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栗まんじゅう 2話

 芽衣(めい)は少しだけ悩んだように視線を動かし、自分が丸めた栗を見てぱっと顔を上げた。


「お父さんにあげたい!」

「……そっか、そうだね。芽衣もお手伝いしてくれたもんね」

「ふふ。気持ちが大事なのよね、こういうのは」


 美咲(みさき)が小さく首を縦に動かして、芽衣を見る。恵子(けいこ)はにこにこと笑う彼女たちを見て、ほんわかと胸の中が温かくなる。


(――おいしいまんじゅう作らないとね)


 ふたりの会話を聞きながら、恵子は小麦粉を足してお湯を注いだ。


「こんなにたくさん使うの?」

「皮は余ったらだんずにするからねぇ」

「だんずってなぁに?」

「小麦粉の餅さね。砂糖醤油で食べるとうんまいんだよ」

「芽衣はマヨ醤油のほうが良いかも?」

「どっちもおいしそう! 食べてみたい!」


 ちょうど良い柔らかさになった皮を手のひらに乗せて、くぼみを作り丸めた栗を押し込んで包んでいく。


「わ、けーこばぁば素早い!」

「慣れさね、慣れ。美咲ちゃんも慣れっとできるようになるべ」

「そうかなぁ……」


 美咲と芽衣は苦戦しているようだ。そのあいだに恵子は次々とまんじゅうを丸めていく。


 丸める前に大きな鍋にたっぷりの水を入れて火にかけていた。丸めたまんじゅうを茹でれば完成だ。


 ……そして、やはり皮は余った。だんずも作るつもりだったのでちょうど良い。


 平べったい丸型に成形していくと、芽衣が「これがだんず?」と聞いてきた。


 こくりと恵子がうなずくと、「……おいしいの……?」と怪訝そうに唇を尖らせる。


「好みだからねぇ、これも。まぁ、小麦が好きな人は美味しいんじゃないかねぇ?」

「とか言いながら、パクパク食べる芽衣の姿が想像できるわー」


 まんじゅうの皮に火が通るまで茹で、大皿に乗せていく。出来立ては熱いので注意が必要だ。だんずも一緒に茹でてもらい、冷ます。


「もう食べられるの?」

「熱いから気をつけんと」


 ちなみにまんじゅうもだんずも冷凍できるので、冷凍庫に余裕があるときが良い。五キロの小麦をすべて使い切るので、かなりの量になるからだ。


 手で持てるくらいまで冷まし、味見分の栗まんじゅうとだんずを食卓に並べる。


 砂糖醤油とマヨ醤油も用意した。


「とりあえず、栗まんじゅうから食べよっか?」

「いただきます!」


 わくわくとした表情で栗まんじゅうに手を伸ばす美咲と芽衣に、恵子は微笑んでうなずく。


 自分も栗まんじゅうに手を伸ばし、ふたつに割ってみるとふわっと湯気が見えた。


「まだほかほかだ!」

「気をつけて食べるんだよ」


 恵子もぱくりと食べた。皮はほんのりと甘く、栗しか入れていないので栗本来の味を楽しめるまんじゅうだ。


「美味しい!」

「おいしー!」


 目をキラキラと輝かせるふたりに、恵子はふふっと微笑む。


「それにしても、栗まんじゅうって栗の形してないんだね……」

「地元では普通のおまんじゅうよ。中身が栗だから、栗まんじゅう。地区によってはあんこも入れるみたい」

「町内でも全然違うよねぇ……」

「本当にね。地区によって違うから、いろんな人と話すと面白いよ」


ここまで読んでくださってありがとうございます!

少しでも楽しんでいただけたら幸いです♪

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