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レベルアップが命取り?建内 日葵と不思議な服  作者: 和琴
リミナルハッピー - レベルアップが…命取り?
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魔女の家 - 旅の終わりに

3日目は首都から、西に進んだ。


途中森があり牧場があり

のどかな風景を進んでいくととても大きな協会が見えた。


お昼過ぎ…13時ごろの事だった。


「あれ、お父さんの仕事場!」


「あの教会はね、もう元の宗派が無くて

でもその建物は、仕事や市場

色んな事に使われてるの。

地元協会!不思議だよね!?

だから、取りまとめたり、警備を配置したり

いろいろしてるんだ。」


「そうなのね。ギルドの仕事と

少し似てるわ…」


そうだ…私のイメージしていた仕事って

そうなのかも…


「ここのあたりはそういう建物が多いんだね。

さっきから何個も見えるよ。」


「学校もあるんだ!

…」

私は、ギルドに帰るつもり。

そろそろ歳だし、もう、卒業だ。


<そこのあたり、止まって>


明さんの声を聞いて私たちは馬車を降り

家に向かった。


木漏れ日の中、少し外れの森の中

大き目の木の家が…あった。


その家の入口には、黒い服を着た女性…

明さんが風を受けて髪を靡かせ…立っていた。


…終わる。


「行こう…」


私は目の前に行き、座る。

そんな私を、ライラさんが抱きしめた。


「今から…外します。」


「波長を合わせた血で日葵ちゃんの体を包んで

精霊の力で体を満たし

精霊を完全に憑依させることで

魔力の連動を解除し、脱がします。

いいですか。」


ライラさんのその言葉に明さんが頷いたのを確認し

私は、目を閉じ

炎の宝珠に祈る。



その時、明は見た。

日葵の体から血が湧き出し、体を包んだ。

そんな中、ライラが虹色の光を日葵に注ぎ込む。

レンが水の壁を作り、無風状態を作る。


少しずつ、少しずつ…日葵の体を虹が包み

その虹が満ちたころ、緑の力が両目に灯った。


…精霊の…憑依だ。


男たちは家の中に移動していた。


周囲の血が抜けていき、

日葵が服を着る中、魔法服を持って娘の元に向かった。


家の扉を開け、窓をふさいだ部屋を空け

水晶の灯る中、木の棺を空ける。


青い閃光が走る中、手で結界を引き裂いた。


娘の息が戻る。

弱弱しく、今にも消えそうな息をつなぐため

上着を脱がせ、両手を上げさせ慎重に袖を通した。


「日凪、起きなさい!

日凪!」


直後、閃光が走る。

「光が…!魂の祝福が…!」


日葵の冒険や苦痛の塊、その果実が全て…

そのまま治療になり…

見たこともないほどの閃光。

「お願い、奇跡…」


まともに見ることも考えることも出来ない。

怖くてずっと両手を合わせ祈っていた。


「ううううう!日凪!お願い!どうか!

神様、お願い…!」


目を開けたとき、光は止み

日凪は寝たままだった。

息は弱弱しいまま、おかしいな…

あれだけさせておいて…まさか…!


「え…やだ…なんで…やだ…」

木の棺に噛みつきながら娘の手を握った。


「起きて…起きて…!起きて…!!」


そんな私の横に、日葵は居た。

すっと椅子に座る。


治癒魔法を日凪に翳し、少しでも時間を稼ごうとした時

そよ風と共に暖かいささやきが流れた。


「日凪ちゃんって言うんだね。」


私の娘が…夫の宝物が…


「私、日葵っていうの。

あなたのお母さんに助けられた。

ありがとう。

日凪ちゃん、私ね鍛冶屋で働いた時、

物を持ち上げられたりすることがうれしくって。」


「何を…。じていいるの」

ダメだ、集中を…


「その後一人でホテルに泊まって。

不安で仕方なかったけど翌日ギルドに案内してもらって。

それでね、ギルドで働き始めたの。怖いこともあったけど、毎日が楽しかった。」


「それでね、精霊フラリスさんと契約を結んでギルドにやってきた

レンさん・バルドさん・ローラさん達とも仲良くなって。」


日葵は泣いていた。

娘の息が落ち着いてきたように感じる。



「大切な師匠とも出会えたりして、

覚悟や仲間の大切さを分かったの。」


娘が微笑んだ…?

その様子に心臓が激しく拍動し、力が抜けた。


「ダンジョンに行ったときは大けがしちゃったけど、

あなたのお母さんに癒してもらえたの。

優しくて、いいお母さんだね。」


娘の目を涙が伝う。


「それはもう聞いたよ、日葵ちゃん…」


やさしくなつかしい、娘の声がした。

私は二人を押しのけ、娘を抱きしめ額を当てる。


「ううーーーううううぅぅぅ…」


「お母さん、落ち着いて?ここに居るよ…ただいま。」


思いっきり娘を抱き寄せ、背中を擦った。

頭を撫で、頬を擦り寄せる。


”よかったな…明”


「あなた!あなた…どこ!」


”ごめん…俺はもう死んでるから…”


うう…ごめん…


”これからも、幸せにな。”


そして夫は日葵を見た。


”日葵…”


「はい。」


”明も日凪も友達が居ないから、

仲良くしてやってくれ。”


「…はい。」

何を考えたのか、声を震わせながら

日葵が答えたのを境に、夫の姿が薄れる。


「お父さん…?」


「あなた!」

私たちを撫でた後、青い光と共に姿が薄れて…

ああ…消えて…しまった…


”今までありがとう。”


あなた…

あなた…

分かったわ…あなた…。

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