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「そういえば結婚するなら盛大に祝ってやるってギルド長が言ってましたね」
「そういえばそんなことを言われたな」
「この世界の結婚ってどうするんでしょうね」
「さあ? 私も知らぬ。それこそギルド長に聞けばよいのではないか?」
そんな会話をして最初の火曜日がやってきた。
「ギルド長よ、結婚とはなにをするのだ?」
「お前たち、結婚するのか?」
「ああ」
「はい」
「そんなもん、教会で結婚誓約書にサインしてあとはみんなで大騒ぎだ」
「特に用意する物はないのか?」
「ヴァルクネア、プロポーズしたんなら指輪を贈らねえと」
ギルド長がチラリと私の方を見てから言った。
「指輪?」
「ああ、婚約指輪だ。結婚したら揃いの結婚指輪もいるぞ」
「分かった」
その日の夜、ヴァルクネアさんの貢物コレクションの指輪を片っ端から試すことになった。この世界でも婚約指輪は左手の薬指らしい。
「あ、この指輪サイズが丁度いいです」
「これだな」
ルビーらしき石の付いた指輪をヴァルクネアさんに渡せば彼はその指輪をまじまじと見ていた。それから自分の指にはめようとして、小指すら入らないと笑った。
次の日の朝、ヴァルクネアさんは王都に行くと言って飛び立った。私は留守番だ。
ヴァルクネアさんはなかなか帰ってこなかった。もう一週間以上経っている。道中トラブルでもあったのだろうか。なんて少し心配になりながら彼が帰ってくるのを待った。
それから三週間経ってようやくヴァルクネアさんは帰ってきた。
「おかえりなさい。遅かったですね」
買い出しに行こうと家を出たらヴァルクネアさんと会った。
「ただいま。貴金属とは作るのに時間がかかるものだと初めて知った」
そう言うとヴァルクネアさんは私の目の前に跪いて指輪を差し出した。
「ウメノ、私と結婚してほしい」
「もちろんです。ヴァルクネアさん」
このプロポーズはきっと誰かの入れ知恵だろう。それでもよかった。抱きつけば背中に腕が回って、額に唇が降ってくる。
「ヴァルクネアさんが留守にしてる間に宰相さんがピンクダイヤのネックレスを持ってきてくれたんですよ」
「気に入ったか?」
ノーと答えたら大変なことになりそうだと思って私は微笑みながら返事をする。
「はい、とっても」
「ならよい」
「夕飯の買い出しに行くところだったんです。行ってきますね」
体を離せば左手をとられ薬指に指輪をはめられた。ヴァルクネアさんの瞳と同じ紫の宝石の付いた銀色の指輪だった。
「忘れ物だ」
「じゃあ、今度こそ行ってきます」
「ああ、待っている」




