15ヴァルクネアサイド
王宮に泊まることになってしまった。しかもウメノと別の部屋である。いかに豪奢な部屋であろうとウメノがいなければ意味がない。逆に言えばどんな粗末なあばら屋であってもウメノさえいればそれでよいのだ。食事も別別にとらされた。急遽晩餐会が催され、王族とかいう金髪碧眼の人間に囲まれて食べるハメになった。豪華な食事もウメノと一緒でないなら味気ないものだ。それにウメノの作る料理の方が何倍も美味しい。王族の娘がなにやら話しかけてきて鬱陶しい。ウメノは今なにをしているだろうか。そう考えながら生返事を返した。
翌朝、謁見の間に連れて行かれた。ウメノもいる。抱きしめて話を聞くことにした。
「勇者ヴァルクネア・ホワイトよ、邪竜を討伐した報奨として大金貨百枚と爵位を与え、末の姫を降嫁させる。また王都騎士団の団長に任命する」
「いらぬ。私はウメノと婚約している。末の姫など貰っても困る」
「ウメノとやらよ、身を引こうとは思わないかね? 彼にはこれから輝かしい未来が待っているのだ」
「輝かしい未来ですか?」
「そうだ、貴族となり王族と縁を繋ぎ騎士団長となるのだ」
「ヴァルクネアさん、興味ありますか?」
「まったく」
「では私は身を引きません」
ぎゅうとウメノを抱く腕に力を入れた。私の番が今日も愛おしい。
「そんな娘よりわたくしの方が美しいではありませんか、ヴァルクネア様」
「私の番がお前のような人間に劣ると?」
眉間に皺がよった。そもそも彼らは私の正体を知らない。竜だと知れば恐れるくせになにを言っているのやら。そうだ、見せてやればいい。
ウメノから手を離して竜の姿に戻る。
「これでも私に嫁ぎたいと?」
「ひっ、ば、化け物」
「王よ、私は竜だ。人の世界の名誉などいらぬ。ああ、だが大金貨百枚は貰っておこう。金はあって困るものではないからな」
「ヴァルクネアさん、服がダメになっちゃったじゃないですか!」
ああまた着替えを買わないとなんてウメノは言っている。怒った顔も可愛らしい。
顔色を悪くした人間から大金貨の入った袋を受け取りウメノに渡した。ウメノはアイテムボックスにしまってくれた。さて、もうここには用はない。
「ウメノ。帰ろう。背中に乗っておくれ」
ウメノが背中に乗ったのを確認してから歩き出した。屋内ではさすがに飛べない。しばらく歩いてようやく外に出られた。
「飛ぶぞ」
「はい、ヴァルクネアさん」
ウメノは防風の魔法を使ったようだったから遠慮せずにトップスピードでシールドの町を目指した。
大金貨一枚イコール金貨百枚です




