最後に残ったものは - 祈り捧げる
それから…4日が経って
私は縁の下ギルドに戻った。
「仕事服、用意してあるよ!」
フレアンさんにアリッサちゃんが期待し
全員が眺める中…自室で着替えたその服をお目見えする。
「くぁあわいいい…!」
シャキッとした藍色基調の服に、黄色と緑のライン
そして、特注の銀色のわっかの魔具が右腕についていた。
…あれからフラリスさんと会話できない。
”契約解除”
その言葉が重かったのか…消えちゃったのか
私には分からなかった。
私には、今のところ多彩な魔法も何もない。
残ったものは恩返しの刃と
新しく買った服だけだった。
バルドさんは、色んな割のいい仕事を巡ってる。
ギルドの警備じゃ…出会いもないと思って
お勧めしたんだ!
マッツェンダさん達は、残りたい人だけギルドに残って
探索隊の仕事を再開した。
といってもその情報は…
「できる分は、ココ(縁の下ギルド)にしか売らねぇよ!」
ふふ…
ベッチさんも生き生きして、商売を始めたんだ!
リーファさんとキャロスさんは何だか最近ラブラブ…
仕事も重荷も、私たちが出来るようになったから…
将来が楽しみ!
今本を持ちながら私を見てる…
ベラーゼ君も本格的に魔術師の勉強…
私が病院で読んでいた本たちを含めて読み始めてる。
夢の通り…国定魔術師になってくれるといいなぁ…!
体にみなぎる力で…分かるのは
諦神さんはきっと…ずっと私の中で
見守ってくれてること…死ぬまで一緒に居ようね。
フレアスヘルさんは、宣言通り飛んで行った。
フリスベルさんの事件の続報で
国が南限を領土に含む国家を支援するって書いてあったから
多分大丈夫だと思う。
フリスベルさんは国家の犯罪が元とは言え
大規模犯罪をしてしまったので終身刑…
でも、宝珠を手放したのに生きてて…!
…やっぱり…!良かった…!
ホテルのおばあさんの息子さんや孫たちは
料理の修業をしだしたらしい。
ベッチさんの呼んだ料理人の料理のほうが
喜ばれてて悔しかったんだって…!
レンさんとライラさんは
暫く貴族生活の準備をした後
本格的に動き出すって聞いた。
いつかまた、冒険に出かけるってレンさんは宣言してた。
ルーニーさん、サモーロルさん…
他にも語りたいことがいっぱいいっぱいあるけど。
私の波乱の2か月ちょっとはさっぱりケリが着いちゃった…!
でも…私はその期間に大切なものを失ってしまった。
これは、私の結末…
慧眼を使ったものに訪れる真の運命的代償
だったのかもしれない。
全てを失ったその時、ギルドに所属していたという
私の”社会的情報”を外れた
…全ての…関係も…流れ出してしまった…
諦神さん、フラリスさん、明さん…お母さん…お父さん…
他の精霊さんたち、レンさんバルドさんライラさん
……私は…やり遂げたんだよ…!
レンさん、ライラさん…
お父さん、お母さん…もう一人の私をお願い…
私はみんなの前で目を閉じ、両手を合わせて祈った。
いつか、優しい人が全員報われますように…!
心地よい風の魔法が、部屋に満ちた気がした。
また、会おうね…フラリスさん…
終わってみれば…
全てを失っても奇跡があった
これが建内 日葵という”存在の在り方”(サガ)であった。
そして、諦神
彼が日葵を身をもって救い出したことで
彼女には楔が打たれた。
彼と彼女の関係は運命的にどうやっても切り離せない。
慧眼の代償と真正面からぶつかるパラドックス…代償はそこで停止した。
それを本能的に理解したからこそ日葵は心の奥底で
過去との再会を待ち焦がれているのだ。
いつが出会う過去と未来に、それぞれの祝福を祈る。




