↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とてもとても……うすい壁:「本音」から始まるラブコメディ:毎日AM6時更新  作者: 秋月心文


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/27

『一生大切にする』――その一言で、妹は眠れなくなった

「あぁ、おはよう」

 こっちを見ない。

 なによ、変わってないじゃない。

 いいだろう。それなら実力行使だ。


 お兄ちゃんの顔を無理やりあたしのほうへ向けて――

「お兄ちゃん。

 あたしと話す時は、あたしの目を見て話すようにして……」


 あれ?

 何か言い間違えたぞ。


 「人」の目を見て言うつもりだったのに、

 「あたし」の目を見て言ってしまった。


 まるで、あたしだけを見てと言ってるみたいだ。

 これ、告白みたいじゃないか。

 やばい、ちょっと照れる。


 お兄ちゃんは、少しポカンとしていたが……

「わかったよ、葉月。これからは、そうする」

 そう言って、微笑んだ。

 ボッと顔が熱くなった。


 ふと視線をお母さんに移すと、何か勘違いしたのか、ニヤニヤしている。

 もぅ……。

 違うからね。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「どうした、大樹(ダイキ)。ネコでも拾ったのか」

 コイツの名は、小原洋治(オハラ ヨウジ)。

 超ネコ好きだ。

 何でもネコに結び付けて考える男だ。

 本人曰く、脳の80%以上がネコに汚染されている。


 テストでわからない問題があると、珍しいネコの品種名を書く。

 それが、こいつのルールだ。


 以前、「ソレナ」と書いて、先生に、これは何だと言われた時は、「ソレナ」というネコの説明だけで、授業時間まるごと占拠したほどだ。


「いや、違うけど。どうして、そう思った?」

「何か楽しそうに見えたからな」

 楽しそう?

 朝の一件のせいかな。


「ネコか……」

「ネコを飼ったら毎日がそうなるぞ」

 確かに、すぐにでも妹に会いたい気持ちでいっぱいだ。


「そう……かもしれないな」

 好きなものと一緒にいるというのは、そういうことなのだろう。


「だろだろ。それでだな……」

 この後、休み時間になるたびに、

 おすすめの保護ネコをたっぷり紹介された。

 ネコは特別嫌いなものではない。

 だが、どうしても飼いたいと思えるほどではない。

 放課後になった頃には、ちょっとうんざりした。


 でも、やっと放課後だ。

 帰れる。

 義妹に会える。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「ただいま」

「おかえりなさい」

 ふとリビングを見渡す。

 いない。


「葉月は、まだ帰ってないの?」

「今日は、仕事って言ってたから、遅くなるかも」


 なんか仕事してるって言ってたな。

 学生なのに大したもんだ。

 いろいろ頑張ってるんだな。


「ごはん、どうする?」

「葉月が帰ってくるまで待つよ」


 学生だし、そんなに遅くなることもないだろう。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 今日の仕事は大変だった。

 リテイクの連続だった。

 まぁ、あたしの能力不足がいけないのだけど。


 付き合わせてしまうスタッフさんに申し訳ない気持ちと、自分のふがいなさに、心が折れそう……。


 マネージャーに、車で送ってもらって帰宅した。


「ただいま~」

「おかえり」

「お疲れさま、遅くまでご苦労さま」

 とニカッと笑ってくるお兄ちゃん。

 なんだろう。

 この人の笑顔見てると、すごくホッコリする。


「さっそく、ご飯にしようぜ」

「待ってたの?」

「当然、食事は、家族みんなで……が基本だろ」

 へぇ。

 そういうルールがあったのね。


「今日はリテイクが多くて大変だった」

「あら、まぁ」

「それだけ成長したってことだし、切り替えていこうぜ」

 お兄ちゃんは、なんだかんだ前向きな性格みたい。

 少し気が楽になる。

 いいとこあるじゃん。


 ふと、お母さんを見ると、なんだかニヤニヤしていた。

 か、勘違いしないでよね。


 ・ ・ ・ ・ 夜 ・ ・ ・ ・


 そろそろ寝ようかと思ったら、ライムが話しかけてきた。

 そんな機能あったっけ?


=妹さんとは仲良くなれましたか?=


「あぁ、ライム。ありがとう。

 変な気持ちにさせないか不安だったけど……

 なんとかなるものだな」


=この調子で、どんどん妹さんを大切にしていきましょう=


「あぁ、一生大切にする!」


 俺は壁の向こうで、

 義妹が悶絶していることに気づいていなかった。

--------------------------------------------

 お読みいただき、ありがとうございます!


 少しでも楽しんでいただけましたら、

 ★や【ブックマーク】で応援していただけると、

 今後の創作活動の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。