魔物の討伐へ
メタルビーストという魔物について、以前AIイリスに聞いてみたところ、このような回答をもらったことがある。
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メタルビーストの強さと経験値、倒し方について知りたいとのことですね。
まず初めに、メタルビーストとは何か
メタルビーストは、ローディア大陸のサラン周辺にごく僅かな期間だけ出現する希少な魔物です。
主に春と秋に出現しますが、生態については謎に包まれており、魔物学でもほとんど解明されていない存在です。
全身がメタリックな皮膚で覆われており、相手や状況によって姿すら変えると言われています。
姿が変わるごとに、使用できる魔法やスキルが異なるため、強さにはムラがあると考えられており、冒険者にとっては運が絡む相手となります。
勝利した際の経験値は、どんな姿になっているかで差がありますが、総じてかなり高いです。
ファーガソン、サラン、コリアンダーの地区においては桁外れの経験値量を所持しています。
過去にレベル20で討伐した冒険者の例がありますが、一匹の討伐でレベルが5も上昇したという報告結果があります。
レベル20から25に上昇するためには、5年以上もの時間を要する場合もあり、多くの冒険者がメタルビーストを狙う理由の一つとなっています。
最後に倒し方ですが、メタリックボディは非常に強度が高く、かつ魔法攻撃がほとんど通用しません。
そのため、物理的な攻撃で倒すことが基本とされています。
他にもメタル系の魔物について知りたい場合には、お名前や特徴を教えていただければ詳細にお伝えできます!
何かありましたらお気軽にどうぞ。
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こうして聞く限り、レベル上げにはもってこいの相手であることが分かる。
ただ俺は非力な魔法タイプなので、最終的に物理で倒すためには、誰かの力を借りる必要があった。
当初はストーンゴーレムに頑張ってもらう予定だったが、せっかく来てくれた大人が二人もいるのだから、ダメ元で交渉するのも悪くない。
ひととおり説明してみると、エッジはその場に座り、どうしようか考えていた。
この反応がモニカには意外だったらしい。
「え? まさか子供と洞窟に入るつもり? どう考えても危ないでしょ」
「んー、まあな。……でもほら。そこに強い警備兵がいるだろ。俺たちとしても、こんな機会は滅多にないんじゃないか、と思ってよ」
そう言い、エッジはちらりとストーンゴーレムを見上げた。
「それはそうだけど。でも……」
二人は悩んでいる様子だった。パメラはこの後の展開が気になって仕方なく、どうにも落ち着かない様子だ。
俺はといえば、後はおまかせという感じで、パメラとゴーレムの近くで休んでいた。
案外二人の大人は悩んでいる。それは俺を子供というより、もう冒険者として認め始めているからではないか。
希望的観測を抱きつつ待っていると、エッジが勢いよく立ち上がった。
「よし! 少年! いっちょ試してみようか! だが無理そうならすぐに帰るし、戦いでは自分の身は、出来るだけ自分で守るんだ。いいな?」
俺は笑顔で首肯した。
「呆れた……まあ、あなたは一度決めたら変えないし……しょうがないわね。でも少しでも無理そうならすぐ撤退よ。それと、こちらのお嬢さんはどうするの?」
モニカはパメラのことを心配していた。当然ながら一番弱い彼女は、連れていくだけで死の危険がつきまとう。
「そこは俺に任せてくれれば大丈夫。パメラは、高いところから見てればいいよ」
「え? リザン、それってどういうこと?」
「こいつの上にいれば大丈夫ってこと」
俺はストーンゴーレムを指差した。すると、ゴーレムはパメラの足元に手を差し出す。
「乗るの? わー!?」
ゴーレムは女の子をすぐに持ち上げて、大きな右肩に乗せた。
イリスにお勧めされたボディーガードとしての命令は、少しも抜かりなく設定されている。
