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58 衛星ブルナにて

衛星ブルナ。ドワーフ第拾六星の衛星。

形状は不規則で短軸は250km、長軸は400kmで楕円形とは言えなくもない。

重力は0が6つほどあって限りなく0に近く、空気はもちろんない。体調管理機能があっても厳しいところだ。

氷と岩石で組成されていて、山脈とかはなく緩やかな丘がある衛星だ。


俺達はその星の魔理樹(まりじゅ)より10キロほど離れたところに降りた。


俺と虎鉄は宇宙空間でも活動できるナノマシンのスーツを着ている。ヘルメットはフルフェイスだが中から見ると透明に見えるタイプだ。


ライジャ・アンド・フェローズの3人もナノマシンのスーツを着ているが、ライジャさんだけはさらに強そうなものを着ている。


機動重装甲スーツだ。


装備すれば全長2メートルの巨体で言ってみればパワーアーマーだな。ナビを確認してみるとライジャさんの脅威度は紫になっている。あれを着ると俺達より強くなるのか。


今まで着ている人は見たことないけど、いたのかな。バルボア・シティはいなかったはずだ。


「燃費が非常に悪くて、癖とかあって使う人を選ぶのさ。なによりカッコ悪いって言う奴等が大半を占めてるからね。その意見が余りにも多くて軍も採用を見送った次第なのさ。多分、使うのはアタイ等だけであとはジーニー族しか使わないね」


ライジャさんはそんなことを言う。


ええーカッコいいと思うけどなぁ。でも一つ言えるのは赤色は派手すぎでやめたほうがいいってことだな。


で、そんなライジャさんは両手にガンアックスを持っている。


ガンアックスは、機動重装甲アーマーで装備するのが正しいのか。機動重装甲アーマーを装備してからガンアックスを持てばいいのに生身の時も背負うのは何故だろう。


と、それは置いといて、ガンアックスは斧に当たる部分でエネルギー・フィールドを出して叩き切る。


また、インパクトの瞬間トリガーを引くとエネルギー・フィールドが爆発するのだ。


非常に重量があるけどカッコいいね! ちなみに重量は250キロだ。これを背中に背負っているのか……。


「忍者には重すぎるニャ」


「でも、今度持たせてもらうミャ」と虎鉄が言っている。そうだな、俺も持たせてもらおう。


そういえば、ロドとレウーリはなぜ機動重装甲アーマーを装備しないのかって聞いたら一言「金がないッス」だって。


ライジャ・アンド・フェローズの皆さんはライジャさんのために頑張っているのだ。


あ、ロドとレウーリは「さん」付けは不要と2人から言われたので敬意を込めて呼び捨てにすることになった。


2人は120歳だってことだけど、その年代のドワーフはヒューマン族で言うと20代の感覚に近いらしい。俺達はランク14だけど、ランク16だからと言って先輩風を吹かさない良い人達だ。


ライジャさんも「アタイも呼び捨てにしなよ」と言われたけどグンドさんの一番弟子とか滅相もない。


それに250歳だって。あっけらかんと話してくれた。ちょっと(?)ムギホシより年下だな。


「タツローが32歳でコテツが5歳なのかい。ヒューマン族とケットシー族は成長が早いねえ。このクエストが完遂できたら酒でも呑んで話をしようじゃないか」


ライジャさんはそう言って笑った。その横でロドとレウーリも同じように微笑んでいる。


クエスト前にも拘わらず、この雰囲気は流石ランク上位のハンターだな。


「じゃあ、行こうか!」


「「押忍!」」


俺と虎鉄は返事をしてホバーバイクで、ライジャ・アンド・フェローズの3人は反重力ビークルで魔理樹まで向かった。



********************************************



あれが魔理樹か。


500メートルに近づいた。黒色に灰色が少し混じった抽象画の「灰色の木」に似た姿だ。


枝は樹の全長ほど横にも生えているが葉は見られない。超巨大な枯れ木みたいだが、これで樹液を出すのだからそもそも葉は茂らないんじゃないかな。


ナビによると直径100メートルから上に行くにしたがって60メートル、その高さは650メートルだ。たしか地球で一番高いビルが高さ500メートルで120階くらいだから、それより120階以上あるってことだ。


「バルボア・シティのハンター・ユニオンが140階だからあれくらいか?」


「そうだニャ。ちなみにファーニス・タワーの方が高いニャ。でも背の高いものはニャいから魔理樹は目立つミャ」


魔理樹の表面をヘルメットに付いてい望遠機能で拡大して観察する。


「あそこを見てみな。下から少し上がったところだ」


ライジャさんが地面から50メートルのところを指差した。


灰色に見えたのは巨大なヒトデ型のモンスターだった。



『名称:アルバスター(52)

 種族:モンスター

 脅威度:緑 好感度:赤  

 弱点:火雷        』



「あれはモンスターだったのか。それにしても多いな」


「52体もいるニャ」


「アンタ達もう数えたのかい」


ライジャ・アンド・フェローズの人達にあとでナビのことを教えた方がいいな。


『名称:ドロニアソーン(6)

 種族:モンスター

 脅威度:青 好感度:赤  

 弱点:火         』



「それでクラゲは6体いますね」


今はモンスターのことを教えた方がいい。


「もう1種類のクラゲ型モンスターでヒトデ型よりも強いみたいニャ」


「アルバスターとドロニアソーン……いつもと一緒だけど数はちょっと多いねえ。それに小型のモンスターも大量にいるのが面倒かねぇ」


小型のモンスターがそれこそ数百体はひしめいて魔理樹の表面を這いまわっている。


「まぁイイさ。先に小さいのをやるよ。レウーリやっておしまい!」


ライジャさんが吠える。


気が付くとレウーリが反重力ビークルに乗せてある小型ミサイルのガトリング砲(×2)を構えていた。


「押忍!」


ドバドバドバババババ!!!! ドバドバドバババババ!!!!


小型のモンスターはバラバラになって落ちてゆく。


「野郎共、行くよ!」


「押忍!」


火を噴くガトリング砲、爆発する魔理樹――そして魔理樹を目指してバックパックのスラスターで飛ぶライジャさんとロド。


アルバスターとドロニアソーンも俺達を敵だとようやく認識したみたいだ。


モンスターは魔理樹から離れて、俺達に向けて飛んでくる!


「派手だな!」


なぜか笑みが零れる俺がいる。


「ワクワクするニャ!」


俺も遅れないようの走り出す……が、重力がないに等しいって難しいな。ちょっとだけでも地面に触れたいなぁ。


虎鉄を見ると、スラスターを地面に向けて吹かしている。


なるほど! その方が楽だな。俺もそうしよう!


久方ぶりのモンスター退治に俺と虎鉄は心躍らせていた。

読んでいただきありがとうございます。

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