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不承転生者の魔法学園生活  作者: ウバ クロネ
【第8章】魔法武闘会、ついに開催です
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8−62 生粋の実力派

 特殊祓魔師になる。そして、ヴァンクレスト遺跡の調査に参加する。そこまで彼を遺跡調査に駆り立てる理由は、まだまだ不明だが。様子を見ている限り、遺跡調査に興味があるのではなく、ヴァンクレスト遺跡の方に興味があるのだろうと勘繰っては……ミアレットはフォゼの孤独にちょっぴり同情し始めていた。


(そっか……実力があったらあったで、浮いちゃうもんなのね……)


 流石に、決勝戦に近づく程に実力者が増えた実感はあったものの。大多数の生徒が魔法の勉強だけではなく、貴族ならではの「出会い」も学園生活に求めている時点で、フォゼのような生粋の実力派は珍しいのだろう。その上、平民で単独合格に加えて、この性格ともなれば。……彼が孤立するのは、当然の流れだったのかも知れない。


「特殊祓魔師の認定試験に挑むには、実地訓練でいい結果を残す必要があるんだが……毎回、メンバーに恵まれなくてな。いたところで足手纏いになるし、1人で挑んでいたけど……チームワークも評価対象なもんだから、スコアが伸び悩んでいるんだよ」

「ですよねぇ。ベースエレメントの偏りを考えた場合、単独の調査や攻略はただの自殺行為ですから……」

「やっぱ、そうなるよな。……うん、分かっているさ」


 どうやら、フォゼは「課外学習」のチームメンバー集めに苦労しているらしい。ここまで突き抜けてしまうと、彼に同行できるレベルの生徒がいないのも、大袈裟な話ではなさそうだ。


(そう言えば、マモン先生も言ってたわよね。魔術師には協調性も必要だ……って)


《特殊祓魔師に何よりも必要なのは魔法の知識でも、実力でもなくてな。周りときちんと上手くやっていける、協調性が必要不可欠だ》


 確か、ヴァルムートを諭していた時に出た発言だったか。だが、偏った思想に凝り固まったヴァルムートとは異なり、フォゼは協調性の重要性も理解しているようで。ミアレットの指摘も素直に認めては、肩を落としている。そんな彼を前に、ミアレットはいよいよ居た堪れない気分になってしまうが……そこは、目標に向かって全力なフォゼの事。いい事を思いついたとばかりに、更に面倒な事を言い出した。


「お前の言うパートナーって……ベースエレメントは何だ?」

「えーと、水属性ですけど……って、まさか!」

「そのまさか、だよ。課外学習のメンバーは4人まで参加可能だ。しかも、水属性なら被りもないし、丁度いい! お前のパートナーも一緒に組めばいいんだよ!」

「……いや、それは彼女にも聞いてみないと……」


 それでなくとも、エルシャにもセドリックを探すという目標がある。ステップアップするに越したことはないのかも知れないが、彼女の目標も特殊祓魔師になる事は必須ではない。どう考えても、ミアレットが勝手に同意していい内容ではないだろう。


「だったらさ。話を通しておいてくれよ。なっ、頼むよ!」

「いや、そもそも……私も参加するって言ってないんですけどぉ?」

「そんなつれない事、言うなって。俺を負かした責任くらい、取ってくれてもいいだろ?」

「……それ、責任を取る必要がある内容です?」


 なんだか、話が噛み合っていない気がするが。あんなにも強気だったフォゼに「頼むよ!」と更に手を合わせられたらば、断固拒否はできないのが、ミアレットの押しが弱いところである。


「もぅ、分かりましたよ……彼女が嫌って言ったら、断りますからね。それでいいです?」

「あぁ、もちろんだ。いい返事、期待しているぞ!」


 そう言いつつ、しっかりと学生寮の部屋番号を伝えてくるフォゼ。いい返事になるかどうかは、エルシャ次第なのだが。エルシャはエルシャで、貴族令嬢の割には好奇心旺盛な部分もあるし、課外学習に参加する羽目になるんだろうなぁ……なんて、ミアレットはまたも妙な懸念事項を抱える羽目になったと、内心で頭を抱えていた。


