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レベルアップが命取り?建内 日葵と不思議な服  作者: 和琴
リミナルハッピー - レベルアップが…命取り?
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さいごのたび

「日葵、また戻って来いよ!」


「いつでも待ってるからねー!」


朝早くから起きていた数人に見送られ

私は”帰路”についた。


辛くて、辛くて、辛くて

俯いていたけど

馬車に揺られていたら

今を楽しまなきゃ損って気分になった。


馬車に乗られながら過ぎる通り、

フリスベルさんとの和解の時に

私が走り抜けた、あの道。


町の中央を過ぎ、

隣町に移動する所でライラさんから

声を掛けられた。


「日葵ちゃんも話に参加してよ…。」


つい思いにふけっちゃった…

会話していることにも気づかず、外を眺めていたみたい。


「ええ、ありがとうございます。

どんな話を…」

という間も男たちは会話を続けていたので

私は耳を傾ける。


「それでよ、俺の事をカッコいー

って言ってくれたのが

何人か居たんだぜ?

たいていレンばっかなのによ。」


確かに…?


「実際バルドは凄いよ。

純粋な戦闘力では到底及ばない。

あの巨大な混沌をぶっ飛ばしてたように

見えたから、後から考えると

あれは異常だと思うよ。」


混沌の現実世界での姿、

竜の頭を持った建物より大きい…あれを?


「そうそう、話を聞いてみたら

自分も武器を売ってるから

凄さが分かるとか

そんな感じの事を言ってたかな。

ま、分かる人には分かるって事だぜ!」


「バルドは本当に頼りになるし

レンはドジだけど…本当に

優しくて助けられるわ。

日葵ちゃんは…」


3人が私を見て、押し黙った。

…あれ?


「日葵は…頑張りすぎだぜ…」


「うん、勇者だ。

優しいね。」


「走り続ける女の子!って感じがするわよね。」


「そうですね」

うーーーー

なんかもやもやするような…。


(みんなのお友達!)

それ!

フラリスさん!


…やった!


「みんなのお友達になれて本当に良かった!」

私が笑顔でそういうとライラさんが肩を回してくれた。


「私も!」


「俺たちもだ!」


「バルドさん?」


「ん?」


「私も、武器やに勤める娘さん

知ってます。

ほら、ルーニーさんの鍛冶屋に居た…」


「ああいたな…でも同一人物じゃねえな…

俺ら、色んなギルド廻ったからよ…」


「是非、それまでのお話し聞かせてください!」

今まで自分の事に精いっぱいだった、

みんなの今までのいろんなお話し…

私、聞きたいな。


「ちょっとみんな、その前に一つだけいい?

馬車に揺られ続けるのも疲れるわ。

休憩しましょうよ、御者さんも一緒にね。」

ライラさんの提案で、昼食…間食…夕食と

細かく休憩を取りながら進むことになった。


「お、来たぞ!さっそく!」


「お店の中なんだから、静かに。」

メニューは魚のムニエル



こんなにホロホロで、独特な香りと

口に入れると弾ける謎の種…

そんな初めて食べる料理を食べながら

お馬さんの話も聞いたり、会話が弾んでいった。


「日葵」


少し小腹が満たされたころ

どこか遠い所を見る目でレンさんが

食器を置いて私を見ていることに気が付いた。


「レンさん、どうしました?」

私も食器をおいて目を見た。


貴族になったなら…

レンさんからはもうあまり会えないって

そう考えてるんだね。


にぎやかな店内が一瞬静まり返った気がするほど

色々な思い出が頭を駆け巡る。



「同じ勇者として聞かせてくれ。

どうして、あんなに親身に出来たんだ?

ひどい目に合わせた人達や

…僕たちにもさ。」


「それは…私があの人たちと話して

共感しちゃったから…かな。

私でもそうしちゃうかもしれないって

でもそれは不本意なんだろうなって。

如何にかして助けてあげたいなって。」

左腕を心臓に、右腕を顎に沿えながら続ける


「…共感か…」


ながーく話すのはあんまりかもしれない。

でも語りたくって

足を揺らしながら私は抑えられず語りだした。


「それに、私には悩んだときに

話せる親友がいて…

私を引き留めてくれる人たちがいた。

だから、生きてるんだと思う…」


一滴、涙があふれ出し、私の思いを吸い出した。

芋づる式に色んな思い出と暖かいやり取りが

私の中に…


「私は最初一人だったの。

でも助けられて、助けられて

助けられて、助けられて、

助けられて、助けられて、

助けられて、草取りして、

助けられて、助けられて、

助けられて、助けられて…」

一言一言、実際にあったことを思い浮かべた。

情景が、言葉のたびに切り替わった。

もう、止まらなかった。


「私、2か月もしなかった…その時間の中で

あんなに助けられて、恩返ししようって

思わないほうが不自然だよ。

みんなありがとう、本当にありがとうって。」


「恩返ししなきゃって、みんな幸せになって欲しいって

そしたら、辛くても苦しくても死にそうでも…

動けた…みんながずっと助けてくれた…。」


「日葵ちゃん…」

「日葵…」


「だからその後1か月ぐらいうなされても

どんなにつらくても、苦しくても

足が前を向いてた…」


だからこそ、皆に助けを求められる。


そんな私の前に差し出されたのは…

フォークに刺さったムニエルだった。


「ほら、冷めるわよ!」


私はかぶりついて、弾ける草の爽やかな香りと

ホロッホロッ触感に笑顔になった。


「おいしい~~」

私はパンと、スープと、これに夢中になった。


美味しい物っていいよね!

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