告白かと思った
次に訪れたのは雑貨屋だ。
小物を買おうという計画だ。
お兄ちゃんは女子が多い店内にしり込みしていた。
仕方ないのでお兄ちゃんを強引に押し込んでお店に入る。
カワイイぬいぐるみを手に取る。
「こんなのはどう?」
ぬいぐるみとあたしを見比べる。
「う~ん。ちょっと違うかなぁ」
何が違うの?
なんであたしと見比べるの?
あたしに似ているぬいぐるみでも探してるのか?
ピカチュウのぬいぐるみを手に取る。
「これは?」
ぬいぐるみとあたしを見比べる。
「う~ん。ちょっと違うかなぁ」
またか。
あたしっぽいぬいぐるみ?
かなりリアルな感じのネコのぬいぐるみを手に取る。
剥製っぽいけど、本革じゃないだろうな?
表地:ポリエステル100%
中綿:ポリエステル100%
目・鼻:ポリプロピレン
うん。大丈夫そうだ。
「これは?」
ぬいぐるみとあたしを見比べる。
「う~ん。一旦保留で……」
ネコか? あたしは、ネコなのか?
羽根の生えた馬のガラス細工に目が止まる。
翼には金色の装飾が施されたキレイなヤツだ。
「こんなのもキレイでいいんじゃない?
乗馬をしてるお兄ちゃんっぽいし」
「お! いいな。これ! これにしよう」
お兄ちゃんは、早速レジに足を運んだ。
「……」
乗馬つながりで、皆月さんに贈るんじゃないだろうな。
「さて、プレゼントは選び終わったんだけど、せっかくだから何か奢るよ」
「それじゃ、服を買って欲しいかな」
「いいよ。早速、行こうか」
いつもよりちょっと高そうな婦人服のお店に向かった。
待たせちゃ悪いし、前から欲しかったヤツを買おう。
「これと、これと、これ……」
「なんか早いな。女子と服を買いに行くともっと時間がかかるものだと思ってたんだけど」
「待たせちゃ悪いでしょ」
「あ、あぁ。助かるけど……」
そう言ってスマホをしまった。
ゲームでもして、ガッツリ待つつもりだったらしい。
「ふふっ……」
お互いに気をつかってるのが、なんだかおかしい。
帰り道。
「葉月、今日はありがとう」
「ううん、別に。あたしも楽しかったし、服、ありがとう」
すると、お兄ちゃんは……
ジュエリーショップの袋の中から小さな箱を取り出した。
それを両手で持って、あたしに差し出すと……
頭を下げた。
「俺のこと、名前で呼んで欲しいんだ。お願いします」
そう来たか。
ていうか、いつの間に? 何を買った?
なんだか仕草だけ見たら……。
告白っぽい?
プロポーズっぽい?
まったく、もぅ。
「わかったよ。だ、だ……」
あれ、続きがうまく言えない。
ちょっと顔が熱い。
きっと日差しのせい。たぶん、そうだよね。
「ん?」
こいつ、ケロっとして続きを待っていやがる。
「だ、大樹。あ、ありがとう」
カッコつけやがって、お兄ちゃんのくせに……。
い、いや、大樹のくせに……。
ふと、大樹の顔を見ると、そっちも真っ赤だった。
「開けてみていい?」
「あ、あぁ」
中に入っていたのは、ジュエリーショップで最初に指につけた指輪だった。あたしが間違って左手の薬指にはめたヤツ。
「おまえが一番欲しがってるように感じたから」
「それで、あたしの顔を見てたの?」
「あぁ」
てっきり、品物とあたしを見比べてるのかと思ったわ。
うちに帰ったら、お母さんがあたしたちを見て言った。
「あらあら、日にあたりすぎたの?
2人とも顔が赤いわよ。冷たいもの用意するわね」
え?
あたしたちの顔は、たぶん、もっと赤くなった。
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