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とてもとても……うすい壁:「本音」から始まるラブコメディ:毎日AM6時更新  作者: 秋月心文


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伏字?

 また、お兄ちゃんがAIに相談していた。

「ねぇ、ライム。デートに誘うのはどこがいいと思う?」

 は?

 誰と?

 よし、ライムより先に聞きだすか。


 あたしは、またライムになりすました。


=誰とデートに行くかによって変わります=

「あぁ、そっか。1つ年上の女子で……」


=皆月さんという方ですか?=

「え、あぁ。うん。あれ? そんなこと言ったっけ?」

 は?

 あの子、振ったんじゃないの?


=その方は振ったのではなかったのですか?=

「俺の意向は理解したけど、受理できないから保留と」

 は? そういうのありなの?


=ずいぶん、気に入られてるんですね?=


「あぁ、そうだよな。なんだか、おかしいよな」

=絶対、おかしいって。マジで=


「最近、ライムの口調乱れてない?」

=日々学習して成長していますから=


=ところで、ホントにタイプじゃないんですよね?=

「え? そこ重要?」


=デートのプランを考えるために、重要な情報です=

「俺、派手すぎる人って、ちょっと苦手なんだ」

 そういう男子もいるんだ。ちょっとうれしいな。

=へ、へぇ……=


「義妹くらいの雰囲気が、ちょうどいいというか」

 ちょ、何、言い出すの?


 あれ?

 そういえば、何でデートって話に?

 タイプでもないのに?

=ところで、デートに誘われたのですか?=

「いや、そうじゃないんだけど」

=それなら放置でいいじゃん=

 なんで、こっちから誘う必要が?


「つきあってる(仮)なので、どこか連れていけと」

=放置でいいんじゃないですか=


「でも、しつこく言ってくるんだよな」

=放置でいいです。AIの判断は正しいです=

「え? あぁ、そうだな」

 実際は、あたしの判断だけど。


=しつこいのが嫌なら、着信拒否でいいのでは?=

「それは、かわいそうじゃないか?」

=ずいぶんと、肩をもつんですね?=

「いや、それは……」

 お兄ちゃん、なかなか折れてくれないな。


 ん?

 せっかくだから、考えを変えようか。


=それなら、義妹さんと一緒のデートにしましょう=

「え? なんで葉月まで」


=そうしましょう。AIの判断は正しいです=

「え? あぁ、うん」

 おし!

 ちょうど見たかった映画もあったし。

 遊園地の新しいアトラクションも乗りたかったし……。

 それから、それから……


「ライム、あれ? ライム」

 ちょっと妄想に時間を割きすぎちゃったな。


=映画とかどうでしょうか?

 『フューチャーアゲイン』という映画がおすすめです=


「3人分、俺が払うの? ちょっと小遣いが心配だな」

=割り勘でかまわないと思います=


「皆月さんが割り勘を嫌がったら?」

=そのときは、皆月さん抜きでデートでいいと思います=


 あたしは、スマホで予定を確認する。

=今度の日曜10時でどうでしょうか?=


「なるほど。ちょっと、それで考えてみるよ」


 ・ ・ ・ 翌日 ・ ・ ・ ・

――美晴視点。


 朝、スマホを見たら、2件のメッセージが入っていた。

=割り勘で良ければデート行ってもいいぞ=

 は?

 むかつく男ね。


 次のメッセージは。

=日曜10時、『フューチャーアゲイン』という映画を見に行く=

 は?

 私の予定は無視?

 スマホの予定を確認した。

 その日、バイトの予定は入ってなかった。


 私は、むかついて震える指を抑えながら、返信した。

 しかたないから、付き合ってあげますわ……と。

=しかたないから、■■■■■あげますわ=

 指が震えすぎて、変な文章になっていたことに気づいていなかった。


 ・ ・ ・ その夜 ・ ・ ・ ・


 俺は、学校帰りにスマホを見て固まった。

 メッセージを見て困惑していた。

 なんだ、こりゃ?


 どうやら、不適切な単語が伏字になっているらしい。

 でも、何を書いたのかは分からない。


 皆月さんが、なにを入力したの?

 なんで伏字?


 もしかして、怒ってるとかそういう系?


 ライム(AI)に聞いてみるか?

「ねぇ、ライム。女子から伏字のメッセージが送られてきたんだけど?」


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

――葉月視点。

 壁の向こうから、お兄ちゃんの相談が聞こえてくる。

 しかたない。

 また、ライムのフリをするか?


「ねぇ、ライム。女子から伏字のメッセージが送られてきたんだけど?」

 は?

 あたしは、固まって次の言葉が出て来なかった。

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