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「冒険者ってどうやったらなれるんですか?」
宿の主人に聞いてみた。
「ギルドで登録すればなれるがやめといた方がいい。あんたらだろう。駆け落ちしてきたお貴族様ってえのは」
「違いますよ」
「しらばっくれるな、あんたらの服は平民に買えるもんじゃなかった。その剣だってお高そうだしな。もう街中噂になってるぜ」
「あらまあ」
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「ヴァルクネアさん、私たち駆け落ちしてきた貴族って噂になってるみたいです」
「ほう」
「とりあえずギルドで登録したら冒険者になれるらしいのでギルドに行きましょう」
剣だけ持って冒険者ギルドに向かった。
「すみません、冒険者になりたいんですけど」
「ではこちらにご記入ください」
手渡された用紙に必要事項を書いていく。
「ちょっと待ちな、あんたらだろう? 護衛を迷宮に置き去りにしたお貴族様ってのは」
か、絡まれたー!
「なんのことだ」
不快そうにヴァルクネアさんが応答する。
「目撃者が大勢いるんだよ。迷宮から出て行く白い長髪の貴族の男と黒髪の貴族の女。あんたらに間違いないだろう? 護衛を置き去りにして迷宮から出て行くような奴らを冒険者にするわけにはいかねえんだよ」
「確かに私たちは迷宮を出ましたけど護衛なんていませんよ。二人だけで入って二人だけで出て行ったんです」
「見え透いた嘘を吐くな。俺たちのパーティーが置き去りにされた護衛を十三層で保護したんだよ」
十三層か、ふむ、上層だな。
「ではその人に会わせてください。初対面だと言ってくれるでしょう」
「かあー、これだからお貴族様は! あんたらが初対面だって言ったら相手もそう言わざるを得ないだろうが!」
「困りましたね、ヴァルクネアさん。私たちには護衛なんていなかったのにこの人は信じてくれそうにありません」
あ、受付嬢もなんだか疑いの目で見てるわ。嫌だなあ。
「ふむ、ならば貴様はどうしたら私たちが二人だけで迷宮に入ったと認めるのだ?」
「そうだなあ、俺から一本取れたら認めてやるよ」
「そんなことでよいのか?」
「おい、エリン嬢ちゃん。演習場借りるぜ」
「ええ、ペテロさん。お願いします」
やって来ました演習場。なんだか観客がたくさんいるぞ。なんで?
「二人がかりで来てもいいぜ」
「ウメノよ、耳を塞いでおれ」
審判を買って出た冒険者の男も私たちに敵意を向けている。嫌だなあ、完全アウェーじゃないの。
「グオオオ――――!」
ヴァルクネアさんが吠えた。ビリビリと大気が震えて誰もが動けない。スタスタと歩いて冒険者の男の元へ行きデコピンで相手を吹っ飛ばした。私は慌てて相手の男の様子を見に行く。意識はないけど息をしていたので安心した。
「審判よ、判定は?」
審判の男はまだ動けない。少しヴァルクネアさんが苛立っているように見える。
「ヴァルクネアさん、手加減してくれてよかったです! いやあ、うっかり相手の人を殺しちゃったらどうしようと心配していたんですよ! さすがはヴァルクネアさんです、強い!」
飛び付かんばかりにヴァルクネアさんの元へもどり褒めちぎる。
「勝者、ヴァルクネア!」
ようやく動けるようになった審判がそう叫んだ。
「驚いたな、君、『咆哮』スキル持ちなのか。獣人には見えないが……」
「貴様に私の個人的な事情を話さねばならぬのか?」
「いや、そうだな。すまない」
そんなわけで私たちの主張は信じてもらえたのであった。
演習場からギルドに戻って用紙に必要事項を書いていく。なんだか遠巻きにヒソヒソされてるぞ。
「受付嬢よ、名前欄が小さいのだが」
「ひっ、み、ミドルネームは省略していただいてかまいません!」
「そうか」
そう言うとヴァルクネアさんはヴァルクネア・ホワイトと書いていた。どう見てもアルファベットだ。そんなわけで私もウメノ・キサラギとローマ字で書いておいた。というかヴァルクネアさん竜なのに字が書けるんだ。
「で、では、こちらに手をかざしてください」
石板に先ほどの用紙が置かれてその上に手をかざせばカードが現れた。
「そちらがギルドカードです。再発行にはお金がかかるのでご注意ください」
受付嬢は私だけを見て話すことにしたらしかった。それから説明を聞いて私たちはギルドを後にした。




