第136話 打ち上げ
市民功労賞授与式を終えた帰り道。
三人は並んで歩いていた。
査問会議。
廃部相当。
正義の涙。
市民功労賞。
そして、エンジェル部存続。
この夏休みの出来事が、まるで遠い昔のように思えた。
しばらく無言で歩いていた凪が、大きく両手を伸ばす。
「終わったぁー!」
その一言に、三人は顔を見合わせる。
そして――
思わず笑ってしまった。
栞も口元を押さえながら笑う。
「本当に、終わりましたね」
正義も肩の力を抜き、小さく笑った。
「ああ」
「ようやくだ」
張り詰めていた緊張が、一気に解けていく。
凪は満面の笑みで言った。
「今日は打ち上げや!」
「思いっきり食べて、思いっきり笑うで!」
正義は苦笑する。
「結局、それか」
「当然や!」
「こんだけ頑張ったんやもん!」
「今日はご褒美の日や!」
栞も嬉しそうに頷く。
「賛成です」
「今日は何も考えずに楽しみましょう」
正義は二人の笑顔を見つめ、小さく微笑んだ。
「じゃあ、うちでやるか」
「えっ!」
凪が目を輝かせる。
「やったー!」
飛び跳ねるように喜ぶ凪を見て、栞もくすりと笑った。
「それでは、腕によりをかけて料理を作りますね」
「私は飲み物担当や!」
凪が胸を張る。
正義は思わず吹き出した。
「頼むから今度は酒を持ってくるなよ」
一瞬静まり返る。
そして三人は声を上げて笑った。
査問会議では流せなかった笑い。
ようやく心の底から笑うことができた。
三人は夕焼けに染まる街を歩きながら、正義のマンションへ向かう。
今日は何も考えない。
ただ、この夏を最後まで笑顔で締めくくるために。
エンジェル部、最後の夏休み打ち上げが始まろうとしていた。




