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栗まんじゅう 3話

 栗まんじゅうを食べたあとに、だんずに手を伸ばす。小さくちぎって、砂糖醤油につけて食べるのが恵子のお気に入りだ。


「おいしい!」

「本当? 良かったぁ」


 芽衣が目を見開いた。砂糖醤油につけて食べてから、マヨ醤油につけて食べるとぱぁっと表情を明るくする。どうやら、美咲の言う通り、マヨ醤油のほうが好みらしい。


「これ、冷凍したらどうやって食べるの?」

「レンジでチンして、オーブントースターで軽く焼くのよ。そうね、味噌を塗って焼いても美味しいわ」

「味噌? ああ、なるほど、串もちの串なしだ」

「そうそう。あれはくるみ味噌だけど、普通の味噌でも美味しいのよ。味噌に砂糖を混ぜて表面に塗って焼くから、焦げに注意しないといけないけど」


 地元の串もちは、小麦のもちにくるみ味噌を塗って炭火で焼いたものだ。


 田楽豆腐も一緒に売られている場合が多い。田楽豆腐は焼き豆腐ににんにく味噌を塗って焼くので、串もちとは味が違う。


 その他にも、そばもちというものもあり、これは串もちと同じような形でそば粉を使い作り、甘味噌を塗っている。


「……こうして考えてみると、地元の郷土料理って味噌を使うのが多いわね……?」

「ひゅうずも中身はくるみ味噌だしね。黒砂糖も入っているんだっけ?」

「そうそう。だから味噌と一言で言っても、いろんな味があるのよ」

「おいしいの?」

「芽衣ちゃんなら、美味しく食べられるかも」


 すべてに言えることだが、好みがあるだろうから、味噌が好きな人は一度試してみてほしい。


「東京だと田楽は豆腐じゃなくて、こんにゃくだったからなぁ」

「うちの子たちもそう言っていたわ。あと、お祭りのときにアユの塩焼きが売られてないとも」

「……地元から離れて知るよねぇ……」


 しみじみと話しているうちに、芽衣はぺろっとだんずを食べ終えたらしい。


「美咲ちゃん、だんず持っていってくれない? 私ひとりだと、何ヶ月もかかっちゃう」

「え、いいの? やった、ありがとう、けーこばあば」

  ぱぁっと明るい表情を浮かべる美咲に、恵子は柔らかく目元を細めた。


「元気になってきたねぇ」

「……? 元気だよ?」

「うん。元気が一番さね」


 美咲と話していると、ところどころまだ愛する人を失った傷が残っていると感じる。突然の別れだったのから、仕方ないだろう。


 ――でも、そんな彼女がこうして芽衣のためにがんばり、笑顔でいてくれることで、恵子は安堵した。


「じゃあ、これらを包んでくるわね」


 恵子は立ち上がり、自分が食べる分を除いた栗まんじゅうとだんずをフードパックに入れ始める。


(美穂ちゃんも結構好きなのよね、たらふくおあげんせ)


 心の中でそうつぶやきながら、ビニール袋に両方入れて美咲の前に置いた。


「ありがとう、けーこばあば。片付け手伝うね」

「芽衣も!」

「助かるわぁ」


 三人で仲良く片付けをすると、あっという間に片付く。


 熊谷家に戻るふたりを見送って、恵子はにこにこと微笑んでいた。


ここまで読んでくださってありがとうございます!

少しでも楽しんでいただけたら幸いです♪

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