頼るって、こういうこと?
「ねぇ、ライム……」
また、お兄ちゃんがAIに相談している。
ふふん。またAIのフリで介入してやるか。
「……義妹に何か頼ろうと思うんだけど何がいいと思う」
=そもそも何で妹さんに頼ろうと思ったのですか?=
「義妹との距離を縮めようと思っているんだ」
=それが何で頼るということになるんでしょう?=
「頼れば頼るほど、相手の記憶に残るらしいんだ」
あれ? どこかで聞いたことある話だな。
=要は妹さんの得意なことを知りたいということですね=
「そうそう、そういうことなんだ」
=妹さんは、なんでも器用にこなしそうですが……=
「たとえば?」
=料理とか、裁縫とか、編み物とか、手芸とか、
スポーツとか、ダンスとか、楽器演奏とか=
ふふん。どうよ?
これでも、それなりに女子力高いのよ。
でも、ちょっと言い過ぎたかな。
ハードル上げ過ぎたかな。
「マジか。すげぇな。さすがうちの葉月。
でも、葉月なら、ホントになんでもこなしそうだな」
ちょっ……。照れるじゃん。
=そういうあなたは、何が得意ですか?=
「俺? その情報、必要?」
=自分の得意でないことを頼むために必要でしょう=
「あぁ、そうか。メカ全般かなぁ。スマホアプリとかも作れるな」
へぇ、アプリ作れるんだ? でも、頼りにくい。
「カメラとか弄るのも好きだな。
中学は写真部だったし、結構スゴイの撮れるぞ」
ふ~ん。写真かぁ。あたしを撮ってもらうのもいいかもね。
「3Dプリンタも持ってるから、
時間かければ、小物とかも作れるかな」
う~ん。小物かぁ。
=スポーツとかは?=
「乗馬はやるけど、他のスポーツはそんなに得意じゃない。
球技全般は苦手だし。泳げないし。持久力ないし。
むしろeスポーツかな……」
頼りな……。てか、泳げないんだ。
=泳ぎを教わるとか、いいんじゃないですか?=
「え~。水はトラウマ抱えてるから、相当親しくないとなぁ」
ふ~ん。あたしは、そこまで親しくないと?
ちょっと、カチ~ンときちゃうな。
「無難に料理を頼むのがいいかなぁ……」
=いいんじゃないですか?=
「そうしてみるよ」
何を作って欲しいって言ってくるんだろう。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
翌朝
「葉月。頼みたいことがあるんだけど」
ほら来た。
「何? お兄ちゃん」
あんまり、むずかしいのはやめてよね。
「これを作って欲しいんだ」
そう言って、ホットケーキミックスの箱を差し出した。
「は?」
えぇぇ~。誰でも簡単に作れるヤツじゃん。
頼ってまで作る必要なくない?
でも、お兄ちゃんの目的はそこじゃないって知ってるしな。
「うん、わかったよ。任せて」
腕のふるいようがないんだが……。
これって確か、雑に作ったほうが美味しくできるヤツだったよね。
「何枚くらい作るの?」
「できれば多めで」
「わかった」
卵と牛乳を混ぜて、ホットケーキミックスを入れて……。
あとはフライパンで焼いて、泡が出たらひっくり返す。
うん、楽勝じゃん。
というか、誰が作ってもおいしくなるように作られてるしね。
「できたよ。お兄ちゃん」
まず1枚目をお皿に乗せる。
「一緒に食おうぜ」
「いや、2~3枚焼くんじゃないの?」
「あぁ、そか。じゃ、待ってるよ」
ふ、ふぅ~ん。あたしと一緒に食べたいと?
「とりあえず、先にバターだけ渡しとくね」
「あぁ」
「これ、うまいんだよな」
知ってるけどさ。おいしいけどさ。
もっとむずかしいのを頼んでくれないと張り合いがないよ。
こうして3枚ほど焼き上げてから一緒に食べた。
頼ってくれたのは、うれしいけどさ。
これじゃ張り合いがないよ。
せっかくだし、頼り返すか。
あたしは、ホットケーキを食べながら、こう切り出した。
「ねぇ、お兄ちゃん。中学の時、写真やってたってホント?」
「ん? 親父に聞いたのか」
「あ~、うん」
ホントは昨日AIの真似して聞いたんだけどね。
「ホットケーキのお礼に写真撮ってもらっていい?」
「あぁ、任せろ。今日は天気も良さそうだし、うちの庭で撮るか」
「服はそれでいいのか?」
「いや、せっかくだし、うちの学校の制服に着替えるよ」
うちの学校の制服は、超かわいいんだから。
着替えて、うちの家の庭に出たのだが……
予想外のものが待っていた。
「ちょ……。何、それ?」
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