閑話
「ねぇ、ワン玉ってなぁに?」
ミリーは首を傾げてミーシャとハインリヒを見つめると、二人は固まってしまった。
そういえばそんなことあったなー、と遠い目をする二人。それから額を寄せ合ってコソコソと打ち合わせを始めた。
ミリーにそんなモノを教えて良いものかどうか話し合っているのだ。
「ほっほっほ、どうしたんじゃい三人で難しい顔をして」
「あ、ナーガさんニャン玉って何ですか?」
ナーガは体をくねらせながら、シュワシュワと音を立てて変身した。
「あ! 止めろ、じじい! 人化するんじゃない!」
人化した全裸のナーガはきっとミリーに教えるのだ。「これが「ニャン玉」だよ」と言いながら。
「ナーガさん!?」
そこには長い白髪と床に着くほど長い髭、白いローブを纏った優しそうな「おじいさん」が立っていた。ナーガが人間になった姿はミリーが想像した通りだ。
「ほっほっほ」
優しく笑う「おじいさん」にミリーは嬉しくなって抱き着いた。
「ミリーや、いつも見ておるじゃろう。ワシのは隠れてて見えんがの」
「いつも見てるんですか?」
「そうじゃよ。お話しながら見ているじゃろう?」
「コラ、じじい! 変なこと教えるニャ!」
そう言いながら手で隠す、ある意味全裸のミーシャとハインリヒ。
確かに常日頃、堂々と晒してはいるが改めて見られると恥ずかしいものがある。
「しょうがない子たちじゃの……どれ、ワシの見せてやろうかいのぉ……ホレ!」
「コラ、止めろ! じじ――」
二人が止める間もなく、ナーガはペロンと捲った――
「あ、ホントだ! あたし、いっつも見てたんだ!」
フサフサの眉毛に隠れていたナーガの目。
「そ、そうにゃミリー。ちゃんと「目ん玉」を見てお話するニャ!」
*
「お前たちに貸し一つじゃ。年寄りは労わるんじゃぞい」
いつものように皆に囲まれて眠るミリーのホッペをつんつんするナーガを、その夜咎める者はいなかった。




