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とてもとても……うすい壁:「本音」から始まるラブコメディ:毎日AM6時更新  作者: 秋月心文


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19/27

プレゼントの相手を探せ!

「週末? 今週は予定があるんだ?」


 あたしは大樹のプレゼントの相手が誰なのかモヤモヤしていた。

 それで、週末の予定を聞いた結果が、これだ。


 なんだと?

 プレゼントを渡すのか?


「どんな予定?」

「保護ネコの譲渡会のボランティアなんだ」

 は? どこ繋がり?

「また、珍しいボランティアに参加するんだね」

「毎回駆り出されるんだ」

「へぇ……。それ、あたしもついていっちゃダメかな?」

「ダメ!」

 なんだとぅ?

「どうしても?」

「ダメ!」

 むぅ、余計気になるじゃないか。

 その後、何度も頼んだが断られた。

 何がいけないって言うの?


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 その日の夕食、あたしは策を講じた。

「週末、大樹が譲渡会のお手伝いに行くんだって」

「あぁ」

「へぇ、そうなのね。毎回、お手伝いに?」

「うん、友だちに頼まれてて……」

「あたしも行きたいなぁ」

 大樹は非常にイヤそうな顔をしたが……。

「大樹、連れてってあげて」

 とお母さんに頼まれると、ガッツリ折れた。

「あ、えぇ、はい」

 ものすごく歯切れが悪いけども。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 その夜


「ねぇ、ライム。ちょっといいかな?」

 また来た。

 もちろん、あたしが答えるけども。

=どうしました?=


「週末の用事に葉月がついて行きたいと言うのだけど、あんまり連れていきたくないんだ」

=なんで連れていきたくないんですか?=


「葉月は魅力的すぎるから。

 俺の友だちが葉月の虜になるんじゃないかと思って」


 大樹~。なんてこと言ってるんだ。

 うれしいけども。それは、うれしいけども。


=妹さんを好きになる人が増えても、

 妹さんが好きにならなければいいのではありませんか?=


「う……。まぁ、そうかな」


=お友だちは、男性として魅力的な方ですか?=


「いや、全然。

 脳の80%がネコに汚染されてるって言ってるしな」


 この「脳のほとんどが何かに汚染されてる」って表現、どこかで聞いたことがあるような……!?


――大樹視点。

=それなら、ネコ以外は眼中にないのでは?=

「あ、あぁ。そうかもしれないな」


 そう言いながら、机の上に置かれた

 「羽根の生えた馬のガラス細工」を撫でた。


 葉月は知らなかった。

 あのプレゼントが、女子に……ではなく、

 大樹が葉月に選んでもらったプレゼントとして、

 大樹の部屋に飾られていることを……


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 譲渡会当日 会場にて


「葉月? 譲渡会興味があったのか?」

「あ、あぁ。うん」

 ホントはプレゼントする相手が気になってるんだけど。


「よぅ、大樹。今日もありがとう。助かるよ」

「こっちは?」

「あぁ、義妹の葉月だ」

「小原洋治だ。よろしくな、妹ちゃん。じゃ、俺は、ちょっと他の人に挨拶があるので……」

 ボランティアで来てくれた人に、挨拶して回ってるらしい。


 大樹の本音を、AIのフリをして聞いている。


 この、友だちにあたしを合わせたくなかったらしい。

 そんな不安も気にしすぎだったようで。

 他にもキレイなお姉さんとか来てたけど、お兄ちゃんのお友だちは、女子には興味がないみたいだった。


 「頭の80%がネコに汚染されている」というフレーズが気になったので、小原さんに聞いてみた。

「ネコ、お好きなんですね?」

「あ、あぁ。ネコはいいぞ。飼いたくなったか?」

「ネコに汚染されていると自称してるようなヤツなんだ。気にしないで流してくれ」

「あたしの友だちも頭の半分がイヌに汚染されてるって言ってるんですよぉ」

「もしかして、小原陽菜っていうコ?」

「あ、はい」

 あ、あれ?

 小原洋治、小原陽菜……。もしかして兄弟?

「あぁ、小原陽菜は俺の妹だ。

 あいつも昔はネコ好きだったんだけどなぁ……。

 大方、俺を嫌いになったからだろうなと思っている」

「ふぅん。そうなんですね」


 保護ネコの譲渡会では、かわいいネコがいっぱいだ。

 人馴れを済ませているので、相応に懐いてくれる。


 どんどん里親希望の人が現れて、審査も進んでいった。

 審査を通った人とは「仮譲渡契約」を結ぶ。

 トライアル(お試し飼育)を経て、正式譲渡になるらしい。


 あたしも事務手続きのお手伝いをしながら、周囲を見回していた。


 もちろん、大樹の動向をチェックするためだ。


 キレイなお姉さんに、何か渡したりしないだろうか。

 そんなことを気にしながら、大樹を注視していた。


 何匹か、里親審査まで進まなかったコが残った。


 かわいいんだけどな。

 なんだか、さびしそう……そんな感じがした。


 結局、プレゼントを渡すような仕草は見られなかった。

 あたしは、モヤモヤを抱えながら家に帰った。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 翌日、学校にて……


「ねぇ、陽菜。陽菜はネコが好きじゃないの?」

「ネコは嫌い。大っ嫌い」

「昔は好きだったって聞いたけど、何かあったの?」

「お兄ちゃんはネコに構いだしてから、私よりネコを優先するの」

 そういう理由?


「え?」

「だから、ネコなんて大っ嫌い!」

 それでイヌ好きを自称してるの?

 こじれてない?


「お兄ちゃんの机の上には私の写真が飾ってあったのよ。

 それが、今ではネコの写真になっているんだから……」

 写真?

 大樹の机の上にも、誰かの写真が飾られているのかな?

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