39 続きからはじめる(1568年2月11日 織田家)【義昭とゆかいな仲間たち】
『1568年2月11日 織田家――』
織田軍垂井本陣――夜
義昭とそのゆかいな仲間たちが、ここ垂井本陣まで来た。
何で……?
『垂井の戦い』自体は史実には無い。
なので周りの行動もまた変わるだろう。
けれど。
義昭はそもそも戦場に来るようなタマじゃない(はずなんだけど…)。
何しに来たんだ??
そう思いつつも、とりあえず本陣内の最上座は空けて下座に座った。
「信長殿!御見事だ!!」
義昭公が大声を挙げながら陣幕をくぐり入ってきた。
細川藤孝と明智光秀も後に続いて入ってきた。
「ははっ。義昭様の御威光あってのこと。
ありがたく存じまする」
大仰に言って頭を下げた。
言うのはタダだしね。
義昭は上座の床几に腰掛け、藤孝と光秀はその左右に立った。
「何をなにを。いやはや大したものだ。
防いだだけでなく、兄上の仇まで取ってくれようとはな」
義昭がはしゃぐように褒め称えている。
義昭の兄――足利義輝。
室町幕府の第13代征夷大将軍。
公方様でありながら、剣豪将軍とも呼ばれ剣の達人でもあったが、三好義継や三好三人衆らの軍勢によって京都二条御所にて討たれていた。
「ははっ。ありがたき御言葉にございます」
更に深く頭を下げた。
「ところで……このような場所まで御出であそばされましたのは何事でございますか?」
ちょいと頭を上げて上目遣いで問うた。
「それよ」
義昭の目がすーっと細くなり、温和な表情から能面のような表情に変わった。
「……信長殿。このまま上洛されるのか?」
やはりそれか。
視線を下に外して答える。
「は……我らも先程からそれついて軍議をしておりました」
「それで?」
「いまだ結論には至っておりませぬ」
間髪入れず
「何を悩む」
「は……」
続ける。
「確かに三好勢は混乱しており、京までの途上に敵はございませぬ。
天の理はこちらにございます」
「うむ」
「されど、此度の戦いにて此方の被害も大きく、また美濃全体おいても……」
「信長殿」
義昭が口上を遮った。
「上洛は今を置いて他にあるまい」
ふと目線を上げて義昭の顔を見た。
―なんだ、このプレッシャーは。
「天の時、地の利、人の和」
義昭。
「すべてはこちらじゃ」
「は……」
「ただ、信長殿の言われる通り、織田家は美濃を手にしたばかり。
人も足りぬであろう」
義昭が前のめりになる。
「そこでじゃ。我が足利家も当然ながら助力いたす」
助力?
まだ義昭は征夷大将軍宣下を受けていない。
御教書や御内書(※下記参照)を出したところで……
「人を出そうぞ」
義昭が明るく言う。
人……?
「このまま上洛せよ。途上の南近江と京周辺については、たちまち藤孝と光秀に治めさせようぞ」
―何ですって?
私と同じように伏せていた家臣たちが驚いて頭を上げた。
ざわつく。
「我らは財力と兵力いずれも足りぬが、人は居る。
なに遠慮はいらぬ。藤孝と光秀ならば無事に預かること相違ない」
―してやられた。
名目は一時預かり。
ただ、征夷大将軍になれば全ての権力は義昭の一極集中だ。
実効支配したのち、適当な理由をつけて領地召し上げなど雑作もない。
史実でもないぞ、こんなの……。
義昭がこれほど鋭く、また胆力があるとは思わなかった。
「その御言葉大変ありがたく、恐悦至極に存じまする」
そう言って深く頭を下げると、家臣たちもそぞろに頭を下げた。
「されど――」
―そんな事にはさせない。
「義昭様、並びに御家中の方々に御手をわずらわせる気は毛頭ございません」
頭を上げる。
続ける。
「織田家には多くの頼もしい家臣が居ります。
2国、3国増えようとも、我が家臣たちは義昭様の御期待に応えて身命を賭して統べてみせます。御安心くださりませ」
「……信長殿、」
「者共!」
義昭公の言葉を遮り、立ち上がると振り向いて声を張り上げた。
「お聞きしたな!
