第110話 査問会議の知らせ
始業式ミサの準備を終えた三人は、部室で一息ついていた。
夏休み最後の日。
長かった夏も終わりを迎えようとしている。
穏やかな時間が流れていた、その時だった。
バタバタと廊下を走る足音が聞こえる。
勢いよく部室の扉が開いた。
「桜木!」
「竜胆!」
「日向夏!」
三人は驚いて振り返る。
そこには息を切らした担任の松田茂が立っていた。
「松田先生?」
栞が立ち上がる。
松田は肩で息をしながら三人を見渡した。
「三人ともいるな?」
「はい」
正義が答える。
松田は一呼吸置くと、真剣な表情で口を開いた。
「さっき職員会議が終わった」
「明日、エンジェル部に関する査問会議が開かれる」
一瞬。
部室の空気が張り詰めた。
「査問会議……?」
凪が思わず聞き返す。
松田は静かに頷く。
「ああ」
「エンジェル部の今後について話し合う会議だ」
正義は思わず拳を握り締めた。
先ほど職員室前で耳にした教師たちの言葉が脳裏をよぎる。
――評価対象外。
あの言葉と、この査問会議。
決して無関係ではない。
栞も表情を引き締める。
「先生……」
「私たちはどうすればいいんですか?」
松田は三人を見つめ、静かに答えた。
「今まで通りでいい」
「お前たちは、この夏休み、本当によく頑張った」
「その事実は変わらない」
三人は黙って頷く。
地域清掃。
保育園。
老人ホーム。
炊き出し。
病院慰問。
夏祭り。
この夏休みに積み重ねてきたすべての活動。
その価値が問われる時が、ついに訪れようとしていた。




