37 続きからはじめる(1568年2月11日 織田家・三好家)【垂井の戦い-決着】
『1568年2月11日 織田家――』
織田軍垂井本陣――早朝
三好軍が総攻撃を仕掛けてきた。
こちらは事前の軍議で取り決めた通り、専守防衛。
関ヶ原と垂井の間の狭い平地箇所に防御陣を構え、それより後ろを本隊含め鶴翼で迎え撃つ。
しかし、三好軍の攻勢は想定以上だった。
柴田勝家、前田利家の守る先陣防御隊は、接敵したのちしばらくは耐えていたものの、予想より早く中央部が崩れた。
思っていた以上に、強い。
「伝令」
「はっ」
「勝家と利家に伝えよ。死ぬな、と」
「ははっ」
「頃合いを見て退くよう命じよ。死んではならん」
「ははーっ」
伝令がすぐに駆けていく。
稲葉山城攻めの感じだと、この距離なら私の統率力で5分もかからないはずだ。
3分後――
崩れた先陣の左右も退き始めた。
よし。
「鶴翼の陣形崩すな!守れぃ!!」
丹羽長秀が叫ぶ。
そして、先陣を抜けてきた三好軍が鶴翼陣形の織田軍と激突。
これもまた、強い。
勢いはハンパではない。
特に織田軍の右翼を守る池田恒興。
ここへの攻勢が激しかった。
「半兵衛」
「はっ」
「手勢1,000を率いて右翼へ行け」
「ははっ」
「半兵衛。死んではならんぞ。
そなたはこれから先の織田に必要だ」
「……ははっ」
竹中半兵衛重治は本陣を出て行った。
「某の方が良かったのでは……?」
信広が言う。
分かってる。
半兵衛よりは信広だろう。
けど、誠人を死のリスクの中に投じたくは無かった。
私は信広と目を合わせず戦場に目を向けたまま
「半兵衛でよい」
と、一言だけ返した。
そして本隊が接敵しておおよそ15分後――
ジリジリと織田軍が押され始めた。
空を見上げると、
『三好軍:16,145 対 織田軍:11,007』
の表示。
「殿!御下がりください!」
信広が叫ぶように言う。
「ならん。しかと構えよ」
私は床几から腰を上げる事も無く、そう返した。
―怖い。
とてもゲームとは思えないほど。
でも、ここで私が退くと、総崩れしかねない。
もちろん戦争の経験などない。
しかし、そうなることを予感させるものがあった。
それからまた10分後――
接敵したところからすでに200m以上は後退していた。
そろそろだ。
「信広、狼煙を上げよ」
「ははーっ!」
信広は駆けて行った。
そして、狼煙が上がった――。
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三好軍――三好政勝
もう一押しだ。
自分も何人か斬った。
大将が、とかどうでもいい。
ここで一気に押し切れば、勝てる。
空を見上げると
『三好軍:14,762 対 織田軍:8,194』
の表示。
ほぼダブルスコアになりつつある。
―いける!
そう思った時だった。
急に山が噴火した。
と、思えるほどの地響きと怒声、そして炮声。
何だ?何が起きた??
周りを見渡すと、右側の朝倉山の方に旗がいくつか見えた。
織田木瓜。そして千成瓢簞――
朝倉山から湧いた軍勢は、細長く、そして広がっていた三好軍の横っ腹を突いた。
鉄炮。
そして長槍。
前掛かりに目前の織田本陣を攻めていた先陣と、本陣の間が分断された。
そして――後方から。
政勝が振り向くと、そこにも旗が見えた。
三つ盛り亀甲花角――
浅井長政の旗印であった。
前方は横から突かれ大混乱している。
そして後方。
無防備だった後背を一気に突かれてこちらも大混乱が生じていた。
「政勝殿!退かれよ!!」
叫びながら岩成友通がやって来た。
―くそ…くそっくそっ!!!
すぐに応じられず、その場で地団駄をふんでいたその瞬間。
ターーーーーーン!!