だから一見目立つようだが、一番安全な場所になっているはずだ。
でも何があるのか分からないので、木で作った盾や帽子を渡してあげた。
これで万が一被弾しても、そうそう大怪我になることはないはずだ。
「なんとまぁ、面白い光景だなぁ。じゃあそろそろ行くとしようか」
エッジは背中に預けていた鋼の剣を抜き、先導するように歩き出した。
「私は後ろを守るわ。気をつけてね」
最後尾にはモニカがつき、できる限り俺たちに危険が及ばないように配慮している。
普通は見るからに逞しい二人と一緒に、ゴーレムまでついていれば安心できるはずだ。
だが洞窟に入ってみると、安心感が途端に吹き飛ぶのを感じた。闇の中から、獣よりも濃く残忍な匂いが漂ってくる。
俺は静かに、懐からAIイリスを取り出して腕に装着した。
ダンジョンの中でも、AIが役にたつ場面が出てくるはず。スマホのように使うより、腕に巻いているほうがこういう時はやりやすい。
「パメラ、松明を頼む」
「はーい」
荷物持ちを引き受けてくれたパメラが、袋から松明を取り出し、マッチを使って火をつけた。
すると、闇の中がいくらか明るく照らされ、入り組んだ通路が姿を現した。エッジは先頭で、頭を掻きながら退屈そうにしている。
「とはいえ、この洞窟にメタルビーストがねえ。今まで何回も探索してるけど、ここは練習みたいな場所でさ。とてもご大層なレア魔物なんていなかったぜ」
そう語るお兄さんの前に、棍棒を持ったトロルがやってきたのはまもなくのことだった。
「おっと! 始まったな。後ろにいろよ」
気がつくと、すぐ近くにモニカもいる。
三メートルを軽く超える魔物は、こちらを見かけるなり声を荒げて向かってきた。
「ひゃあ!?」
ゴーレムの上にいたパメラが悲鳴を上げた。あまりの迫力に堪らず叫んでしまったようだ。
気持ちは分かる。俺もこの時は大層驚いていた。
これまでやり合ってきた魔物とは、一段も二段も上の圧力。猛り狂う巨体は、いつこちらを標的にしてもおかしくはない。
しかしエッジとモニカは動揺することなく、慣れた動きで巨漢を攻略していく。
一人が引き付けている間に、もう一人が斬りつける。
一撃で倒すことは難しいが、二人は上手く連携することで体格差を乗り越えている。
魔物は怒りを露わにして、執拗に棍棒を振り回し地面に叩きつける。
その度に背筋が凍る思いだったが、巨漢慣れした冒険者は怯みもしない。
しかもトロルが俺を狙いかけた時もあったが、上手く自分達を囮にして引き離してくれた。
瞬殺されかねない空気が、徐々に緩和していく。無数の剣撃を浴び続けたトロルは、やがて物言わぬ肉の塊へと変わる。
力なく崩れ落ちたその瞬間に、エッジのロングソードが首を薙いだ。
獰猛な魔物との殺し合いが終わり、俺は小さく嘆息していた。
「お兄ちゃんとお姉ちゃん、つよーい!」
パメラはゴーレムの上ですっかり興奮していた。俺もまた感動していたが、一つ懸念点が浮かんでいる。
この戦いの最中、何度か魔法での攻撃を試みたけれど、むしろ邪魔になる未来しか見えなかったのである。
エッジとモニカの連携は、まるで芸術と言えるほど洗練されていた。だから魔術師の支援はいらないばかりか、むしろ邪魔になることもありえる。
その点に気をつけなくては、この先盛大に足を引っ張りかねない。
「思ったより時間がかかっちまったな。お? お嬢ちゃん。これ袋に入れといて」
「はーい! 小さいのも持ってたんだ」
「珍しいわね。人のを奪ったのかしら」
トロルは人と変わらない大きさの棍棒の他に、小さい棍棒も隠し持っていた。
モニカの推理どおり、人が持っていた物を奪ったのではないかと思われた。この洞窟で亡くなる人も多いのだろう。
冒険者達は普段気にもとめていないようだけど、普通に考えれば危険極まりない空間だ。
とにかく警戒を怠らずに行こう。そう考えていた矢先のこと。
さっきの戦いが易しく思えるような、厳しい戦いが突然始まったのだ。




