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3-15 コール

 役場で借りた一室の中で俺とセレンと節末祭で知り合ったコールの3人は会話を続けていた。



Q.14歳って言ってたな。出身は?


「ジェドウィックよ」


Q.仕事というか、稼ぎは祭りの時みたいな出店で稼いでるのか?


「そうね。それに祭りじゃなくても氷を買ってくれる人はいるわ」


Q.両親・・・いや、家族は?


「肉親はいないわ。あたし教会出身なの」


Q.魔法は教会で教わったの?


「魔法は物心つくころには使えたわ。だから誰かに教わったわけじゃないの」


Q.氷以外にどんな魔法が使えるんだ?


「使えないわ」


Q.魔法教師になろうとはしなかったのか?


「もちろんなろうとしたわ!でも公認はもらえなかった。それでも氷の魔法なら教わりたい人もいると思ってね、やってみようとしたんだけど魔法を誰かに教わったことがないから上手く教えられないのよ」


Q.これから俺たちはジェドウィックに向かうつもりだけどそれでもついてきたい?


「うっ・・・まぁあまり乗り気ではないけどジェドウィックで置き去りにされないなら構わないわ」



 いくつかの質問に答えてもらって俺は少し考え込む。隣を見るとセレンも先ほどまでとは違って思うところがありそうだ。


「質問は終わりかしら?」


 俺たちが黙ってしまうとコールがそう尋ねてきた。


「そうだな。セレンは何かあるか?」

「いえ、大丈夫ですわ。目の前で話を聞いている私よりシルフさんの意見を聞きませんと」

「そうだな」


 俺たちがここでどんな話を聞いても結局は宿で待っているシルフの話を聞かないと答えは出せない。


「あの銀髪のお姉さんはシルフっていうのね」

「ああ。それでこちらからの質問ばかりになってしまったがコールは聞きたいことは無いのか?」

「無いわけじゃないけど、変なことを聞いて心象を悪くしたくないわ」

「気持ちはわからんでもないが、それは問題を先延ばしするだけにならないか?」

「じゃあお言葉に甘えて質問しようかしら。ただ先に言っとくけどあたしにとってあなた達より都合のいいパーティなんて多分見つからないからどんな答えでもあたしの気持ちは変わらないわ」


 たしかに女性だけのパーティは戦士や商人、旅人でもほぼ見かけない。というか俺たちみたいな女性が多いのも珍しい気がする。


「あなた達、稼ぎはどうしてるの?」

「狩りや採集だな。行き当たりばったりだから今のコールよりも将来性は無いぞ」

「移動は?徒歩?」

「馬車を持ってる。1頭立てだから小さいものだけど」

「何の為に旅をしてるの?」

「観光と自己満足と慈善事業だよ」

「よく分からないわね。観光はわかるし自己満足っていうのも突き詰めれば自分の人生すべて自己満足みたいなものだし。慈善事業って何かやってるの?」

「簡単に言うと'恵まれない子に愛の手を'ってやつだな」

「教会に寄付でもしてるの?」

「金で解決するならそれもアリだと思う。俺が出せる金額なんてたかが知れてるけどね。だからどっちかっていうとお手伝いとかになるかな」

「それだって3人しかいないんじゃできること限られてるでしょ・・・まぁいいわ。目的はそれだけ?一攫千金のお宝探しとか人探しとかそういうのではなく?」

「お宝探し!いいね。そういう話があるなら興味はあるよ。ただ俺は平穏に生きていきたいからね。身の危険があるなら憧れるだけにしておくよ」

「思ったより夢のない男ね。というよりあなた達の旅の理由がよくわからないわ」

「観光だと言っただろう。色んな街に行ってみたいんだ」


 嘘ではないが肝心な部分は伏せているのでコールも納得していないようだ。だがこれを説明すると俺の()()()()がバレてしまうしそうでなくても魔法を覚えるのと教えるのが上手すぎるのがバレてしまう。


