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第78話 小児病棟

 夏休みも後半に入ったある日。


 エンジェル部の三人は、いつものように教会へ集まっていた。


 シスター小林は一枚の書類を手に、穏やかに微笑む。


「今日は、地域総合病院の小児病棟を訪問します」


「病院から教会へ慰問の依頼があったんです」


 正義は少し驚いた表情を浮かべる。


「病院でもボランティアをするんですか?」


 シスター小林は静かに頷いた。


「はい」


「長く入院生活を送っている子どもたちは、病院の外へ出ることができません」


「だから、私たちが会いに行くんです」


 栞は優しく微笑んだ。


「今日は一緒に遊んだり、お話をしたりする予定です」


「皆さんに少しでも楽しい時間を過ごしていただけるよう頑張りましょう」


「はい!」


 凪は元気よく返事をする。


「いっぱい笑ってもらえるよう頑張るわ!」


 一方、正義は少し緊張した表情だった。


「病院でのボランティアは初めてなので……」


 シスター小林は優しく微笑む。


「大丈夫ですよ」


「皆さんが来てくださるだけで、子どもたちはきっと喜んでくれます」


「いつもの皆さんでいてください」


「……はい」


 三人は教会を出発し、地域総合病院へ向かった。


 病院へ到着すると、受付で職員が笑顔で迎えてくれる。


「お待ちしていました」


「本日はよろしくお願いいたします」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


 三人は揃って一礼した。


 病棟へ向かう廊下には、消毒液の香りが漂っている。


 看護師たちが忙しく行き交い、どこか張り詰めた空気が流れていた。


 保育園や老人ホームとは、まったく違う雰囲気だった。


 やがて、小児病棟のプレイルームへ案内される。


 扉がゆっくりと開く。


 部屋の中には、折り紙や絵本、おもちゃが並び、十人ほどの子どもたちが集まっていた。


 栞が笑顔で挨拶する。


「皆さん、こんにちは」


「聖フェリス学園エンジェル部です」


「今日は一緒に遊びに来ました」


 凪も元気いっぱいに手を振る。


「いっぱい遊ぼうな!」


 正義も少し照れながら頭を下げた。


「桜木正義です」


「よろしくお願いします」


 最初は少し緊張していた子どもたちだったが、一人の男の子が小さく手を振る。


「こんにちは」


 その笑顔につられるように、他の子どもたちも少しずつ笑顔を見せ始めた。


 こうして三人と子どもたちの、新しい出会いが始まる。


 今日もまた、誰かの笑顔に出会う一日が始まろうとしていた。

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