十話
街で出会った少年シルフィードと戦ったウィータは己の弱さを痛感する。
二度とそんな思いをしない為にウィータは研鑽を重ねていた。
目指すは、最強の魔術師を決める魔法試験。
シルフィードとの決着はそこで行われる。
ウィータは自身の部屋で水晶玉に手を翳して顔を顰める。
「やはり、分からない……」
自らの魔力量を知る為に、水晶玉に魔力を集めていたが、微細な量で見ることすらできずにいた。
彼は生まれつき魔力量が非常に少ない。
僅かな魔法でも魔力欠乏症を引き起こしかねない体質だった。
「どうにか、魔力量を測定しなければいけない……だけど、どうやって?」
考えあぐねる彼に一匹の白猫が擦り寄ってくる。
真っ白な毛並みに水色の瞳、首には青いリボンとアクアマリンの様な魔法石が飾られていた。
「にゃー」
思考が低迷してきた時、彼女は決まって近寄ってくる。
何かを諭す様に短く鳴いた。
「キャシー……」
ぼんやりとしていた頭はどうにもできない。
出来る事はただ一つだけだ。
ウィータはクスリと笑って頷く。
「そうだね。やってみなくちゃダメだ」
彼は立ち上がり杖を握りしめる。
ウィータは短い杖を握りしめて魔力を先端に込めて行く。
杖の先に眩い光が灯る。
一回、二回、三回目に、杖の先端はより一層輝きを増した。同時にドサッとウィータは倒れてしまう。
倒れ込んだ彼は歯を食いしばり、全身の痛みに耐える。
クラクラと眩暈が起きてしまった。
強い吐き気と喘息はまるで高熱を出した時の様な症状だ。
魔力を使い過ぎてしまい彼は、魔力欠乏症に陥ってしまう。
このまま、誰にも気づかれずにいれば、死んでしまうに違いない。だが、悲劇なんて起きなかった。
側で見守っていたキャシーが素早く近づき、彼の頭の前まで行く。
キャシーは人の言葉を喋れないが、代わりに念じる事ぐらいは出来る。
(乱れた海よ静まりたまえ、荒れ狂う空よ静まりたまえ、溢れた盃はまた満たせば良い
サースド・フィル・ソング)
詠唱を終えるとキャシーの首輪に飾られた魔法石が僅かに輝く。
キャシーはそっとウィータの頭にキスをした。
すると、うなされていたウィータは次第に落ち着きを取り戻して行く。
あっという間に魔力欠乏を抑えてしまった。
(ウィータ、がむしゃらになっていいんだよ)
キャシーの瞳がうるりと輝く。
涙が滲みかけてしまった。
大好きな彼が苦しむのを見たくない。
刺さる様な思いを抱く。
それでも、夢中になって打ち込む彼を応援したかった。
気を失うウィータを見ながらキャシーは静かに、彼の側へ寄り添う。
(大丈夫、あなたがにゃんども危ない目に遭っても、わたしが助けるにゃ)
意識を取り戻したウィータは気を失う前を思い出し、首を傾げる。だが、すぐに自身の問題について向き合っていた。
彼は何度も何度も、様々な方法で、どれ程の魔力を消費するか試してみた。
物を動かす魔法では、どれほど重い物を持てるか、また、どれだけ運び続けられるか事細かに調べて行く。
あるいはどれほど複雑な魔術を自力で扱えるか、どの様な魔術式なら使用できるか調べ続ける。
その度に彼は倒れ、命の危機に陥ってしまう。
危険に何度も飛び込むウィータをキャシーは眩い光を放ち、何度も助けていく。
あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。
どうも、あやかしの濫です。
魔力欠乏症、まだ未熟な魔法使い見習いなどがやらかす症状で、
別作品でもなっていた子もいましたね。症状が発言するととても危険ですがしっかりした魔法使い、経験ある人とかがいると、すぐに直せる症状です。まあ、なる人の方が少ないものなんですがね。
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