「セレンさん、でよかったかしら」

「はい、なんでしょうか?」

「あなたが旅をしている理由は?」

「もちろんギンジについていく為ですわ。(わたくし)はギンジの嫁になると決めておりますので。それが半分」


 言いきったな。もちろんセレンの好意は嬉しいしこういってはっきり口に出すところもすごいと思う。


「残りの半分は?」

「それはコールさん、あなたが旅をしようとするのと同じ理由ですわ」

「あたしと同じ?」

「ええ。自分が何者なのか、自分に何ができるのか、自分がどうやって生きていくのか、それを探しておりますの」

「・・・」

「ギンジ、(わたくし)はコールさんを連れて行くのは構いませんわ。それに隠し事も必要ない気がします」

「ほ、本当!?」

「セレン、そうは言ってもだな」

「もちろん無条件というわけではありませんがどちみち説明するためには必要なこともありますからこちらにも利益はあるでしょう?」


 魔法の習得に関してはその通りだ。コールの魔力共有をしてもらって氷の魔法を教われば俺は氷の魔法が覚えられるしコールも俺の魔法習得の早さを知ることとなる。


「隠しごとというのを無理に聞くつもりはないけど、パーティに入れてくれるなら秘密は守るしあたしにできることはできるだけするわ。さっきも言ったけど体を差し出すくらいの覚悟はあるの。もちろん抱くだけ抱いて捨てられたら困るけどね」

「ギンジはそんなことしません!抱きませんし捨てませんわ!」

「た、例えばの話だから!もちろんセレンさんとシルフさんに迷惑がかかるならギンジさんとそういったことはしないよ」

「もちろんですわ。コールさんがギンジを好きになって、ギンジがそれに応えるならそう言った行為も仕方ないと思いますが。それでも順番は守っていただきますわ」


 俺の貞操はすっかりセレンに管理をされているようだ。


「んんっ、とにかくだ。コールの話は分かったから前向きに検討してみる。もちろん今からシルフを交えて3人で相談してからになるがそれでいいな」

「もちろん、あたしとしてはここまでちゃんと話を聞いてもらえただけで助かるわ」

「それじゃああまり待たせるのも何だから明日には答えをだすよ。明日の・・・そうだな、昼過ぎくらいに役場で待ち合わせでもいいか?」

「わかったわ」


 そうしてコールと明日もう一度会う約束をして俺たちは役場を出て別れた。


「あの人もギンジの助けたい対象になるのではないですか?」


 宿への帰り道、セレンがそうつぶやく。


「そうだな。知らなければこちらから助けるほど切迫しているようでは無さそうだけど」

「それに見た目も可愛いですもんね」

「それは!関係なくもないけど」

「はぁ。コールさんの気持ち次第ですが3人目でしょうか・・・」

「それは俺に聞かれても」


 そんな会話をして宿に戻る。


 宿泊している部屋に戻るとシルフがすました顔をして椅子に座っている。シルフの前にある机には液体の入った瓶が3本置いてあった。


「ただいま、もしかしてそれはシルフが調合したのか?なんの薬だ?」

「おそくなって申し訳ございません」

「ギンジさん!セレン!おかえりなさい!そうです!これ試しに作ってみたんです!魔物避けの薬で野営の時とかに使えるかなって」

「おお、すごいな!」

「本当ですわ。いきなりうまくいきましたのね!」


 そう言って俺とセレンは瓶を手に取って眺める。


「素材を混ぜるだけの簡単なものだったから。うまくできたかわかんないから明日にでも魔道具屋さんで見てもらおうかなって」

「そうだな。レシピをくれた人だし実際に扱ってる人に見てもらうのが一番いいだろう。明日早速行ってみよう」

「はい!それでギンジさんとセレンは今日は何をしてたんですか?」

「それでだな、シルフに話すことがあって」

「なんでしょう?」


 それから俺とセレンは今日あったことを話した後、コールに旅の同行をお願いされた話をシルフに説明した。

読んでいただきありがとうございます。


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色んな人に読んでいただけると嬉しです。


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