義昭様に御不安をお与えしたのは儂が未熟がゆえじゃ!
今、決した!
我らはこのまま義昭公を京にお連れする!
そして義昭様の御不安を払拭すべく、儂の為に命を懸けて働いてくれ!!!」
「「「おおーーーー!!!」」」
そして再び義昭の方を向き、膝をついて
「義昭様の御言葉、この信長、震えるほど感激いたしました!
そこまで織田家の事をお考え頂いていたとは……。
我が家臣たちは某と違い、いずれも優れた"もののふ"達でございます。
必ずや京へお連れ致します!!」
そう言って深く深く、頭を下げた。
「……うむ、よろしく頼むぞ」
能面のような顔そのままで、義昭公は藤孝と光秀を引き連れて本陣を出て行った。
「……ふう」
義昭らが出て行ったのち、思わず大きく息を吐いた。
疲れた。
超疲れた……。
「「「殿」」」
振り向くと……
なぜか皆が泣いていた。
―え?
「殿!我ら家臣一同、殿に死ぬまでついて参ります!」
泣きながら勝家が叫んでひれ伏す。
「某、感激いたしました!
必ずや殿を京まで無事にお連れ致します!!」
秀吉まで。
「う、うん。皆の者頼むぞ」
若干引きながら応じた。
すると。
―織田信長
―知力:82 → 83
―魅力:83 → 85
増えた。
いや、義昭の好き勝手にされてたまるかーと思って言っただけなんだけどね……
まいっか。
「よし。既に吹き飛んだ感もあるが……皆今日は本当によくやった。
今夜はゆっくり休み、明日から上洛の準備に取り掛かってくれ」
「「ははっ」」
こうして夜は更けていった。
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―やりおるわ。
義昭は、居を構えた、本陣から少し離れた禅寺へ着いた。
信長め。
上手く道化を演じて乗り切りおったわ……。
「やられましたな」
光秀が呟いて義昭の前に座った。
そう。
やられた。
俺ともあろう者が完全に。
上洛途上の南近江と京周りを手中に入れたのち、史実通り岐阜城へ引き返す信長を討つつもりだった。
そして一気に美濃と尾張、織田家の全てを吸収してやる腹積もりだった。
まさかこれほど機転がきくとはな……。
「まあよい。京へ上り将軍職に就ければすべて取り返せる」
そう言って、出されていた濁酒の盃を一気に呷った。
「すべては、これからだ」
もう、甘く見ない。
※御教書…征夷大将軍の命令や意思を伝える公式文書。
※御内書…征夷大将軍個人の直筆やそれに準ずる形式の文書。
ちなみに、みんなが泣く中、竹中半兵衛だけは素面でした。
半兵衛くんはどこまでもクールです。
<1568年2月11日時点>
―歴史乖離率:8.4%
―安定化モジュール:通常出力
―現実世界アンカー不安定率:不明(無効化処理済)
―管理者権限保有者:氷室真紀
織田信長(34)…統86 武63 知83 ↑ 政73 魅85 ↑【真紀】
織田信広(36)…統41 武66 知74 政69 魅80 【誠人】
柴田勝家(42)…統89 武88 知59 政69 魅84
丹羽長秀(33)…統79 武72 知80 政75 魅72
木下秀吉(31)…統75 武63 知80 政75 魅84
竹中重治(24)…統81 武34 知92 政88 魅82
林秀貞 (55)…統52 武44 知68 政72 魅57
前田利家(29)…統77 武83 知64 政43 魅72
滝川一益(43)…統79 武84 知71 政69 魅80
池田恒興(32)…統71 武73 知70 政74 魅76
足利義昭(31)…統91 武49 知93 政71 魅79 【恭祐】
明智光秀(40)…統75 武78 知81 政73 魅76
細川藤孝(34)…統72 武63 知86 政84 魅79




