59 パーティ・パーティー
俺達とライジャ・アンド・フェローズの3人はひたすらモンスターと戦っていた。
おそらくすでに3時間は経ってると思う。
「ライジャさん、巨大モンスターは手堪えありですけど小型のモンスターは弱すぎですよね。多いですけど!」
モンスター共は攻めてくるのにある程度「波」があるってライジャさんに教えてもらった。今はその「波」の2回目が終わってところだ。
だから2,3分の小休止になったので俺はライジャさんに向けて軽口を言った。
「あの小型のモンスターだってレベル14だと強いと思うけどねぇ。ロドとレウーリでも互角じゃないか? そうだろう?」
ライジャさんは離れているロドとレウーリに声を掛けた。
「押忍! 一人だとオルスター止まりッス」
ロドが言っているオルスターとは小型のヒトデ型のモンスターで小型と言いながら1.5メートルの雑食ヒトデだ。全身で獲物を包んで、身体の中心にある口でムシャムシャ食べるのだ。
オルスターが大きくなるとヒトデ型巨大モンスターのアルバスターになるって説もある。
ちなみにナビで見るとこうだ。
『名称:オルスター
種族:モンスター
脅威度:黄 好感度:赤
弱点:火雷 』
あと、他の小型のモンスターも見せておこう。
『名称:ニードラ
種族:モンスター
脅威度:黄 好感度:赤
弱点:火 』
『名称:ボム・アーチン
種族:モンスター
脅威度:黄 好感度:赤
弱点:雷 』
2種類ともオルスターと同じような大きさである。
「ニードラ」はクラゲ型モンスターで、針状にした触手を攻撃対象に刺して、電気ショックを与える。そして「ボム・アーチン」はウニ型で、攻撃対象に近づいて破裂する迷惑な敵だ。
だから、ライジャさんに近づかないようにロドとレウーリが優先してボム・アーチンを銃で倒す役目だ。
「押忍! 自分は遠距離専門なのでこの距離なら巨大モンスターも1対1なら勝てるッス。でも対複数なら無理ッス」
遠距離でモンスターをスナイプして倒すレウーリでもタイマンなら勝てるけどって言っている。
「それが普通さ。お前さん方がおかしいのさ。だからロドとレウーリも平常心で頼むよ」
と後方を見て笑うライジャさん。
後方というのは、ロドとレウーリのいるポジションのことだ。反重力ビークルのところに防御フィールドで守られたレウーリがいて、魔理樹に若干近づいたところに俺とロドがいる。そして一番魔理樹に近いところで近接戦闘をする虎鉄とライジャさんがいるという感じだ。
「いつも通りモンスターも終わりが近そうッスね」
「アルバスターとドロニアソーンもあと1体ずつしかいないから、これで打ち止めかねぇ」
「ロドとライジャもそんなこと言うとフラグが立つニャ」
虎鉄さんはフラグ建築士を認定する役目を負っているのだろうか。でも俺達しかわからないぞ。
「フラグは置いておいて、テストってこの調子でイイんです? 皆さんのおかげで随分と楽ですが……」
「あ~いいの、いいの。アタイ等の方が楽してるから。このまま終わって帰ればテストは合格さ」
「そんなものですか……」
俺は拍子抜けだ。
「これにムギホシがいたらもっと楽勝になるニャ」
そうだなムギホシがいたらと考えると全部一人で完遂してしまいそうだ。
「それにしてもタツローとコテツの力は驚いたねぇ。あれって霊理力なんだろう? あんな霊理力は初めて見たねぇ」
ライジャさんが褒めてくれた。他の二人も「押忍、押忍」と同意している。
と、そんなことを喋っているところに――
「押忍! 来るッス!」
レウーリがモンスターの動きに反応する。
「これで最後だ! さくっと倒して酒を呑むよ!!」
「「「「押忍!!」」」」
俺と虎鉄もフェローズ入りしそうだな!
