(…てのなか)
私は開けっ放しの窓から入り、虫を払って
窓を閉じた。
これから…この貰った力で…生きなきゃ。
今までと比べると体が重い…
けどこれが普通なんだ。
あの魔法服が凄すぎただけなんだ。
多分レベルはかなり上がってる。
「日葵!探したぞ!!」
お父さんが近付いてきて
私の頭にあったかくて大きな手が触れた。
「高熱で混乱したのかと思った…
無事でよかった…」
「お父さん私はもう大丈夫…
日凪ちゃんとお話ししたい。」
私の様子を二度見してお父さんは驚いたみたいだった。
「泣いてたのか…何か悲しいことがあったのか…?」
お父さん…それは言わないで…泣いちゃう…
(おはよ…)
ふらりすさん…起きたんだ。
(レベル…犠牲…)
私は目を閉じ、急いで問い詰める。
「フラリスさん…まさか…分かってたの!?」
「う…ん」
「ふざけないで、バカ!」
「わたしの…てのなか…」
「意味わかんない!」
思いっきりビンタしたくて堪らなかった。
精霊に実体がない事…それが悔しかった。
「もう契約解除しちゃうもん!」
…それがよぎった位。
(ま…あお…ね)
こんなこと言っても仕方がない。
何より、少し考えたら…諦神さんの選択を尊重したくなった。
フラリスさんは回復を待つことにして
日凪ちゃんの元へ向かった。
「日葵ちゃん!無事だったの!?」
食卓で明さんと共に座っていた日凪ちゃんが
見た途端走ってきた。
「無理しちゃだめだよ…?」
私が、泣き出したからだと思う。
目を瞑って、歯を食いしばって。
その前で日凪ちゃんは立ち止まっていた。
「私は…大丈夫だから。」
「何が…あったの?」
声が柔らかくて、ああ…ダメ…
”ひまり お前は何の目的でここに来た”
マーレンさんの言葉を思い出した。
私は…失ったものの為にも
常に考え続けなきゃいけないんだ。
「受けた恩を、返すために
聞いておきたいことがあるんです。」
涙は引いて、代わりに決意がみなぎる。
私はまだやらなきゃいけないことがあった…
私やるよ…みんな。
「日葵ちゃん…?」
ウェーブの付いた髪、茶色の瞳
私と同じ身長、とてもやさしそうな声。
何となく、私の中で点と点が繋がった気がした。
「もしかして…夢で私とお話ししてた?」




