64 バトゥの依頼
グンドさんとライジャさん達が帰って俺達がロビーから部屋に戻ろうとしたら、今度は丁度ムギホシとバトゥがロビーにやってきた。
「もう起きているとはね。部屋に行ったらいないんだもの」
「タツロー様、コテツ様おはようございます。」
それは寝ているところを起こされたせいで……。ほら見て、まだ虎鉄はて寝てるでしょ。俺は眠気は覚めてしまったけど。
今何時だっけ? まだお昼前じゃないか。今日の夕食まで寝ようと思ってたのに残念だ。
「……おはよう。ムギホシ、バトゥ」
クエストは1日で終わって帰って来たから、俺は寝不足の状態で2日目の入る。なぜ目覚めの魔法とかないんだろう。
「はぁ~……おはようニャ。もうそろそろお昼ご飯だミャ」
「それじゃあ、みんなでお昼に行きましょう。そこでこれからの話もしたいし。ね、バトゥ」
「そうしましょう。ロビーの上の階に食事ができるところがありますよ」
バトゥは早くもファーニス・タワーやこの星についてデータを更新したらしい。
「行こうニャ! コスモ・チュ~ルはあるかニャ~」
虎鉄は寝起きバッチリだ。俺は眠気を覚ます食事があればいいけど。
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俺達はファーニス・タワー2階のダイナーのような食堂で食事をとった。食事の他にドリンクが付いていて、ドリンクが切れたら給仕係がポットを持って注いでくれるという一昔前のファミレス的な食堂だ。ちなみにコスモ・チュ~ルはなかった。残念!
「――そういうわけで私が次の依頼主になります」
食事が済んだところで、丁度良くバトゥの話も一区切り付いたようだ。
バトゥはこの星のチトセ・インダストリーに来たら早くクエストの依頼をしたかったが、ジルオレ氏とグンドさんがテストをしたいと強く言ったので衛星ブルナのクエストとなったそうだ。ゼルコバ氏はバトゥを信頼しているので、バトゥのクエストに早く行って欲しい派だったようだが。
だから、衛星ブルナのクエストが完了して、バトゥのクエストを受けられることになったのでいち早くこうして話にきたというわけだ。
この食事の後、ゼルコバ氏とジルオレ氏、グンドさんと一緒に正式なクエスト受注の話になる。
「むむむ……死亡者を探すか。虎鉄、どうする?」
「次のクエストは謎だ多いみたいだニャ」
バトゥの話とはこういうことだ。
【クエスト】
内容:レオグリムの遺骸を回収
目的地:迷宮惑星
時間:∞
報酬金:1000億クレジット
ドワーフ族が誇る超天才のレオグリムの遺体の回収だという。
場所は超空間にある謎の天体物体――「迷宮惑星」。と言っているけど正式名称は分からないそうだ。でもそこにレオグリムさんの遺体はあって、バトゥしかしか知らなかったということだ。バトゥはゴブリンに攫われたしな。というか、彼にきちんと聞いたらゴブリンに攫われる前にも何十年も宇宙を漂ってたそうだ。
そして今回バトゥが発見・確認されたので、レオグリムさんの身柄が行方不明から死亡になったわけだ。
そもそもなぜ迷宮惑星に行ったのかというと、バトゥとレオグリムさんは調査のためなんだって。ドワーフの古代遺跡「迷宮惑星」は、超高速エンジンでいうところのクラス10レベルの速さを持った移動する天体で、次世代の超空間エンジンを創るために、迷宮惑星の秘密を調べようとレオグリムさんが思い立ったそうだ。
「レオグリム様は純粋に誰よりも速いエンジンを作りたかったのです。その迷宮惑星より速い存在がいると言ってました」
星の子のことかな? 深堀しないでおこう。
最初は古文書に記されている記録で「すごい速さの物体がある」って噂があってレオグリムさんが調査を始めたのが切っ掛けたったってバトゥは懐かしそうに笑った。
迷宮惑星は古代文明の機能が生きていて、その中には外的から惑星を守るガーディアンがいたということだけど、今でもその機能とかガーディアンが稼働してるのかは不明だ。
そして、ようやく迷宮惑星の最奥部に辿り着いたけどレオグリムさんはガーディアンの攻撃で亡くなって、バトゥはレオグリムさんの遺言を持って脱出したということだ。
「飛び立った後に地表まで出てきたガーディアンに攻撃されて宇宙船は通常空間に戻った時に爆発して、私は宇宙に放り出されてゴブリンに回収されました」
「それから240年――」とバトゥの話がまた長くなりそうだったので急いで話題を変えた。
「その迷宮惑星って超空間にあるんだろ? それも大層な速さで移動してるって……どうやって着陸するんだ? そもそも、その迷宮惑星をどうやって見つけるんだ?」
その質問にバトゥは大きく頷いた。
「『鍵』があるのです。それを超空間で使えば迷宮惑星を呼んぶことができるのです」
「そんな便利なものがあったニャんてびっくりミャ」
「その『鍵』は2つあったのです」
ひとつはレオグリムさんが持っていて、遺体と同じところに残されていると思うけど、もう一つはチトセ家に保存されているってことだ。
その『鍵』はレオグリムさんとバトゥ以外は『鍵』とは知らずに保存されていたって話だ。
だから、レオグリムさんは行ったところもわからず、バトゥもいないので行方不明にするしかない。
ようやく帰ってきたのに最悪の結果を報告しなきゃダメだったなんてバトゥの辛さが伝わってくる。
「ということは、その『鍵』を持って超空間に行けば迷宮惑星に行けて、あとは迷宮を冒険して奥まで行って遺体を回収すればOKってことだね」
「そのガーディアンが強いのか気になるニャ」
「有体に言えばその通りです。……ですが――」
バトゥにしては珍しく口を淀ませた。
「一つは、その『鍵』についてです。その『鍵』は宝石の姿をしていて現在の所有者がいまして……」
「え、レオグリムさんの遺品だよね?」
「数年前に受け継がれたのです。ドワーフ族の誇る新しい天才に贈られたのです」
「それはひょっとして、あの子かニャ?」
「そうです。イルミル様です」
今、「一つは」って言ったな。複数あるのか……!
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