表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まだ恋とは呼べない距離で  作者: rio
大学生編
PR
36/48

第31話 朝の情報番組と社内恋愛

翌朝。


スマホにセットした目覚ましの音で、理緒はゆっくり目を覚ました。


見慣れない天井。


一瞬だけ、自分がどこにいるのか分からなくなる。


それから昨夜のことを思い出し、理緒は小さく息を吐いた。


――本当に泊まったんだ。


ベッドから起き上がり、寝室を出ようとしたところで、ふと足を止める。


借りたスウェット姿のまま出るべきか、先に自分の服へ着替えるべきか、少し迷った。


でも、洗面所を借りるタイミングも分からない。


それに。


何となく、もう少しこのままでいたい気もした。


理緒は小さく首を振る。


「……顔だけ先に洗おう」


小さく呟き、寝室の扉を開けた。


リビングでは、誠さんがコーヒーを飲みながらスマホを弄っていた。


理緒に気付くと、こちらを見る。


そして開口一番、


「ぶかぶかじゃん」


理緒は少し気恥ずかしくなった。


「……おはようございます。それ、最初から分かってたじゃないですか」


「おはよう。まぁ、そうなんだけどさ……」


誠さんは途中で言葉を濁す。


「……?」


「いや、別に」


そう言って、誠さんは視線を逸らした。


何なんだろう。


そう思ったものの、理緒は深く考えないことにする。


「洗面所、お借りしてもいいですか?」


「どーぞ。洗顔フォームとかも適当に使っていいから」


「ありがとうございます」


理緒は軽く頭を下げて洗面所へ向かった。


顔を洗って戻ると、テーブルの上には、誠さんが新しく淹れてくれたと思われるコーヒーが置かれていた。


誠さんは、ソファで寝ている昌大さんを足で軽く踏みながら起こしている。


「昌大。朝飯食うぞ」


「痛い痛い痛い……起きるからぁ……」


理緒はその様子を見ながら、小さく口を開いた。


「朝食、もう食べますか? ……冷蔵庫開けてよければ、お弁当温めますけど」


「あー、助かる。サンキュ」


理緒はキッチンへ向かい、冷蔵庫からコンビニ弁当を二つ取り出す。


電子レンジへ入れて温め、その間に自分の朝食用に買っていたパンを持ってきた。


やがて朝食が揃い、三人でテーブルを囲む。


「いただきます」


どこか気だるい朝の空気の中、三人は静かにもぐもぐと食べ始めた。


誠さんは、おもむろにテレビを点け、朝の情報番組へチャンネルを合わせる。


映し出されたのは、いつも理緒が家で見ている番組と同じだった。


理緒はぼんやりと画面を見つめる。


初めての外泊。


初めて来た男子大学生の部屋。


なのに。


不思議なくらい、何でもない朝の景色に見えた。


―――


朝の身支度を終え、理緒は玄関へ向かう。


「……お邪魔しました」


すると、リビングから昌大さんがひょこっと顔を覗かせた。


「また来てねー」


「お前の家じゃねぇだろ」


すかさず誠さんが突っ込む。


理緒は思わず小さく笑った。


「……ありがとうございました」


扉を閉める直前まで、二人の楽しそうな会話が聞こえていた。


―――


「えー。でも、誠だって“また来てほしい”って思ってるだろ?」


理緒が帰ったあと。


部屋では、そんな会話が続いていた。


「そりゃ、戦力になるからな」


誠はコーヒーを飲みながら、何でもない調子で返す。


「そういう意味じゃなくてさぁ」


昌大はニヤニヤしながら続けた。


「理緒ちゃん、彼女にしたいんじゃないの?」


「そんなんじゃねぇよ」


即答だった。


「そっかー……」


昌大は意味ありげに頷く。


「前に、“会社が軌道に乗るまでもう彼女作らねぇ”って言ってたもんな」


「あぁ」


「じゃあ、僕が理緒ちゃん狙ってもいい?」


「ダメだ」


またしても誠の返答は早かった。


「なんでだよぉ」


「会社内で恋愛なんかしたら、面倒起きるだろ」


「じゃあ誠も、絶対理緒ちゃんに手出さないんだ?」


「……あぁ」


「絶対?」


誠は少しだけ黙る。


それから、コーヒーを飲みながらぼそっと言った。


「……多分な」


「ちょっと! それは違くない!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