3-17 女たらし
「それで、話し合いはどうなったの?」
役場でシルフ・セレン・コールの3人と合流した後、宿に戻った俺は早速3人にそう尋ねた。
「ギンジ、女には女の事情がありますのでそれを聞くのは無粋ですわよ」
セレンがそう言ってはぐらかす。
「事細かに聞くつもりは無いんだけど、おおまかな流れというか、とりあえずコールは一緒に行くことになったんだよね?」
「もちろん!あたしも一緒について行くわ。よろしくね、ギンジ。あ、ギンジって呼んでも大丈夫?」
「呼び方は問題ないけど。シルフも問題ないんだね?」
「はい。勝手に話を進めてすいません」
「シルフが謝ることじゃないわ!あたしがいきなり押しかけてきたようなもんだから。ギンジも男なんだから小さいこと気にしない!」
「小さいことか・・・?」
一緒に寝食を共にするパーティメンバーが増えることは小さいことなのか?元々コールを仲間に向かえることには肯定的だったがここまで急に馴染むとも思っていなかった。
「ちゃんと全員揃ってるから改めて挨拶するわ。あたしはコール。しばらく一緒に旅させてもらうわ。あたしとしては今のところずっと一緒でも構わないと思ってるんだけど一緒に生活してみないと分からないこともあると思うから。初めは馬車の隅にでも置いてもらって同行できればと思っていたけど、そうじゃなくてちゃんと仲間として一緒に行きたいと思ってるわ。よろしくね」
コールの挨拶にシルフとセレンがそれぞれ「よろしく」と返す。
「こちらこそよろしく」
俺も同じくそう言ってコールと握手をする。
「それであたしも今日からここに泊まっていいかしら?」
「この部屋だと俺も一緒に寝てるが問題ないか?」
「どうせ野営すれば同じことだし、初めから言ってるけどあたし覚悟はできてるから」
「コール、その話はいけませんわ。あなたが覚悟していても私達が許しませんわ」
「わかってるって!でももしギンジに押し倒されちゃったらあたしは抵抗しないわよ」
「それは仕方ありませんわね。ギンジ、そういうことを致したいならまずは私やシルフに相談してくださいね。もちろん、そういうお店に行かれる場合もですわ」
「そ、そういうお店って・・・ギンジさん、そういうお店に行くんですか!?」
若い男と女が一緒に生活しているからにはそういった話題も少なからずあるとは思うがここまで女の子側から振られると黒一点の俺としては上手く返せなくなってしまう。
「コールも押し倒さないしそういうお店も行かないから。というか基本的に俺たちは一緒に行動してるんだから。みんなに隠れて何かをするのは無理だよ」
「できたらしますの?」
「それは言葉の綾であって・・・」
「フフッ、セレン、あんまりギンジさんいじめちゃダメだよ」
「そうですわね。ギンジ、あなたが誰と何をするかはもちろんギンジの自由ですわ。私達が口を出せることではありませんの。ですがシルフと私の気持ちは忘れられては困りますわ」
「わかってるよ」
「それならいいんですわ。それで話を戻しますがせっかくこの部屋は4人部屋なんですしコールが一緒でも問題ないと思いますわ。バラバラに泊まってわざわざお互い行き来するのも不便ですし」
「じゃあ今泊まってる宿を引き払ってくるね。荷物はそんなに多くないから一人で大丈夫!」
そう言ってコールが部屋から出ていった。利便性で言えば確かにそうだな。お互いずっと宿に引きこもってるわけでもないから急に連絡が取れない場合もあるし無効は一人だからすれ違うと面倒だ。
「私は宿の人に泊まる人数が増えることを伝えて来ますね」
「ああ、ありがとう」
シルフがそう言って部屋を出て宿の受付の方に向かう。
「それで、どこまで話をしたの?」
部屋に俺とセレンだけになったのでそう尋ねる。
「ギンジが心配しているようなことはまだ言ってませんわ。私とシルフの身の上話を少々。3人ともちょっとずつ事情が違いますからそれぞれ同情し合う形になったんですわ」
「でもそうなると俺の力も話さないと説明つかないんじゃ?」
「どうせ一緒に連れて行くとギンジが言っていたので早いか遅いかの問題でしょう。話しててはいませんが少しは察していると思いますわ」
無力な女の子が救われたからと男について旅をしているんだ。しかも片方は街の領主の娘、そうなるとその男に何か特別な力があると思っても仕方ないよな。実際そうなんだし。
「セレンの目から見て信用できると思ったんだね?」
「嘘をついてるとは思っていませんが信用しているわけではありません。あくまで同情ですわ。ギンジとシルフだって初めから私とお父様を信用していたわけではないでしょう?」
「そう言われるとそうだな」
「コールは茶化して抱かれる覚悟と言っていますが、ギンジに声をかけるのもかなりの勇気が必要だったお思いますわ。その勇気に応えたいと思いましたの」
セレンの言う通りだ。コールの話し方のせいで軽く感じてしまうが男に抱かれても仕方ないなんて相当な覚悟だ。
「これでギンジのハーレムにまた美少女が加わりましたわね。気分はどうですか?」
「可愛い女の子と旅をしてるのは楽しいよ。でも今は責任感の方が大きいかな」
「それはもちろんですわ。複数の女を囲うんですもの。責任感は持っていただかないと。楽しい部分に関しては私たちが大人になるまでもう少し待っていてくださいませ」
「その時を夢見て頑張るよ」
「あっという間ですわよ。その時には女の子が何人になっているか少し不安ですが」
「そんな人を女たらしみたいに」
「女たらしですわ。ねぇシルフ?」
セレンがそう声をかけると部屋の外からシルフが入って来る。
「もう入っていいの?」
「大丈夫ですわ。ギンジ、シルフだってちゃんと分かってますから、私だけでなくてシルフとも話をしないとダメですわよ」
「そうだな。シルフ、コールとはうまくやれそうか?」
「わかりません!ですが、コールさんが今も教会から出ずにいたらどうせいつかはギンジさんに拾われていたと思います」
「拾うって・・・」
「まだ15歳になってないのに自分で教会を飛び出して、それでギンジさんを見つけたんです。すごい人だと思いますしギンジさんに見つけてもらった私とセレンと違って自分でギンジさんを見つけたのは・・・少し羨ましいです」
「あら、私は見つけてもらったというよりはお父様が捕まえて来ましたわ。私からすると見つけたのも見つけてもらったのも羨ましいですわ」
「フフッ、そういえばそうだったね。そう思うとセレンはカーティラさんに感謝しないとね」
「お父様お母様への感謝は生まれてからずっとですわ。もちろんギンジとシルフにも感謝しっぱなしですわよ」
そう言ってセレンはシルフに抱きつく。うん。いいですね。美少女のハグ。
「それでシルフ、ギンジの女たらしっぷりに関してはどう思います?」
「でも、そんなギンジさんのおかげで救われたからね。仕方ないよ」
「そうですわね。仕方ないですわね」
そう言って二人がこっちを見る目線はいつもよりすこし冷たい呆れたような目だった。
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