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不承転生者の魔法学園生活  作者: ウバ クロネ
【第8.5章】イグノ君、遺跡調査をする
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8.5−11 マジもマジなお願い

「最初はプリカント様に感謝もしていたわ。彼女のお陰で美人になれたし、魔法も使えるようになったし……この能力があれば、男達は思うがままだった。歳も取らなくなったから……ずっとずっと、綺麗で可愛いままでいられると、思っていたの」


 随分としおらしいキリアさんを前に、俺もハーヴェンも戦意はとっくになくて。アクアバインドを解除されても、「キシャァァァ!」とこないのを見るに……彼女の「保護してほしい」は、マジもマジなお願いらしい。


「でもね。段々と、人間の姿を保つのが難しくなってきているの。まだ、自由自在に切り替えられるのだけど。魔物になった時の姿は人離れし始めているし、少しでも興奮すると人型を保てなくなっているし……」


 どうやらあっちの姿は、キリアさんも納得した結果じゃないらしい。人離れし始めていると言っている時点で、最初はあそこまで「クリーチャー!」じゃなかったんだろう。きっと。


(こうなるって知ってたら、キリアさんも魔物になる選択をしなかったのかもなぁ)


 口ぶりからするに、彼女は徐々に魔物になり切ろうとしているっぽい。だけど、本人はもちろん魔物になりたいと望んでいるわけでもなくて……。人間に戻れないにしても、街で暮らしたいんだとか。


「できれば、これ以上の魔物化だけは止めたいの。だって……こんな所で一人暮らしなんて、寂しいもの」

「……それは無理な話だな。デザイナーズエレメントは完成度が高ければ高い程、人間離れしていく。段階的に深度が進むなんてのは、初耳だが。突発的な発作が出ている時点で、人間との共存はかなり難しいだろう」

「そうよね、何となく……分かっていたわ。あーぁ……どうして、こんな事になっちゃったのかしら。最初は私を捨てた男を見返したくて、力をもらっただけのつもりだったのに」


 えぇ〜、こんなに可愛い子を捨てるなんて勿体ない……って、あぁ。いやいや、この姿は後付けなんだっけ。だとしたら、前の姿はどんな感じだったんだろう。


(もしかしたら、かなりのおブスだったのかも知れない……?)


 やっぱ、女の子は見た目が一番大事よ。誰が何を言おうが、男は外見で女の子の印象を決めつける生き物なもんで。もちろん、「話してみたら、おもしれー女だった!」……なんて、展開もゼロじゃないんだろうけど。そんな偶然の産物でもなければ、俺も愛想を尽かして……はあり得るかも?


「それにしても、男って本当に下らないわよね! ちょっと美人になっただけで、ヨリを戻そうなんて簡単に言い出すし! 魅了を使わなくても、擦り寄ってくるし! 女を見るなら、中身も見なさいよ、中身も!」


 あっ、やっぱりおブスだった感じか? そうなんだな?

 キリアさんの半生は知らないし、興味もないけれど。手の平クルックルだったみたいだし、相手の男も微妙だったのかも知れないなぁ。利用するにしても、ハーレムを作るにしても。その気にさせたら、きちんと最後まで面倒見ないとダメなワケ。女の子は怒らせると、本当におっかないんだから。本気にさせといてポイっとね……なんてしたら、刺されても文句は言えないと思う。


(でも、中身も見ろっていう割には、キリアさんは中身も微妙な気がする……)


 中身も見たら、更に幻滅しそうだと思うのは、俺だけなんだろうか?


「うん……それには、俺も同感だ。見た目で何もかもを判断するような奴は、男の風上にも置けないな」


 だけど、ハーヴェンはキリアさんの主張に全面的に同意っぽい。俺の心の声を全否定する勢いで、ウンウンと頷きながら、「そんな男は捨てて正解だ」とか言っちゃってる。

 ……いや、待てよ。お前、それ……マジで言ってるのか? あんなに可愛い大天使ちゃんが嫁の時点で、説得力ゼロなんだけど⁇ しかも、可愛い以前に凶暴みたいじゃん、あの大天使ちゃん。……本当に中身も知ってて、彼女と結婚したのか? 絶対、嘘だろ⁉︎


(ま、まぁ、こいつはこいつで、普通の恋愛観を持ってないからな……)


 見た目云々よりも、お嫁ちゃん一筋を契約で強制させられているみたいだし。ハーヴェンは悪魔のくせに、恋愛観も小綺麗でサッパリし過ぎている気がする。


「そうでしょう、そうでしょう⁉︎ 私はあなたみたいな人を待っていたのよ! だから、ハーヴェン様! 私を保護するついでに、付き合って……」

「あっ、それはお断りしていい? 俺はこれで、既婚者なもので。……可愛い嫁さんと娘ちゃんがいるんだ」

「なんですって⁉︎ それ、先に言いなさいよ!」

「いやいや、待って。先に言うも何も、先制で魅了を仕掛けてきたのは、君の方だろうに」


 これが見えない? ……なーんて、ハーヴェンがキリアさんに左薬指を示して見せる。そうだな、ハーヴェンはずっと大天使ちゃんとお揃いの赤い指輪、ちゃーんと嵌めてたな。しかも、指輪自体は魔法道具だとかで……魔力をアップさせる効果があるそうな。


(魔力アップも美味しいが……何より、結婚指輪が魔法道具ってのは、格好いいよな)


 可愛い女の子を集めてハーレムを作ったら、全員に魔法道具の指輪をプレゼントするのも悪くない。そんでもって、「イグノ様の指輪、一生大事にしますぅ!」なんて抱きつかれちゃったりして。


(デュフフ……! 妄想が広がリング……!)


