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52 宇宙港


ハンター・ユニオンは、ドワーフ第弐星から第拾六星まで各1つ支部があって、ドワーフ本星がドワーフ星の支部をまとめた本部となっている。


俺達がドワーフ本星に行く件はバルボア・シティ支部から話は行っているはずだ。


なんでも勲章を貰った奴らがドワーフ星に行くってハンター・ユニオン全体で共有されているそうだ。どこに行ってもアイツはアノ支部の勲章持ちだと言われるらしい。嫌なやっかみとかされそう……。


でも必ず行くようにして欲しいってラシャヴァティさんに言われたから早めに伺おうと思う。


とは言っても、まずやることと言えばバトゥの件だな。


宇宙港を出たら話をできれば良いなぁ。


あ、言うのが遅くなって申し訳ないけど、俺達は宇宙港にエルフィンⅡ改を停めて、出口に向かっているところだ。


どうやってバトゥに話を切り出すべきだろうか……。


そういえばバトゥの元主人の関係者はいるのかな。実はその辺りは全然聞いてなかったりする。昔、誘拐されたっていうのは聞いたけどそれだけだったしな。


元ご主人様の話とか聞いても良いだろうか……?


しっかし、さすがドワーフ本星の宇宙港だな。人出はバルボア・シティも負けるほどの多さだ。これが都会の星ってところか。


ドワーフ族とかも初めて見た。イメージとしては地球の『ドワーフ』に似てると思う。でも女性は髭を生やしてはいない。小柄で男女ともに力が強くて屈強だって話だ。寿命がヒューマン族とエルフ族の中間くらいで500歳だそうだ。


そんな時、不意に目の前を通るヒューマン族の観光客が目に入った。


なんか不穏な空気というか、その人の身に纏う雰囲気が嫌な感じを受ける。


それに、その人が持っている30リットルくらいのトランクに違和感を感じた。


「なぁ、虎鉄……あの人の持っている――」


と言いかけるが、虎鉄は「運んでる人も見るニャ」と言いなから手裏剣【風】を投げた――。


ナビを見ると、視界いっぱいが好感度の赤で埋め尽くされる。



『名称:サイボーグ(56)

 所属:銀河帝国

 職能:工作員

 脅威度:緑 好感度:赤』



え、こんなところに帝国がいるだって?


さっきの観光客風の人の周りにいた人達――55人が一斉にこちらを向いて襲ってきた。


「わたしとコテツは彼らを相手にするから、タツローはあのトランクをよろしく」


銀河帝国の工作員と聞いたらやらざるを得ないな! あの観光客風のサイボーグを『サイボーグA』と呼ぶことにするぜ。


一応バフの魔法を使って、サイボーグAが逃げる前方に『神出鬼没』で現れる俺。


右手を既に手裏剣で傷つけられ、左手でトランクを抱えて走るサイボーグAは、突然現れた俺にほんの一瞬だけ唖然として止まる。ドロイド兵なら止まりはしなかっただろうに。


でも、その一瞬だけで命取りだ。


緊縛の魔法でジ・エンドだ。


相手を止めた俺はトランクを確保するために、そいつの近くに歩み寄った。


その時、視界に注意の文字が出る――


『注意;サイボーグAは爆発します【あと3秒】』


――こんなに人の多いところで! また、やってしまったのか。


俺はそいつの左腕を風術で斬り落としてトランクを確保すると、その後サイボーグAを脇に抱えテレポーテーション――さっき飛んでいた上空に向けてだ。


念のためナビにその辺りには宇宙船や飛空艇はないと調べてある。ここで爆発なんかに巻き込まれたりしちゃぁ可哀そすぎる。


上空100kmで神出鬼没した俺は、サイボーグAをリリースした。その後、再度元いた宇宙港に戻る。その間1.5秒。


ふ~あぶねえ。冷や冷やものだった……。


下界に戻った俺は、他の工作員サイボーグに緊縛に加えて麻痺と睡眠を掛けていく。一応、効くかわからないけど『沈黙の魔法』を掛ける。


これで良かったのだろうか……と考えていたらムギホシが霊理力で自爆装置を止めてくれた。そんなこともできるのか。それ欲しいなぁ!


ここまで10秒足らずで終わってしまった。


宇宙港のその場にいた人達や警備員もなにが起こったのか多分わからないだろうな。


とりあえずパニックにならなくて良かった。


1分後ようやく宇宙港の警備員と、宇宙港に常駐してたドワーフ星の軍兵がやってきた。


ちょっと面倒だなぁと思っていたら、バトゥが前に出てくれるようだ。この星生まれのアンドロイドがいて助かった。


バトゥが説明してる間に俺達はコレをどうすべきか話し合うことにする。


コレというのは、工作員サイボーグから奪ったトランクのことに他ならない。


「達郎、中身は知ってるのかニャ?」


「最初にナビで見たよ。だから開けた方がいいかなぁって思うけど……」


「さっきコテツに聞いたわ。おそらく眠っているでしょうね。早く出してあげた方がいいわ」


このトランクは爆弾等の中に入ってるモノに危険が及ぶようなものは仕組まれてはいないとナビで調べはついていた。


「じゃあ、虎鉄頼むよ」


虎鉄の『開錠Ⅲ』の出番だ。ナビによるとこのトランクは「高度なセキュリティ」であるが虎鉄のスキルでは100%の開錠率で開けることができるそうだ。


「開いたニャ」


早いな! となりのムギホシも手を叩いている。


ロックを外したトランクの中から白い煙が漏れ出ている。


冷た! これは液体窒素の類かな。


そうして、自動的にゆっくりと開いていく。


「やっぱりこういうことか……」


「生命反応は正常ニャ。もうすぐ起きるミャ」


俺達の目の前には小さな女の子がすやすやと寝ていた。

読んでいただきありがとうございます。

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