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まだ恋とは呼べない距離で  作者: rio
中学生編
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15/48

第14話 着信とカレンダー

毎日20時20分更新予定

中学生編完結まで執筆済み

全50話前後を予定しています

夕食を終えて、ベッドで寛いでいると、机の上のスマホが震える。


理緒の胸がトクンと鳴る。

起き上がって、小さく息を吐くと、机の上のスマホを手に取り、画面を見る。


表示された名前に、指が止まる。


——藤森先輩。


目を瞑る。

息を整えてから、メッセージを開く。


«8/10はあいてる?»


短い一文。


理緒は、その文字をしばらく見つめる。


部屋のカレンダーの日付を確認する。

何も書いていない。


——大丈夫。予定はない。


そう思うのに、指が動かない。


一度、画面を閉じてスマホを机の上に戻すと、ベッドに倒れ込む。


ふぅと息を吐いて考える。


「……1ヶ月……後……」


目を瞑って気持ちを整える。


起き上がり、机の上のスマホを開くと、文字を打ち込む。


«あいてます»


送信。


画面を閉じて、すぐ机の上に裏返して置く。

なんとなく、画面を見るのが怖くて。

でも、スマホから目を離せない。


すぐにスマホが震える。

胸がキュッとなる。また息が乱れる。

スマホに手を伸ばし、通知を確認する。


——藤森先輩。


ゆっくりとメッセージを開く。


«8/10まで、隣町の中央図書館で森川花笑の企画展やってるらしいんだ。好きだったよね»


その一文に、目が止まる。


——覚えててくれてる。


以前、図書室で話したこと。


理緒はゆっくりと指先を動かす。


«好きです»


一度、そこで止まる。


読み返して、


数秒だけ考えてから、


«行ってみたいです»


と付け足す。


送信。


今度は少しだけ間が空く。


その間、意味もなく画面を見続ける。


やがて、


«じゃあ、14時に時計公園で待ち合わせでどう?»


通知が届く。


理緒は一度画面を閉じる。


そして、すぐにまた開く。


——14時。


頭の中で、当日の流れをなんとなく思い浮かべる。


特に問題はない。


なのに、すぐには打てない。


メッセージ画面を開いたまま、数秒。


«楽しみにしてます»


と打って、


少しだけその文字を見つめる。


——これでいい。


一瞬だけ迷って、


そのまま送信する。


すぐに返信が来る。


«図書館の後、カフェ行きたいんだけど、いい?»


その一文を読んで、


胸の奥が、わずかに揺れる。


理由は分からない。


ただ、さっきより少しだけ意識が向く。


カフェ。

図書館のあと。


頭の中で、並んで歩く光景がぼんやり浮かぶ。


すぐに打てるはずなのに、


また少しだけ時間がかかる。


«大丈夫です»


短く打って、送信。


やり取りはそこで途切れる。


理緒はしばらく画面を見たままになる。


やがて、ボタンを押して画面を消す。


——これでいい。


そう思う。


でも。


数秒後、もう一度スマホを開く。


特に新しい通知はない。


分かっているのに、


なぜか、何度も確認してしまう。


画面を閉じる。


今度はそのまま机に置く。


胸の奥に、さっきとは違う感覚が残っていた。


連絡先を知っている。

約束をした。


それだけのこと。


——なのに。


さっきよりも、少しだけ落ち着いている自分がいる。


理緒は小さく息を吐いてから、カレンダーの8月10日にしるしを付ける。

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