その炮声が聞こえるとほぼ同時に、此方に駆けて来ていた友通が吹っ飛んだ。
「あ…………」
思わずその方向に向かって手を伸ばす政勝。
「岩成友通様!御討ち死に!!」
味方の方々から声が挙がる。
そして――
「その大将首!貰い受ける!!!」
それが、政勝がこの世界で聞いた最後の音だった。
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織田軍垂井本陣――
狼煙があがってのち、次々と伝令が飛び込んできた。
「木下秀吉軍、狼煙を上げてのちすぐに三好軍を急襲!」
「敵陣後方より御味方、浅井軍が到着!」
「三好軍、岩成友通殿討ち取ったとのこと!」
そして。
「滝川一益様、三好軍大将の三好政勝殿を御討ち取りなされました!」
空を見上げると
『三好軍:2,299 対 織田軍:19,153』
の表示。
どうやら浅井軍も合算しているようだ。
そして私は、最後の伝令を聞いてようやく床几から立ち上がった。
そして一言。
「よし!!」
本陣が、勝利の歓声に沸いた。
おおよそ2時間後。
主だった武将たちが本陣に帰参してきた。
柴田勝家。
―魅力35 → 34
丹羽長秀。
―統率77 → 79
―武力71 → 72
木下秀吉。
―統率69 → 75
―武力58 → 63
―魅力84 → 86
竹中半兵衛重治。
(パラメータ変動無し)
前田利家。
―統率75 → 77
―知力62 → 64
滝川一益。
―統率76 → 79
―武力82 → 84
―魅力75 → 80
池田恒興。
―統率70 → 71
織田信広。
―知力72 → 74
そして。
織田信長。
―知力77 → 82
―魅力80 → 83
「皆、大儀であった!!」
「「「ははーっ!」」」
皆、ボロボロの格好ではあるものの、その表情は笑顔に包まれていた。
「殿!御見事な采配でございました!」
私の策は大きく2つだった。
岐阜城を出立する際に、林秀貞に命じた浅井長政への援軍要請。
戦場で後背を突かせるためだった。
そして戦場での専守防衛において、総攻撃が来た場合。
わざと先陣を突破させて本陣で受け止めたのち、徐々に下がり三好軍の戦列を長伸びさせ、そこに別動隊を突っ込ませること。
このどちらもが成功したのだった。
「皆もようやってくれた。
こうして生きて戻ってくれたことが何よりじゃ」
そう言うと、秀吉は涙ぐんでいた。
その瞬間――
視界の隅に表示が出た。
―歴史収束力
―観測対象減少
―歴史乖離率
―8.4%
減った。
どちらも。
「三好政勝と岩成友通。どっちだったのかな……」
信広が隣に来て小声で呟いた。
正直どちらでもいい。
ただ、会話したかったな……。
こうして、この世界でのちに語り継がれる「垂井の戦い」は終わった。
<1568年2月11日時点>
―歴史乖離率:8.4% ↓(-1.4)
―安定化モジュール:通常出力
―現実世界アンカー不安定率:不明(無効化処理済)
―管理者権限保有者:氷室真紀
織田信長【真紀】(34)…統86 武63 知82 ↑ 政73 魅83 ↑
織田信広【誠人】(36)…統41 武66 知74 ↑ 政69 魅76
柴田勝家 (42)…統89 武88 知59 政69 魅84 ↑
丹羽長秀 (33)…統79 ↑ 武72 ↑ 知80 政75 魅72
木下秀吉 (31)…統75 ↑ 武63 ↑ 知80 政75 魅84
竹中重治 (24)…統81 武34 知92 政88 魅82
林秀貞 (55)…統52 武44 知68 政72 魅57
前田利家 (29)…統77 ↑ 武83 知64 ↑ 政43 魅72
滝川一益 (43)…統79 ↑ 武84 ↑ 知71 政69 魅80 ↑
池田恒興 (32)…統71 ↑ 武73 知70 政74 魅76
足利義昭【恭祐】(31)…統91 武49 知93 政71 魅79
明智光秀 (40)…統75 武78 知81 政73 魅76
細川藤孝 (34)…統72 武63 知86 政84 魅79
三好政勝【孝明】(34)…討死




