表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
同じクラスのお嬢様が、冴えない僕に構ってくるんだけどどうしたらいい?  作者: Atelier Lotus


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
130/159

第128話 活動実績

 会議室は静まり返っていた。


 顧問問題。


 予算問題。


 二つの課題は解決した。


 残る争点は、ただ一つ。


 活動実績。


 副会長の柊は静かに資料を開く。


「それでは、活動実績について審議します」


 松田は静かに立ち上がった。


「はい」


 一礼すると、机の上へ一つずつ資料を並べていく。


 活動報告書。


 活動写真。


 地域新聞の記事。


 感謝状。


 老人ホーム利用者から届いた手紙。


 保育園児たちが描いたお礼の絵。


 病院の子どもたちから贈られた寄せ書き。


 炊き出しを受けた人々からの感謝の手紙。


 夏祭り実行委員会からの感謝状。


 半年間積み重ねてきた活動記録。


 机の上には、エンジェル部が歩んできた軌跡が静かに並べられていく。


 松田は一礼した。


「以上が、エンジェル部の活動実績資料です」


 副会長の柊は会計の榊へ視線を向ける。


「榊さん、確認をお願いします」


「はい」


 榊は一つひとつ資料へ目を通していく。


 活動報告書。


 活動写真。


 新聞記事。


 感謝状。


 礼状。


 子どもたちの絵。


 寄せ書き。


 活動日誌。


 ページをめくる音だけが、静かな会議室に響いていた。


 しばらくして、榊は資料を閉じる。


「確認しました」


「活動報告書、活動写真、新聞記事の内容は一致しています」


「感謝状、礼状につきましても、活動先から正式に贈られたものであることを確認しました」


「活動内容に虚偽は認められません」


「また、地域社会への貢献は極めて大きく、多くの施設や団体から高い評価を受けていることも確認しました」


 正義は思わず拳を握る。


 ここまで集めた。


 活動の証は、すべて揃えた。


 しかし。


 柊は静かな口調で資料を開いた。


「活動内容について、生徒会として異論はありません」


「地域社会へ大きく貢献されたことも認めます」


「教育的価値の高い活動であることも十分理解しています」


 一呼吸置く。


「ですが、本校部活動規定をご覧ください」


 全員が資料へ視線を落とす。


 柊は規定を読み上げた。


「『部活動実績とは、大会、競技会、コンクール、発表会、その他、学校を代表して参加する教育活動をいう』」


 静かに資料を閉じる。


「エンジェル部の活動は、学校から正式に委託された地域貢献活動です」


「その点について、生徒会も認めています」


「しかし」


「地域活動であることに変わりはありません」


「本校部活動規定に照らした場合、学校部活動実績として評価することはできません」


 重苦しい沈黙が流れる。


 その時だった。


 校長の梅原が静かに口を開いた。


「校長として、一言よろしいでしょうか」


 柊は静かに頷く。


「お願いします」


 梅原は手元の資料へ目を落とした。


「今回提出された活動報告書、写真、新聞記事、感謝状、礼状を拝見しました」


「これらの資料から、エンジェル部が半年間にわたり継続して地域貢献活動を行ってきたことは、客観的に確認できます」


 一呼吸置く。


「また、活動先の皆様から寄せられた感謝の言葉や、子どもたちからの手紙には、数字では測ることのできない教育的成果が表れていました」


「奉仕を通じて、人との関わりを学び、社会へ貢献する心を育てることも、学校教育の大切な役割です」


「校長として、この活動には高い教育的価値があると考えています」


 正義は静かに校長を見つめた。


 しかし。


 理事長の柏木が口を開く。


「校長先生のお考えは、私も理解しています」


「私も、エンジェル部の活動そのものを否定するつもりはありません」


 一呼吸置く。


「ですが、学校は教育機関であると同時に、一つの組織です」


「規則は、すべての部活動に対して公平でなければなりません」


「今回だけ特例を認めれば、他の部活動との公平性を失います」


「理事長として、その判断を下すことはできません」


 再び静寂が訪れる。


 教育。


 公平性。


 二つの価値観が、会議室で静かにぶつかり合っていた。


 正義は唇を強く噛み締める。


 委託事業書類。


 会計資料。


 活動報告書。


 新聞記事。


 感謝状。


 子どもたちからの手紙。


 半年間積み重ねてきた、すべての証。


 それでも。


 規則という最後の壁だけは、どうしても越えることができなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