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道中出てくる魔物はヴァルクネアさんが剣でサクッと倒してくれた。ヴァルクネアさん、剣も使えるんだ。
「食事にするか」
そう言ってヴァルクネアさんが魔物肉を口にしようとするのを慌てて止めた。
「ヴァルクネアさん、人は基本的に生肉を食べません! 火を通して食べるのでちょっと待ってください」
私の魔法で魔物肉をこんがり焼いて二人で食べた。経験値はちょっとだけ貯まるけどもう魔物肉を食べてもレベルが上がることはない。
四時間くらい歩けば迷宮から出られた。道中すれ違う冒険者たちにはあり得ないものを見る目で見られた。そりゃそうか。一人は美しい男で一人はドレス姿だもんね。
迷宮の外は街だった。けっこう栄えているが冒険者っぽい人間が多く嫌な気持ちになる。
ここで生きていくためにはお金が必要になる。それから目立たない服と寝床。
「ヴァルクネアさん、まずはお金を手に入れましょう」
許可を得てヴァルクネアさんの貢ぎ物コレクションの中の古い金貨を何枚か売り払う。そして金貨十五枚が手に入った。それから服屋に行って目立たない服をくれと言う。私はくるぶし丈のエプロンドレスを勧められたのでそれを買う。ヴァルクネアさんはズボンとシャツ。お互いに何着か着替えを買って残金が金貨十一枚。
宿をとってツインルームのベッドに倒れ込む。ヴァルクネアさんももう一つのベッドに座ってマットレスの感触を確かめていた。
「これが人の子の寝床か。柔らかいな」
「これからどうしましょうね。働かないといけないし、家もほしいし」
「必要な物は買えばよい。私の財宝を売り払えばそれなりの額が手に入るだろう」
「それはあんまりしたくないんです。だって、ヴァルクネアさんが番さんのために一生懸命集めた物でしょう」
私の言葉にヴァルクネアさんは目を細めた。
「仕事、どんなのがあるんでしょうね」
「私は人の子の営みに疎い。冒険者くらいしか知らぬ」
「いっそ、冒険者にでもなります? ヴァルクネアさんは強いですし私だって弱くはありません」
「それも一つの手か。よかろう。冒険者になろう」
「じゃあ明日は冒険者になりにいきましょう。どうやってなるのかは知りませんけど、そこはなんとかなるでしょう」
今日はもうお風呂に入って寝ることにした。
「ウメノ、水浴びだ。共にせぬか」
「ダメです。ヴァルクネアさんが人の姿になれるって知ってたら一緒に水浴びなんてしなかったんですから」
「なぜだ?」
「人は番や自分の子以外の異性とは一緒に水浴びしません」
そう言うとヴァルクネアさんはショックを受けた様子でふらふらとお風呂場に向かった。
髪の毛がびしょびしょのままお風呂場から出て来たヴァルクネアさん。ベッドに座らせてその髪をタオルで拭いた。
「ウメノ」
ぎゅっと子供のように私に抱きつく。
「ヴァルクネアさんのことは好きですよ。でもあれは人間の常識です。覚えておいてください」
「ああ、覚えよう。おぬしと共にあるために」
ここで梅乃の口にした好きはライクであってラブではありません。というか相手は人外なので恋愛対象として見ていません。