***

 祝★魔法武闘会優勝! キュラータは約束通りに、ミアレットの優勝をお祝いしてくれるようで。しっかりと来賓室を抑えては、カテドナやガラと一緒にお茶とお菓子も準備万端と待ち構えていた。そんな特別仕様の来賓室には、エルシャに加え、ナルシェラ達やアンジェ達も揃っており、一様にお祝いムード全開である。


「ふふ……流石は、ミアレット様です。このカテドナも、鼻高々ですわ」

「いや……どちらかと言うと、優勝はエックス君のおかげな気がしますけどぉ……」

「そんな事ないさ。エックス君を使いこなすのも、ミアレットの実力の賜物だろう」

「そうなります?」


 周囲の皆々様から一様に褒められれば、悪い気はしない……のを通り越して、恐縮しっぱなしのミアレット。生前はここまで褒められるイベントもなかったなぁと思い返しながら、「アハハ」と複雑な苦笑を漏らすことしかできない。


「それで、エルシャ……変なお誘いをもらった訳なんだけど。どうする?」

「課外学習って、危険はないのかしら? 危なくないのなら、是非に参加してみたい!」

「……うん、そうなるよね。何となくだけど、分かってた……」


 そんなお祝いの流れで、フォゼのお誘いについて話をしてみれば。予想通り、好奇心任せにエルシャは乗り気も乗り気の様子である。安全確保を気にしてくるあたり、冷静さを欠いてはいないようだが……やや前のめりなのを見ても、多少の危険は承知してしまいそうな勢いだ。


「でも、安全性を確保するなら、地属性のメンバーも欲しいわぁ。……誰か、いないかな?」

「そっか……防御魔法が得意なメンバーも必要よね」


 参加する流れになったのは、さておき。結局は具体的な計画を立て始めてしまう時点で、好奇心が旺盛なのはエルシャだけではなく、ミアレットも同様らしい。


「でしたらば、ディアメロ様もご一緒に参加すればよろしいのでは?」

「えっ?」


 不意打ちのダンディボイスに、慌てて振り向けば。そこには、お代わりのお茶を手にしたキュラータと、何やら乗り気らしいディアメロが立っている。2人ともミアレットとエルシャの話を聞いていたようで、意外な提案してくるが……。


「……ディアメロ様、地属性だったのです? そもそも魔力を取り戻せた事自体も、初耳なんですけど……」

「うん、つい先日分かった事なのだけど。魔力の測定と一緒に、クラス鑑定もしてもらって……僕はエンチャンターというクラスになるらしい。まだ初級魔法しか使えないが、副学園長先生に手解きもいただいているし、それなりに役には立つと思う」


 なお、一方のナルシェラのベースエレメントは風属性との事で。ミアレットと「お揃いだね」と嬉しそうにしつつも、今回のお役目をもらえなかった事はちょっぴり残念な様子。ほんのり悔しそうに、ディアメロを見つめている。


「王子様達も、無事に魔力適性をゲットできたんですね。おめでとうございます! 私の優勝より、そっちをお祝いするべきなんじゃ……」

「いや、ミアレットの快挙には敵わないさ。それでも……折角だから、僕達も一緒にお祝いしてもらおうかな。ね、ガラ君」

「そうっすよ! ナルシェラ様も無事に、魔法を使えるようになったんですし! ……メローが生きてたら、泣いてたかも知れないっす」


 そんな事を言いつつ、「くぅ〜」と目頭を抑えているガラ。かつての相棒の代わりに感極まったようで、結局は自分が涙を流している。


(色々あったけど、こうしてお祝いしてもらえるのは、いい事だわぁ。それに……)


 やっぱり、渋ダンディのご尊顔は絶景すぎる。ナルシェラ達には、非常に申し訳ない限りだが。キュラータに恭しくお茶を差し出されるだけで、ミアレットの内心は有頂天の大歓喜。「頑張ってよかったかも」と、ようやくやってきた勝利の余韻を噛み締めている次第である。

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