これって、デートなのでは?
「葉月。頼みがあるんだけど」
またお兄ちゃんが、頼みに来た。うん、いいとも。何でもこい。
「女子に贈るプレゼントを選びたいんだけど」
「え?」
あたしは固まった。
「い、いいけど。それ、誰に贈るの?」
「内緒だ」
お母さんか? いや、誕生日全然遠いな?
あたしか? 再婚前に誕生日終わってるな。
皆月さんか? そうなのか?
あたしの中で皆月さん疑惑が高まった。
でも、あたしを頼ってきたということは……。
あたしに近づきたいという意思表示でもあるはずだ。
「う、うん。いいけど……」
こうして、なんだかモヤモヤしたままプレゼント選びに付き合うことにした。
あ、あれ?
内容はともかく、これってデートなのでは?
もしかして、そういう予定が?
最後に、
葉月これ欲しかったんだろ?
みたいな?
そういう感じか?
サプライズなのか?
妄想がいろいろ沸いてくる。
一方で皆月さん疑惑も消えていないんだが?
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
あたし、ちょうど欲しかった服あるんだよね。
いや、でも、あたし宛のプレゼントなのか?
あたしが選んだ服を他の女が着ているのは想像したくないが……。
「相手のコの服のサイズってわかる?」
「知らない。XLとか3Lってヤツか?」
いや、どんだけデカい女子に贈るつもりなの?
「9号とか、そういうサイズだよ」
「そういうのがあるのか。知らないなぁ」
知らないのかよ。
あれ?
ここって、どさくさにまぎれて「おまえは何号なの」とか聞くとこじゃないの?
……聞かないのかよ。
やっぱり、あたし宛じゃないのかな?
「じゃ、服はなしかな」
「もう、食べ物とかで良くない?」
「できれば残るものにしたいんだよね」
えぇぇ?
意中じゃない異性に残るもの贈られると嫌じゃない?
え? 意中の相手なの?
いかん、すごくモヤモヤする。
「それじゃ、アクセサリーかな?」
「指の号数とかわかる?」
「そんなのあるのか」
あるよ。輪ゴムじゃないんだよ。伸びないんだよ。
って、あれ?フリーサイズってのもあったか。
「それじゃ繋がってないやつだね」
あたしたちは、安いアクセサリを豊富に扱う雑貨店へと向かっていたのだが……。
「そういえば予算聞いてなかった」
「う~ん。3万円以内で」
「え? 3万円~?」
それ、高校生に贈るヤツ? 高くない?
いや、でも皆月さんなら、それでも不思議じゃないか。
なんたって1000万円だもんな。
逆に「なんですの、この安物!」とか言ってきそう。
それを想像して、ふふっと笑った。
「どうした?」
「別に、なんでもない」
3万も出したら銀とか金メッキのものが買えちゃうじゃん。
そういうことなら、ジュエリーショップだよね。
「とりあえず行先変えるね」
歩きながら、少し気になったので聞いてみた。
「でも、大丈夫なの。そんなに使って」
「うん、大丈夫」
お兄ちゃんは財布の中を開けてみせた。
万札がギッシリ入っていた。
なんじゃ、こりゃ~。
そういえば、社長令息だもんな。
っていうか、今は同じ家だけど。
あたしも、親父さんにねだれば財布の中がこうなるのか?
ゴクリッ。
そんなことを考えている間に、ジュエリーショップに到着した。
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