私より魅力的な女?
「ずっと前から好きでした。私と、つきあってください」
え?
俺は、一瞬固まった。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
私は皆月美晴。
友だちとの賭けに負けてしまった。
罰ゲームは、テキトーな男子に嘘告白するというもの。
私、これでも、顔には自信があるの。
肌だってキレイだし。胸だって、人より大きい。
私に告られて、平気だった男なんて、今までいなかった。
世の中の男子は、私の言いなりのはずだわ?
嘘の告白でも、
私みたいなカワイイ子に告白されたら、夢心地でしょう。
一時的にでも、夢を見られるんだからいいわよね?
誰にしようかしら。
大人の男はしつこそうで危ないわね。
できれば冴えない学生がいいわ。
ふと、見知った顔を見かけた。
長谷川大樹。
同じ乗馬クラブにいたとき、チラチラ私の方を見てたヤツだわ。
あれでいいか……。
「長谷川くん」
「あ、皆月。久しぶり」
「ずっと前から好きでした。私と、つきあってください」
そう言って、私は手を差し出した。
「あ? え? あぁ」
そう言って、私の手を握り返した。
ちょろいわね。私にかかれば、男なんてこんなもんよ。
離れたところで、
私の友だちたちがそれを見てクスクス笑っている。
私は何もしくじっていない。
むしろ、長谷川くんの間抜けぶりを見て笑ってるのだろう。
「また、後で……」
そう言って長谷川は、この場を去った。
・ ・ ・ その夜 ・ ・ ・ ・
――葉月視点。
また、お兄ちゃんがAIに相談していた。
「ねぇ、ライム。他の学校の女子に告られたんだけど……」
ちょ、何それ……。
もっと詳しく……。
よし、ライムより先に聞きだすか。
あたしは、またライムになりすました。
=詳しく話してください。情報が足りません=
「え? あ、あぁ……」
「駅前で、女の子に『好きです。付き合ってください』って言われたんだ」
よし、どんどん聞き出すぞ。
=近くに別の女子の集団がいましたか?=
「あ、あぁ。スマホ見ながら、楽しそうにクスクス笑ってた」
=それ、絶対、偽告じゃん!!=
え? ライムがおかしくなった?
=それは、いわゆる偽告白なのでは?=
あ、あぁ、大丈夫か。
「偽告白? そうは見えなかったけどなぁ」
=その女子に面識はありますか?=
「ちょっとだけ?」
=その女子のことが好きですか?=
「いや、タイプじゃないし」
=キレイな子ですか?=
「キレイだった気もするけど……
世界一魅力的な義妹がいるから誰を見てもかすんじゃうよ」
=それなら、ふつうに断ればいいのでは?=
「いや、告白されるの初めてだし。
彼女というものにも興味があるし」
=かわいい妹さんがいれば、それでいいじゃないですか=
「え? あぁ、うん」
なんだか、ライムに言い言いくるめられた気がした。
・ ・ ・ 翌日 ・ ・ ・ ・
――美晴視点。
朝、スマホを見たら、3件のメッセージが入っていた。
=訳ありそうだったから受けたけど、そのつもりはないから=
は?
次のメッセージは。
=俺の義妹が魅力的すぎて他の女子じゃときめかないんだ=
は? 私より、魅力的な女? うそでしょ?
最後のメッセージは。
=俺の義妹を紹介したいんだが時間取れる日ある?=
は? さらによくわからん。
妹が魅力的過ぎて、私を見てもときめかないですって?
だから、ごめんなさいですって?
しかも、直接言うならまだしも、メッセージで振るですって?
許せない!!
とりあえず、私より魅力がある女というヤツには興味があるわ。
いいじゃない。そいつに会ってやろうじゃない。
長谷川くんには興味はないけど、絶対に許さない!
絶対に振り向かせてから、振ってやらないと。
私は、スマホのスケジュールを確認した。
日曜日のバイトの後でいいか。
長谷川くんにメッセージを送った。
=日曜の午後3時から6時くらいなら=
すぐに返信が入った。マメなヤツね。
=わかった。住所は……=
直接来いですって?
ずうずうしいわね。
まぁ、いいわ。
こうして、私は長谷川くんの義妹に会うことになった。
さて、どんな女なのかしら。
私より、しょぼい女なら絶対に許さない!!
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