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私とヴァルクネアさんが王都にやって来て一週間。宿にいつかの偉そうな人と騎士がきた。
「勇者ヴァルクネア・ホワイトよ! 王都にある火竜の迷宮を攻略せよ!」
なんだなんだと周りの宿泊客も見ている。
「断る」
「王命であるぞ」
「だが私にはその迷宮を攻略する理由がない」
「百年前に奪われた王妃の首飾りを取り戻すのだ!」
そう言って偉そうな人が一枚の紙を渡してきた。首飾りの絵が描いてある。ふむ、エメラルドのネックレスか。そう、どことなく見覚えが……。ってこれヴァルクネアさんが私にくれたやつじゃないですか!
「ヴァ、ヴァルクネアさん、ちょっとこれ見てください……」
ヴァルクネアさんはひょいと覗き込んで眉間に皺を寄せた。
「これは……」
「あの、もしかしてこれですか?」
アイテムボックスからネックレスを取り出して偉そうな人に見せると、彼はあちこち確かめて声を上げた。
「間違いない! 王妃の首飾りだ」
ざわめきが広がる。
「して、娘よ、なぜ貴様が王妃の首飾りを持っていたのだ?」
「ヴァルクネアさんに貰いました」
「ま、まあ、そういうこともあるか。よし、ではこれは回収させてもらう」
「待て。私たちが持って行く」
「はあ」
偉そうな人は困惑している。
「私は貴様という人間を信用していない」
「では、謁見の用意をしておく。首飾りを持って明日の十一時に城へ来るように」
偉そうな人は騎士を二人残して帰っていった。見張りのつもりらしい。騎士二人は私たちの部屋の前に立っていて出かけようとすると付いてくる。私たちは夕飯を食べるために宿を出ていた。正直鬱陶しいったらありゃしない。あと周囲の視線がすごい。
「ヴァルクネアさん、今日の夕飯どうします? 屋台っていうのもありですね」
「ウメノの食べたいものを食べよう」
「そう言われると迷いますね」
キョロキョロと周囲に視線をやって私はある屋台を見つけた。どうやら丼ものを出しているらしい。お米ってこの世界にもあったんだ。知らなかった。
「ヴァルクネアさん、あれ食べたいです!」
「ならそれにしよう」
見た目はルーロー飯っぽいけど八角の香りはしない。スパイスっぽい香りはするけどなんだろう? 私の知っているスパイスではない。一口食べてみる。醤油系の味付けだ。美味しい。豚と醤油とスパイス。まずいわけがない。これが嫌いな日本人はいないのでは? お米もジャポニカ米っぽいし。
私は好きだけどヴァルクネアさんはどうだろう? と様子を窺ってみる。普通に食べてる。こういう系の味付けもいけるんだ。醤油っぽい調味料は探せばありそうだし日本食を作ってみるのもありかも。
「ウメノ、あの首飾りは私がおぬしに贈ったものだ。渡してしまってよいのか?」
「はい。いただいた物を他の人に渡すのはどうかとも思うんですけど、相手は国ですからね。面倒ごとを避ける為にも渡してしまいたいなと」
「気に入らなかったか?」
しょんぼりしながらヴァルクネアさんが聞いた。
「そんなことはないです! でも私たちの平穏な暮らしの方が大事です」
「そうか」




