある。

 おそらく竜として生まれついた者は誰であれ、一度は胸に抱く感情だろう。

 出逢えないことは苦しい。

 だが、出逢えることが幸せばかりとも限らない。

 何故ならば、そこには必ず別離が存在するからだ。


 千年を超える長い孤独を過ごすことと、至上の幸福を味わえるが、絶対にそれを手放さざるを得ない時を迎えることと。

 果たして、どちらが耐え難いのか。

 竜の数だけ答えがあって、竜の数だけ迷いがあろう。

 いずれにしても、〝番〟が理由で狂う竜は多い。

 誰とも分かち合うことのできない長い長い孤独に耐え兼ねて。

 或いは、失くした愛の重さに蝕まれて。


 竜は強い。

 けれど、竜は脆い。

 壊れるのはいつだって〝番〟のせいだ。

 

 出逢えることと、出逢えないこと。どちらが良いのか、かつて自問した答えは自分なりに見つけた。

 出逢わないことが幸せだったとは、決して思えない、と。

 たとえ己の内に、どれほどの空洞を抱えることになろうとも。

 胸に抱える珠玉がぴたりと重なり合うあの心地よさも、離れていても気配を感じるあの充足感も、出逢わなければ知り得なかった幸福だ。

 何ひとつ忘れたりはしない。

 どんな記憶も薄らいだりはしない。

 ただ、今はもうどこにも手触りがないというだけで。


〝番〟という呪いがどれほど容赦なく、そしてどれほど残酷に世界を焼き尽くすのか。

 壊れた竜だけが見る歪な世界は、案外とても、美しいものだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。