↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田舎の厄介者、王都で転生特典の【魔法生成AI】を使い聖女を救ったら人生が激変してしまう  作者: コータ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/27

詠唱の短縮

 夜のファーガソンは静かそのもの。


 酒場が一軒あるが、そこ以外はひっそりと静まり返っている。夜中に出歩く人も少ないので、こっそり散歩するくらいなら普通にできた。


 俺はこの前見つけた秘密基地に到着すると、魔法の特訓を始めた。


 基本の三魔法は覚えているが、その他はまだ使えない。というか、魔力の消費が高すぎてどうやら使えないらしい。


 俺が今以上に魔法を使えるようにするためには、魔力の限界値を上げる必要がある。つまりレベルを上げなくてはいけない。


 レベルを上げるには戦わなくてはいけないが、ここが一番の問題だ。何しろ殺される可能性がある。


 それと、魔物と戦うにはこっそり村の外に出なくてはならない。体が小さい俺が一人でこれらを行うだけで、十分過ぎるほど危険だった。


 しかも誰かに同行を頼もうにも、手伝ってくれそうな人はいない。パメラに同行してもらうのは危険過ぎるし。


 そんな俺が唯一頼りにできるのは魔法しかなかった。でも、その魔法にだって不安要素がある。


 林の中に入ったところで、イリスに質問をしてみることにした。


========

 魔法の詠唱について

 詠唱と魔法陣を出現させるには時間がかかる。一人で戦う場合には、発動前に敵に倒される可能性が高い。

 だから可能な限り短縮させたいんだけど、何か方法がないだろうか

========


 詠唱と魔法陣。この二つが出現する前に攻められたらおしまいだ。


 魔術師はこの欠点を、仲間に守ってもらうことで補っているらしい。俺もできればそうしたいが、ぼっちなのが悲しい。


 イリスからの回答がすぐにくる。


========

 魔法の詠唱と、魔法陣の短縮化をご希望されているのですね。

 はい! 短縮させる方法はいくつかありますが、この魔法生成AI独自の、圧縮詠唱設定が特におすすめです。


 圧縮詠唱設定とは、詠唱文字を一字に圧縮、かつ思い描くだけで魔法陣と共に出現させ、魔法を発動させることができるものとなります。

 ※私を装着の上、過去に一度でも使用したことがある魔法に限ります。


 私の機能を用いれば、実質詠唱なしと同じように即発動することができます。


 圧縮詠唱設定を使用したい魔法を教えていただければ、登録後すぐにご利用が可能となります。

 ご検討ください!

========


「……え?」


 まったく予想もしていなかった回答で、俺は少しのあいだ固まってしまった。


 圧縮詠唱設定、などという単語を初めて聞いたが、要するにイリスに使いたい魔法を登録さえすれば、詠唱なし同然に使えるというのだ。


 ただ、イリスに触れて使ったことがある魔法でしか、圧縮という設定にはできないらしい。


 これは便利すぎる。というか、そんな機能を持ち合わせていたなんて。俺は興奮を覚えつつ、早速お願いしてみることにした。


========

 凄いな。そんな機能があるなんて知らなかった。

 早速使わせてほしい。

 ファイアボール、サンダー、フリーズを圧縮詠唱設定にしてくれ。

========

 私にはさまざまな機能が搭載されています。

 すぐに使用したいということですね。

 かしこまりました!


