手を差し伸べたい
私は両手のひらに顔を埋めながら
フラリスさんをイメージする。
混沌の精霊か私の魂か分からないけど
もう一人の自分が精霊として徘徊している事
それを伝えないと。
彼女は私の両親と再会していない…再会出来ない。
空にいた私と同じ…
まだ明けていない夜の中、頭の中で
思考がぐるぐるしていた。
もう一人の私が楽しく振る舞っていたのは、もしかして
こうなることを最初から気付いていたから…?
「優しすぎる…!!」
(なになに、何があったの?)
「あ、あのね…」
…
…
(神霊である私から見て
日葵ちゃんと同じ考えの精霊がいたら普通はまず私に会話しに来ると思う。
それをしないってことは、きっとやることがあるか
何か考えがあってこうしてるんじゃないかな。)
精霊の視点で、もう一人の私の選択に見えるってことなんだよね。
「それでも出来ることなら普通に生活…
させてあげたいなあ…」
(じゃあさ…)
…え!?
フラリスさん…本気で言ってるの!??
(うん、覚悟はできてる?)
…出来る訳…ないよ。
…でも、でも、でも…
私が、その立場でしてもらいたいこと…
”彼女の”しあわせのために必要な条件。
”私の”しあわせのために、必要な条件。
頭の中で必死にパズルを組み立てて、妥協案を探る。
私が避けたかった提案が…否定…できない。
それでも…きっと私はこれからも笑える。
「やると思う、頼むと思う。
でも、まだ考えさせて。
気持ちが完全に落ち着くまで…」
枕をはみながら、涙を流しながら、
痛む頭で考える。
「フラリスさん、やろう。
それでもわがまま言っていい?
一緒にいてくれる?」
(日葵ちゃんが言いださない限り
私は今の日葵ちゃんから離れないよ。)
返事が歯がゆくて、枕を強くかみしめた。
…いつの間にか青い光が部屋を照らした。
そして、意味もなく叫びたい気持ちをパンと
顔を叩いて散し、立ち上がった。
…
「おはようございます!」
リーファさんのハーブティを呑みながら、
すごく機嫌が良さそうな姿を私はニコニコと眺めていた。
「あの!」
私は涙を床に零しながら、思いっきり頭を下げる。
「全てが終わっても、またここで働いてもいいですか…」
「もちろん、そうしたいなら両親と話してからね。」
「話すの…怖い。」
「大丈夫、受け入れる準備はしておくわ。
思うように行動してね。」
そうだ…生き地獄は嫌だから…
また、絶対ギルドに来るからね。
そういえば…
私は目を閉じてフラリスさんに伝えた。
「諦神さん、体力がないって…
何処か、封印場所の候補はある?」
(私が偶像にしてる祠だけど…)
あの家の前の祠?
(あれには封印機能があるの。
冥王と同じ。
ご神木に固定した物のね。)
…!!
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それでいい。
そのご神木とやらに
腕輪を通し封印を願え。
旅が終わり次第
こちらを本体とし
我は暫くの眠りに就こう。
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まって…諦神さん。
私…もっとあなたと話したかった。
まだ…
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弁えろ
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その言葉は私に言っているように聞こえなかった。
人類に言ったんだ。
日葵がいい人間だとしても
人類は必ず揺り返す。
絶望させるな…と。
(にっししし)
フラリスさんは置いておいて
諦神さんの気持ちを…
私は汲むことにした。
「リーファさん、来ました!日葵は居ますか?」
…レンさんの声が小窓からした。
「おはようございます。」
「もう起きてます。」
「日葵、魔女の家に行くんだろ!
最後にバルド、日葵と俺とライラ…
4人で旅行しようぜ!」
「はい、行きましょう!」
立ち上がり子窓越しに返した。
「分かった、馬車も大き目のものを用意するわ!」
こうして私はその朝旅立った。
この”不思議な魔法服”を着て過ごす
最後の旅路に…。




