魔女と日葵
翌朝…日葵は目を覚ます。
「おはよう…」
欠伸をしようとして肩の傷が疼いた。
あだだだだだ!
肩に傷…
今度は足が…背中が
「…あだだだだだだ!
…あだだだだだだだだだ!」
その声を聞いて、駆け寄る者がいた。
「起きたわね…」
それは魔女、明だった。
それも機械ではなく、その人本人であった。
「ここは…夢…?」
最初に見た心地よい木の家、優しい風…。
「いいえ、違うわ」
私の前に魔女明が回り込み、両頬を触られた。
「最初に言ったでしょ、
もし逃げようとしたら貴女を強制送還するって。
逃げるのは許さないわよ。」
「あれが…服の転送装置なんですね。
お迎えかなって思っちゃった…。」
そういったとき、目の前の明さんが涙ぐんでいた。
何かを思い出すように…。
「もう時間が無いの。
…急いでもらわないと貴女を殺すことになる。
魔法が…減り続けているのよ。」
なんのことか…分からないけど…。
明さんにとって私より…
大事なものを守ろうとしてる
「朗報が二つあるわ。
まず一つはレベルは十分に条件を満たしてる。
祝福量も完璧よ。」
その上で
「二つ目はあなたの魂の質が大幅に変わっているということ。
色んな経験をしたからかしら…
以前ほど服とあなたの呪いは連動しなくなっていたわ。」
…でも、外せなかったんだね。
分かるよ、明さん…泣いてるもの。
「分かりました、私も一生懸命
答えを探します。
祝福の血筋…魔法を書き換える…
手がかりがないわけじゃないんですから。」
涙を拭こうと左手を伸ばし、届かなかった。
「やさしいのね…。
あなたが甘えないように釘を刺しただけで
レン達の記憶は5日間だけの消去にしてあるわ。
大丈夫、次会えばそのままよ。」
…ほっ…
「あなたが治ったら、ガーネス町に送り返す…いいわね。」
ワイバーンに襲われたとき…
私は右手を飲み込むように噛みつかれて
死んだと思った…。
でも奉松さんから貰ったブレスレットが熱くなって…
ワイバーンは逃げていった。
そして…いつの間にか、向日葵の束がそこにあったの。
不思議な事に私を見守ってくれる神様がそこに居たんだ。
私は全てから見捨てられた訳じゃない。
だからこそ、まだ頑張ろうと思えるんだ。
…また、ガーネス町に転移するんだ。
(続きから だね…!)
腐った大地は新しい大地として新たな戦いを巻き起こす。
しかしそれは、日葵が直接関わることは無いだろう。
変化を伴う混沌の暴威に対し、心で立ち向かった
竜巻の物語を…どの種族も語り伝えることになる。
しかし、物語はそれで終わらない。
彼女は次なる運命に巻き込まれることになる。