 それでは、私を体に接続させてください。

========


 接続というのがちょっと不思議な表現だが、要するに以前やったように、腕を魔道具に触れさせれば良い。


 腕にイリスが触れると、すぐに形を変えて腕輪のようになった。白い輝きと共に、何らかの処理が行われている。


 続いてこれまでにない赤青黄色の輝きが、目まぐるしく周囲を照らしていた。


 かなり派手な光り方をしているので、家でやらなくて良かった。バレバレなんてものじゃない。


 などと呑気に構えていたのだが、次の瞬間にそんな余裕は吹き飛んだ。


「う、おおお!?」


 突如として頭の中に、多くの詠唱文字が流れ込んできたのである。


 まるで勝手に想像させられているような、奇妙な感覚だ。


 それは高速すぎるがために読むことはできないが、魔法を使うためにイリスが流していることはすぐに理解できた。


 少しだけ頭がクラクラしたが、文字が消え去ったところで、体は何ともなくなっていた。


 一分ほどして、腕輪の液晶に文字が表示された。


========

 お待たせいたしました。

 これでリザン様は、ファイアボール、サンダー、フリーズについて、一つの詠唱文字を思い浮かべるだけで発動が可能となりました。

 ※私の装着、非装着を問わずご利用できます


 または私を装着している際のみ、魔法の名前を喋るだけでも発動ができます。他にも発動方法がいくつかございます。


 魔法の発動設定機能を解放しましたので、お好きに決めてくださいね!

========


「発動設定?」


 とりあえずイリスの画面内にある、歯車のマークを押してみる。


 すると確かに、幾つもの項目の中に音声発動というものがあった。


 これにもON・OFFがついている。


 まず、イリスを腕につけているという状況は、日常ではほとんどない。


 なので、特別必要な設定は今のところ思い浮かばない。別に変えずでも良いと考えた。


 設定についてはおいおい考えるとして、早速だが魔法を使ってみたい。


 夜中とはいえ騒ぎになると大変なので、一番影響の少なそうなフリーズの魔法を使うことにする。


 イリスによれば無詠唱同然ということだが、本当にできるのか。フリーズの魔法の圧縮された詠唱文字。それはすぐ頭に思い浮かんだ。


 文字の中に雪を思わせる絵が入っており、一文とは思えなくらい大きな文字だ。


 それが浮かんだ瞬間に、周囲の景色が変わったような気がした。


「あ……ああ……」


 この景色を変えているのが、俺自身であることに気づいたのは十秒ほど後のこと。


 あまりにもあっさりと、魔法が発動できる状態になっている。足元には魔法陣が浮かんでおり、その光が周囲を照らしていたようだ。


 俺は左手を向けて、それを解き放った。吹雪が枯れ木に降りかかり、やがて凍らせてゆく。


 魔法は思っていたよりも簡単に、かつすぐに放つことができていた。この事実に俺は感動せずにはいられない。


========

 素晴らしい。本当に一瞬で準備が整った。

 これなら護衛をつける必要もない。

 ちなみにどんな魔法でも、こうして詠唱と魔法陣を短縮できるのか?

========

 お褒めいただきありがとうございます!


 この世界においては、類似の方法で詠唱なしで魔法を発動できる魔術師が存在しており、護衛がいないという人も少数存在します。

 ですが魔術師にとって、接近戦が危険であることは変わりません。

 可能な限り守っていただける人を連れた上で、魔法をご利用されることをお勧めします。


 圧縮詠唱設定は、どのような魔法であってもご利用が可能です。

 他にも圧縮をご希望の魔法がありましたら、いつでもお申し付けください!

========


 なるほど。言われてみれば確かに、結局魔法を放つ時には、どうしても隙は生まれる。


 でも今の俺には護衛になってくれそうな人はいない。可能な限り自分で守りながら、やってみる以外にはない。


 魔力切れが近く、意識がぼんやりとしていた。


 俺はこの日は切り上げ、明日もう一度色々と試してみることにした。


 そして近いうちに必ず実戦を行い、レベルを上げてみせる。そう意気込んでいた。


 しかし不思議だ。魔力は数値みたいだし、レベルもあるわけで。つまり他にも数値が色々と内部に人間の内部にあることになる。


 これはまさにゲーム世界のようだが、違うのだろうか。


 イリスは女神の命令により、それについては答えない。


 この謎は長い間、俺にとって実に興味深い謎であり、日が経つほどに神秘は増していくばかり。


 俺があまりに魔法に傾倒するようになったのも、こうした謎に満ち溢れたものだったからもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。