60 超巨大トレント
虎鉄の手裏剣【火】と土遁の術が冴えわたる。
モグラ叩きのモグラのように地面から出てきて炎の手裏剣を投げて、すぐに消える。そして、また別の場所に現れる。これも神出鬼没の術といえる。
俺の方はというと「重術の魔法」の使い方を試していた。
実は明言するのは初めてなのだが、「~術の魔法」は攻撃の手段だけではなかったりもする。たとえば水だったら飲料水を出したり、氷や土を出現させて乗ったり押したりできるのだ。
では、重術の魔法はどうか?
攻撃対象が存在しない場合、そこに魔法を使用した時は数秒の間、見えない重力のブロックができるのだ。
そして俺には、見えないがそこにブロックがあると認識できる。
ブロックは60センチ立方体だ。
これは虎鉄もわかるらしい。
だから虎鉄はブロックに乗ったり、蹴って横に飛んだりして大活躍だ。
俺と虎鉄だけかと思ったらライジャさんも認識できた。
これは俺達もパーティに入れたからだろう。あくまで俺と虎鉄がライジャ・アンド・フェローズをパーティとして認識したからそうなったということだ。
でも機動重装甲スーツでは60センチの足場はどちらかと言うと邪魔だから、ライジャさんは虎鉄とちょっと離れたところで戦っている。
そんなわけで重術の魔法で主に虎鉄の足場を作りながら、光術の魔法と追尾の魔法でモンスターを攻撃しつつ、みんなに掛けているバフとモンスターへのデバフをひたすら掛けて続けている。
たまに神出鬼没の魔法を使ってレウーリのところに行って全体を見に行ったりと慌ただしい。
でも、かなり集中力を必要とするけど、この動き方が凄く面白い。いわゆる「ゾーン」に入っているのかもしれない。
倒したモンスターの数はナビを見ればわかるが、すでにナビを見なくなって久しい感じだ。
最初に表示された「アルバスター(52)」なんかは、その何十倍の数を倒している。
そして、たまに強い巨大モンスターが出ることもある。
さっき出現したのはサテライト・トレントと、その強化版で珍しいメテオライト・トレントだ。
『名称:サテライト・トレント
種族:モンスター
脅威度:青 好感度:赤
弱点:火
名称:メテオライト・トレント
種族:モンスター
脅威度:紫 好感度:赤
弱点:火 』
メテオライト・トレントは最低でもランク18のパーティが2組は必要とのことだった。ドワーフ軍だと1個中隊必須らしい。
ちなみに昔は、ハンターが弱かったからランク16の総力戦だったそうだ。大体100年ほど前の話だ。その後、ランクも上がってランク20のハンターが誕生したのが30年前とのことだ。ハンターランク20って思ったより近頃なんだな。
で、サテライト・トレントとメテオライト・トレントの話だけど、ここの星系は戦争が始まってからサテライト・トレントが発生したことはないから大丈夫とライジャさんは言ってたんだけど出現したんだな。これが。
ちなみにその頃になると小型のモンスターの出現は納まっていたから良かったんだけど。
虎鉄は「フラグが立つようなこと言わなかったかニャ?」と言ってたが当たりだったみたいだ。
でもそんなフラグは叩き折るくらいの早さで倒してしまっている俺達。
そして2回目のメテオライト・トレントを倒して、次の巨大モンスターの「波」を待っている。
今はもう衛星ブルナにはモンスターは存在しなくて、宇宙から魔理樹に向けて飛来する巨大モンスターを倒しているのだ。
そういえば、さっきLV59になったな。
あれだけ倒してもなかなか経験値が溜まらずようやくといったところだ。
新しく覚えたのは、俺がアクティブスキルの「加速の魔法Ⅰ」で、虎鉄もアクティブスキルの「手裏剣【氷】」だけだった。
でも「加速の魔法」は良く覚えてくれたスキルだ。10%速く動けて、3回まで重ね掛けできる。この重ね掛けもレベルによって増えるとのことでまさに神性能!
ここで、虎鉄がポツリと零した。
「これで終わるかニャ。もっと戦いたっかったニャ」
「レウーリ! 今度こそ敵は打ち止めかい!? こっちはまだまだやれるよ!」
ライジャさんもレウーリに確認する。
俺もゾーン状態から出て、祭りの終わりを感じていた。
「押忍! この衛星近辺ではモンスターはいないッス!!」
レウーリが広域レーダーを確認して叫んだ。
「押忍! 魔樹液も止まりましたッス!!」
知らぬ間に魔理樹の周わりを確認しに行っていたロドも大声を出す。
そして、ライジャさんは俺達全員を一人ずつ見て宣言する。
「よし! 終わりだ。ミッション・コンプリ――」
皆が一斉に微かな振動を感じる……。
徐々に大きな振動――いや、これは地震だ。それも震度7以上の揺れだ。
「これじゃあ移動もできないからスラスターを使って空中で待機だ!」
ライジャさんが叫ぶ。
その時、ロドがそれより大きな声で絶叫する。
「魔理樹が動いているッス!!!!!」
あれは、もしや魔理樹がトレント化したのか!?
ナビも解析するには判断材料データが足りないと言う。そんなことは初めてだ。しかし、ってことは新種か!
「これはさすがにデカすぎるニャ……」
「とりあえず船まで戻ろう!」
俺と虎鉄は、茫然としているライジャさん達に声を掛けつつ――
「超巨大魔理樹トレントか……。エルフィンⅡRで勝てるかな?」
ただ逃げる考えは俺になかった。
「ビッグイベントだニャ!」
いや、「俺達には」だな!
次回 でテスト回は終わる予定です。
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