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幕間 救世主誕生
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赤子は、産声を上げなかった。
助産師に抱かれた赤子は、褐色の瞳を開いたまま、煤けた天井を見つめている。あまりの静けさに、助産師は戸惑ったように眉を寄せた。
「この子……」
「顔を、見せて」
寝台から伸びた腕は頼りなく、指先まで震えている。助産師が抱いた赤子を近づけると瞳が動き、汗に濡れた女の顔を捉えた。
「はじめまして。私がお母さんよ」
頬に指が触れた瞬間、赤子は顔を歪め、堰を切ったように泣きだした。助産師が息をつき、女も目尻を濡らしながら笑う。
「まあ。そんなに嫌だった?」
泣き声は、いつまでも止まらなかった。
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