38/48
第32.5話 延期
誠が家に帰ると、部屋では昌大が待っていた。
「なんだ、来てたのか」
「呼び出したのは誠だろ!」
「あぁ、そっか」
誠は思い出したように言って、いたずらっぽく笑う。
「おいっ! ……で、理緒ちゃんは? 今日は呼んでないの?」
「いや、友達とメシ食ってた」
「そっか……じゃあ来れないね」
「だから、一緒にメシ食ってきた」
「なんでそうなるんだよ! だから遅かったのか!」
「そういうこと」
「どういうことだよ……。じゃあ、食べてないの僕だけかよ」
「そうだな」
「……はぁ」
昌大は大げさにため息をついた。
「じゃあ、一回家帰ってメシ食べてくるわ」
「今日はナシでいいや」
「え?」
「戻って来なくていいぞ」
「僕、お前のこと一時間以上待ってたんだぞ?」
「悪い悪い」
誠態度は全く悪そうではない。
昌大は玄関で靴を履きながら、ふと振り返った。
「……誠、お前さ」
「ん?」
「それ、もう結構好きだと思うよ」
「は?」
誠は眉を寄せる。
昌大は、にやっと笑った。
「いや、いいや」
そう言って、そのまま部屋を出ていく。
玄関の扉が閉まり、部屋が静かになった。