 この調子でいけば、俺も特殊祓魔師の仲間入りは確実だし? 今から魔法道具の材料集めを頑張っておくのも、無駄じゃあるまい。とりあえずハーヴェンにくっついていれば、両方狙えそうだし。これからも俺のために、トコトン働いてもらおう。


(しかし……ハーヴェンって、本当にモテるよな……。なーんか、面白くないな)


 諦め悪く言い寄るキリアさんに、イヤイヤと一生懸命に首を振って拒絶しまくっているハーヴェン。また妙な塩っぱい顔をしながら、本当に迷惑そうに眉間に皺を寄せている。


(これだけ拒否られて、諦めないとか。キリアさんも、どんだけ必死なんだよ……)


 まぁ、確かに? ハーヴェンは実力も見た目もバッチリ揃ってるし、女の子が放っておかないのも分かるけど。でもさぁ……そのせいで、俺の存在感が霞むんだよ。ハーヴェンがモテ過ぎるせいで、俺は見向きもされないことも多いんだもん。……俺もかなりイケてると思うんだけど、何かが足りないらしい。


(くぅぅぅ! 俺もモテまくりたい! そんでもって、女の子に熱烈に言い寄られたい!)


 やっぱり、あれだな。魔術師にもブランド戦略が必要……つまりは、ハーレム実現には特殊祓魔師の肩書きが必須! こうなったら、俺も特殊祓魔師になって、モテにモテてやる! そのためにも、ハーヴェンをガッツリ利用させてもらおう。デュフ!

【武具紹介】

・悪魔のマリッジリング・ブラッドレッド(闇属性/魔法攻撃力+66、魔法防御力+52)

ベルゼブブが作成した魔法道具で、悪魔が天使にプロポーズする際に用いる魔法の指輪。

ハーヴェンとルシエル専用の物は真紅を示し、材料に因んで「ブラッドレッド」の銘が付いている。

大元の素材にハーヴェンの記憶のカケラを利用しており、鮮やかな赤は勇者・ハールが所持していた深紅のリボンと、そこに染み付いた彼の血液によるもの。

ペアで装備することで、互いの魔力と「シンクロ率」が上昇する他、第三者の祝詞への介入(要するに、横槍である)を完全に防ぐ効果がある。

恩恵が大きく、無害にも思えるが……実は悪魔メイドな呪いの防具であり、外すことは不可能。

この指輪を嵌めたら最後、その婚姻関係は強制的に永遠の誓いとなってしまう。

外そうとすると、世にも恐ろしい「呪いの効果音」が鳴り響く。


【補足】

・シンクロ率

天使と精霊(悪魔含む)が全幅契約を交わした際に、天使側が対象者の祝詞を解放することによって、魔力を融合させ、補填・強化できる事象のこと。

互いの信頼度に応じて魔力の相互流通ができる度合いが変わり、特に相互流通の補填率を「シンクロ率」と呼ぶ。

シンクロ率の上昇値は精霊(悪魔)と天使の相性や関係性に左右されるが、シンクロ率が高ければ高いほど、下記の追加効果を得る事ができる。


→魔力と器を一時的に統合し、魔力を共有・合算できる

 魔力の器を融合し、互いの魔力を一時的に合算することで、魔力不足を補う。

 これにより、片方が魔力不足に陥った場合に魔力を分け与えることで延命できたり、本来は魔力不足で発動できない魔法も一時的に発動できたりと、1人では不可能な事でも強引に可能にできてしまうのが、最大の特徴。

 また、総魔力量は純粋な足し算ではなく、掛け算での上乗せとなり、掛け算の定数はシンクロ率の高さに比例して大きくなる。


→連携魔法の発動難易度が下がる、異なるエレメントで連携発動が可能となる

 魔力をシェアしている事によって、互いの呼吸(詠唱)を読み合う事が容易になり、連携魔法発動のハードルが下がる。また、シンクロ状況下であれば異なるベースエレメントの魔法同士を掛け合わせることもでき、単体では絶対に発動できない異属性での連携魔法の錬成も可能となる。

 ただし、連携魔法の発動成功率もシンクロ率の高さに比例するため、いくら全幅契約を結んでいたとしても、連携魔法の発動は保証されない。

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― 新着の感想 ―
ハーヴェン先生と比べちゃダメだって、イグノ君‥‥‥笑
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