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同じクラスのお嬢様が、冴えない僕に構ってくるんだけどどうしたらいい?  作者: Atelier Lotus文庫


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第150話 放課後の屋上

 翌日。


 放課後。


 エンジェル部部室。


 正義と凪は、静かに向かい合って座っていた。


 栞がいなくなった部室は、驚くほど静かだった。


 凪は机へ視線を落とし、小さく息を吐く。


「正義……」


「うち、何て声を掛けたらええか分からへん」


 正義は黙って耳を傾ける。


 凪は苦笑しながら続けた。


「昨日、真理亜さんの話聞いて思ったんや」


「栞、ずっと一人で苦しんどったんやなって」


「でも、うちが会いに行っても……」


「何て言えばええか分からへん」


「きっと泣いてまう」


 正義は静かに頷いた。


「だったら」


「今回は僕が話してみる」


 凪は顔を上げる。


「一人で?」


「ああ」


「今の栞には、大勢で話すより」


「二人きりの方が、本音を話しやすい気がする」


 凪はしばらく考え、小さく微笑んだ。


「分かった」


「頼んだで、正義」


 正義は力強く頷く。


「ああ」


「行ってくる」


 その日の放課後。


 正義は栞へメッセージを送った。


『少しだけ話せないかな』


『放課後、屋上へ来てほしい』


 しばらくして返信が届く。


『分かりました』


 夕焼けが校舎を赤く染める。


 屋上。


 フェンス越しに吹く風が、静かに二人を包んでいた。


 正義は一人、栞を待つ。


 やがて。


 屋上の扉がゆっくりと開いた。


「お待たせしました」


 栞が静かに姿を現す。


 正義は小さく頷いた。


「来てくれてありがとう」


「いえ」


 それだけだった。


 二人は少し離れた場所に並び、夕焼けに染まる街並みを見つめる。


 言葉が出ない。


 吹き抜ける風だけが、静かに時間を運んでいく。


 長い沈黙。


 正義はゆっくりと息を吸った。


 今日ここへ呼んだ理由。


 聞きたいことは、たった一つ。


 栞は、本当に自分の意思でエンジェル部を辞めたのか。


 その答えを確かめるために――。

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