63 クエスト報酬
俺達はドワーフ本星に到着して、すぐに解散した。
俺と虎鉄はそんなに疲れてはいなかったけどライジャ・アンド・フェローズの皆さんが――
「アタイらはもう今日は店じまいだよ……」
「「押忍……」」
と宇宙船が木端微塵になったのが今になって激しくショックなのだろう。
俺と虎鉄はかける言葉がなかったよ。
ライジャさん達の落ち込みようが激しかったので、迎えに来ていたグンドさんが一緒に帰ったくらいだ。
それで今は宇宙港からファーニス・タワーに帰ってきたところである。
そういえばムギホシとバトゥも宇宙港まで出迎えに来てくれた。心配かけてすまぬ。
だから、俺とムギホシとバトゥは神出鬼没の魔法で、虎鉄は旋風の術でファーニス・タワーに一気に帰ってきたというわけだ。
虎鉄は早く術を試したかったようだが、今日は無理をしたと思うので修行はなしにした方がいいな。だって星の子が予想外の活躍って言ってたし……。
ムギホシとバトゥも俺に意見に賛成だ。
彼女たちは、俺達が取り敢えず「いつも通り」帰ってきたので安心したようだ。
「よく倒したわ。あのトレントの化物はわたしでも難儀したかもね」とムギホシが言ってくれたのは嬉しかった。しかし、「難儀した」ってことはムギホシも倒せたのかな。まだまだ謎の多いエルフだな。
「このあたりで今日はここまでですかね。ムギホシ様と私の話は明日しましょう」
「そうね」
「悪いね。こうでもしないと修行に行きたがる奴がいるから……」
「そんなのがいるのかニャ!」
虎鉄のボケが決まったので、俺はツッコミを入れてお開きとなった。
そのあと俺と虎鉄はクエストに行く前に徹夜で作業していた部屋に戻った。バトゥが「この部屋をお使いください」だって! 見晴らしが素晴らしく良い部屋だ。
虎鉄の見ると、ベッドに届く前に力が尽き果てたみたいに床にごろりと寝ていた。
俺は、虎鉄をベッドに運んで部屋のライトを落とす。
しかし、熟練度制か……。どうなるかまったく分からないな。それに魔晶石を使うにはどうするか?いや、というか何に使うか?だな。錬金術ってなんだろう? そういえば魔石もいっぱいでたのだ。現在俺達が持っている魔石は全部で54個だ。火水土風氷雷そして光と重も出た。魔石ってまだ使い方がいまいち分からないんだよな。これもひょっとして錬金術の素材か? うーむ、分からん。
「ワクワクするニャ……」
虎鉄の寝言が暗い部屋に響いた。
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次の日の朝――。
俺は部屋のチャイムで目覚めた。ちなみに虎鉄はまだ起きない。
インターホンに出ると、グンドさんとライジャ・アンド・フェローズの3人が受付で待っているということだった。
15分後、結局起きてこなかった虎鉄を抱いて受付に出向いた俺。
「いやぁ、何も言わずに朝っぱらから来てしまってすまない。こいつらがタツローとコテツがいないと報酬の話はしないって言うんだ」
「だからアタイはこいつらがいないと死ぬところだんだよ!」
「「押忍、押忍」」
臭い! なんて酒臭いんだ! これは絶対昨日から飲んでたんだな!!
「う~~~ん、なんか臭すぎるニャ……。達郎の足かニャ……?」
失礼だな、君は。俺は水虫とか体調管理機能のおかげで治ったんだぞ。
しょうがないから癒しの魔法と解毒の魔法に念のため与命と与精の魔法も掛けるか。
「「「「…………」」」」
4人ともシラフに戻ったみたいだ。
「はい。みんなもう大丈夫ですね。クエストの報酬の話ってことですけど?」
そして、酔っぱらっていたことを照れるグンドさんが咳払いしつつ言う。
「あのときは悪かった。……この『あのときは』って超巨大魔理樹トレントとやらと戦う前だ。でも会議室に行った時には終わってたぞ!」
そのあと、グンドさんさんからクエストはめでたく完遂だったということ、あと緊急クエストの超巨大魔理樹トレント――ここでモンスターの名称がメガギガンティック・トレントだったことを伝えた――の撃退が成功されたことを教えてもらった。ドワーフ本部本部長が直々に教えてもらうのは喜ばしいことだ。でも、ここに来るまで飲んでたって話だけど、それは聞かなくてもいいか。
「あれほどのモンスターはそうそうお目に掛かれないぞ」
「ということはあれくらいのモンスターがいるってことですか?」
「俺は直に見たのは2体だけだな。もっと巨大なモンスターがいるからな……」
「じゃあ「超巨大」とかではニャく「巨大」なレベルってことミャ?」
「まあ「超巨大」の小さい方で、「巨大」と言えば「巨大」の範疇は超えているんじゃぁないか?」
さらっと話すグンドさん。
「「宇宙ってデカいな(ニャ)!」」
「それで、報酬の話だけどよぅ。この馬鹿どもが今回のクエストの報酬はいらねえって言うんだよ」
ここまで黙っていたライジャさんがあっけらかんと笑って言う。
「アタイは酔ってなんかいなかったんだよ。さっきも言ったようにタツローとコテツがいなしゃ死ぬところだんだよ」
「だから、それは緊急クエストのことなんだろ? 通常のクエストの報酬はもらっておけと言ってるだろ! ただでさえ宇宙船がお釈迦になっちゃったんだから……」
そうだよな。緊急クエストはそういうことならライジャさんが言うことも分かる。
「ブルナにしたって同じさ。ライジャ・アンド・フェローズと他のパーティが一緒でも成功ではならなかったと思う……。ロドとレウーリも同じ気持ちさ」
「「押忍」」
俺とグンドさんは黙ってしまう。
『達郎……これ言っちゃうとダメニャ気もするけど……』
ナビの俺達にしか通じない会話で内緒話をする虎鉄。
『あのメガギガンティック・トレントって、そもそも星の子が作ったモンスターだったのニャ?』
あーーーーー! そうか、そうなんだった。星の子マターだった!!
その後、なんだかんだあって俺と虎鉄が土下座を披露して、緊急クエストも含めて報酬は折半になった……。
「あのドゲザって初めて見るけど謝罪とこれで終わらす気持ちに溢れているな」
「そして、――なんて清々しい姿なんだ」
ロドとレウーリがなんか言ってたなぁ。しかし俺と虎鉄は「星の子で今度会ったら何かもらうぞ!」という気持ちだった。
ちなみに報酬は俺達とライジャ・アンド・フェローズで50億クレジットです。ほんとは俺達がゼロでも良かったんだけどライジャさん達が折れななくて……。
その内、ハンター・ユニオンに寄付しておこっと。
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