なんか、すっごい嫌
――葉月視点。
「ねぇ、ライム。恋愛相談って可能かな?」
壁の向こうのお兄ちゃんが……
またライムに相談して……え? 何? その内容?
もっとくわしく……。
すごく聞きにくいけど、せっかくだから聞いてやろうじゃない。
最近、ライムのフリが習慣になりつつあるな。
この前、マネージャに注意されたんだよな。
あなた、時々AIみたいな発音になってるわよって……。
だけど、あたしはAIっぽい発音で聞く。
=それは、皆月さんのことですか?=
「葉月のことだけど」
あたしかよ!
=あなたは、どこまでがゴールだと考えていますか?=
「あいつに他の男ができるのは耐えられないかな!
だから、それを防ぐ意味で告白できれば理想かな」
ふぅん。お兄ちゃんは、私に告りたいんだ?
まぁ、あたしはお父さんが理想の男性像なので、
同じ学校の男子に惹かれることはないと思うけど。
「だけど……」
=だけど?=
「俺は、まだ学生だ。まだまだいろいろやりたいことがある。
でも、付き合ったら、いろいろしないといけないんじゃないか?」
いろいろとは?
=それは、学生の身で考えるべきことじゃないのでは?=
「まぁ、それでも考えてしまう」
まぁ、思春期の男の子だしねぇ。
「だからといって、何も進められないままズルズル続けると、
将来、何もできない関係になってしまわないかも怖い」
なるほど。
「そもそも、あいつが、俺に惚れる要素なんてなくない?」
ん~。
でも、意外とカッコイイとこと見せられてるしなぁ。
え? 純粋に、あたし次第ってこと?
いや、それよりお前はどうなのよ。
葉月ちゃん、大好きってのは、聞いてるから知ってるけど。
=あなたから見て、葉月さんは
どのくらい好意を持っているように見えていますか?=
「まだ、新しい家族に慣れようとしてる感じかな」
え?
結構、お兄ちゃんに関心もってるつもりだったんだけどな。
ちょっと寂しい。
=どの辺から、そう感じますか?=
「外の葉月はしらないんだけど、
家の中ではいい子ぶってるように感じる」
なんだとぅ~。
いい子にしてる自覚はあるけど、いい子ぶってる覚えはないぞ。
=それだけですよね?=
「本音らしい本音を聞いたことがない」
ぐはぁ~。もっと、わがまま言ってこいってか?
むずかしいことを言うな。
=それで終わりですよね?=
「名前じゃなくて、お兄ちゃんって呼ぶ」
え?
それふつうじゃないの?
年上を呼び捨てにしたら、逆に嫌がられるんじゃないの?
=名前で呼んで欲しいんですか?=
「あぁ、名前で呼んで欲しい」
即答だぁ~。
いや、ちょっと待って。なんかハードル高いって。
年上の男子を呼び捨て……。
そんな恋人か、夫婦みたいに……。
えぇ? そうして欲しいってこと。
いかん。たぶん、絶対照れる。
頭の中で演技だと言い聞かせても照れる。
=それで終わりですよね?=
「スキンシップを避けてる気がする」
えぇ~!?
そこまで望むの。
「男子が女子にスキンシップを避けるのはふつうとしても、逆は気をつかわれる理由ないと思うんだけどな」
よくわかんないけど、バシバシ叩かれたいのか?
そうなのか?
「皆月とかには、よく叩かれるんだが……」
う~ん。まぁ、あの人の性格からしたら、やりそう。
=なるほど、いろいろあるのですね=
「それから……」
=あ、もういいです。わかりました=
「あ、あぁ」
=最終ゴールをあなたからの告白に設定しましょう=
=1つずつステップアップしていきましょう=
=全部をいっぺんに望んではダメですよ=
「なるほど」
=何からはじめたいです=
「それじゃ、名前呼びからかな」
=では、それを妹さんに照れずにお願いしてみてください=
どうよ?
ハードル高いかろう?
「わかった。やってみる」
へぇ。
やるんだ。
お手並み、拝見といこうか。
ふぃ~。
なんだか、ボコボコに言われた気分だ。
ちょっぴり鬱になっちゃうぞ。
=そう言えば、今週末のデートはどうするのですか?=
「あぁ、今週末は用事があるんだ。俺もあいつも」
え?
どゆこと?
2人で何かするってこと?
「乗馬大会があるんだよ。
AIなのに予定に入れてたのに気づかなかった?」
=え、ええ。そうでしたね。
皆月さんと同じ大会に?=
「あぁ、俺は趣味程度にやってるだけなんだが、皆月はすごいんだ」
ふぅん?
褒めちゃうんだ。大絶賛なんだ。
何、それ、なんか、すっごい嫌なんだけど。
あれ?
なんで、そう感じたんだっけ?
--------------------------------------------
お読みいただき、ありがとうございます!
少しでも楽しんでいただけましたら、
★や【ブックマーク】で応援していただけると、
今後の創作活動の励みになります。




