第134話 市民功労賞授与式
九月上旬。
市役所講堂。
会場には、多くの市民が集まっていた。
地域で長年活躍してきた人々。
ボランティア団体。
消防団。
福祉関係者。
そして、その最後に紹介されたのが――
「学校法人聖フェリス学園 エンジェル部」
司会者の声が響く。
大きな拍手の中、正義、栞、凪の三人は緊張した面持ちで壇上へ歩み出た。
制服姿の三人は深く一礼する。
最前列には、校長の梅原。
理事長の柏木。
松田。
シスター小林。
そして、地域の人々が温かな眼差しで見守っていた。
司会者が紹介を続ける。
「エンジェル部は、この夏休みを中心に、地域清掃活動、保育園ボランティア、老人ホーム慰問、ホームレス支援の炊き出し、病院慰問、夏祭り運営協力など、数多くの地域貢献活動を継続して行いました」
「その功績は、多くの市民に笑顔と希望を届け、本市の福祉向上に大きく貢献したものと認められます」
「よって、本年度市民功労賞を授与します」
講堂は大きな拍手に包まれた。
楠市長が壇上へ歩み寄る。
穏やかな笑顔のまま、表彰状を手に取った。
「桜木正義さん」
「はい」
正義は一歩前へ出る。
市長は表彰状を手渡し、力強く頷いた。
「竜胆栞さん」
「はい」
「日向夏凪さん」
「はい」
三人へ記念の楯が贈られる。
楠市長はマイクの前へ立った。
「皆さん」
「エンジェル部の皆さんが、この半年間続けてこられた奉仕活動は、この街に住む多くの人々へ笑顔と希望を届けてくれました」
一呼吸置く。
「奉仕は、誰にでもできることではありません」
「見返りを求めず、人のために行動し続けることは、とても尊いことです」
会場は静まり返る。
「皆さんの奉仕活動は、この街の誇りです」
その言葉と同時に、講堂は割れんばかりの拍手に包まれた。
正義は表彰状を見つめる。
栞は嬉しさを噛み締めながら涙を拭う。
凪も目を潤ませながら笑っていた。
査問会議で流した悔し涙。
あの日の苦しさが、ようやく報われた。
鳴り止まない拍手が、三人を優しく包み込んでいた。