ライジャさんはガンアックスを背負ってアルバスターで接近する。
アルバスターもライジャさんを取り込むような動きをした。しかし、彼女の動きが巨大モンスターを上回っていたようだ。
「爆裂しなよ!!」
ライジャさんはガンアックスのトリガーを引いてエネルギー・フィールドを爆発させつつヒトデを切り刻んでゆく。
20メートルの巨大モンスターが一撃だ。最後の締め的なことなのだろう。ランク18は伊達じゃないってことだな。
「姐さん、流石ッス!」
ロドが感極まって大声を出す。
「馬鹿野郎っ! まだ終わってないだろうが!」
さらに大きな声で叱ったのはレウーリだった。
その時、3体のボム・アーチンがロドに使づいている。
「あぶないロド!」
ライジャさんも気が付いたが如何せん距離が離れていた。
二丁拳銃も3体のうち2体は撃破するが残りの1体は間に合わない。
ロドとボム・アーチンの姿が重なる――
そして、爆散した光景が俺達にも見えた。そのあと……
「いってー……、あれ痛くないッス」
そんな声をあげるロド。
「ボム・アーチンの爆発を食らったら一発でお陀仏なのに、どうしてアンタはまだピンピンしているんだい!?」
「さーせん、自分にもわからないッス……」
教えてあげればいいのに、と虎鉄の言われた気がしたので種明かしだ。
「俺の能力――霊理力でみんなの防御力を上げました。ライジャ・アンド・フェローズの皆さんは下のランクのハンターに気を遣われると嫌かなって思って言わなかったんです」
「「「…………」」」
「やっぱり怒ってます……?」
「だから先に言っとけばよかったニャ」
そんなこと言うなよ~。日本人は気を遣うんだって!
「姐さん、どこに行くんッスか!?」
突然、レウーリが叫ぶ。
ライジャさんがボム・アーチンの群れに近づいていった。そして――
おそらく10体はいただろうボム・アーチンの自爆にライジャさんは巻き込まれる。
しかし、五体満足で無言のまま立っているライジャさん。
俺と虎鉄はわかってたから何も言わなかったのだ。
でも、みんなが着ている防御スーツは宇宙モンスターの攻撃にはあまり効かないのか。レウーリが反重力ビークルのところで設置しているエネルギー・フィールドくらいのものがないとダメってことだな。
でも、ライジャさんは早くなんか言ってよ!
「…………な、な、な」
「な」ってなんなの、ライジャさん? 「なんてことするんだ!」ってこと?
「違うと思うニャ」
え? そうなの??
「な、な、な……なんじゃ、これは~~~~! ……アタイ等も霊理力を学ぼうかねぇ!」
「ほらニャ、思った通りだニャ!」
いやいや、俺達の「力」は星の子謹製だからなぁ。あ、ムギホシに頼めば教えてくれるかも……。丸投げしておこう。
「霊理力に関してはムギホシ師匠に聞いてみてください。それは良いとして、引き続きライジャ・アンド・フェローズのみなさんも霊理力で防御力を上げても良いでしょうか?」
「「「押忍!!!」」」
ほっ、良かった。物理防御力UPの魔法だけだったけど、俺達と同じバフを付けよっと。
物理防御力UP、魔法防御力UP、土防、風防、火防、水防、氷防ね。
魔法のグループは俺と虎鉄で1つだけだったけど、今後はライジャさん、ロド、レウーリもグループに入れることにする。
ライジャさん達はその効力にさらに驚くかもしれない。
このクエストが終わったら、このことを話してもいいかな、と考えていると……
「そんなことを考えているとまたフラグが立つニャ」
「押忍、魔理樹の反対方面から新たな大型モンスターの大群が来るッス!」
反重力ビークルの広域レーダーを見たレウーリから通信が入る。
フラグを立てて折ってしまった! でも防御魔法も使ったし、どんまいどんまい。
次回は通常通り日曜日の25時更新です。
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