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3-7 ケルソンバート

「やっと着きましたわ~!」


 御者台のセレンが指さす先には俺たちの目的地である街が見えてきている。と言ってもすでに周りには何台も馬車が同じ方向に向いて走っているし街の入口では橋を渡った時のように並ぶことになりそうだ。


 俺たちは橋を渡った後、野営で1泊、宿場町の宿で1泊、またまた野営で1泊して予定通りの日程で街に到着した。ただ思っていたよりも街を出入りする人が多く入るのは少し苦労しそうだ。

 さすがに荷台で眠ったまま街に入るのは味気ないし何か手続きがあったらどうせ起こさないといけないので3人とも起きたまま街へ向かう。


 街の入口の門で衛兵にプレートで前科チェックと軽い荷台の点検をされたが特に問題なく通れそうだ。


「しばらくこの街に滞在するつもりなんですがそういう場合って馬車はどうすればいいですか?」


 馬車で移動するのは今回が初めてだし、分からないことは素直に聞くのが一番手っ取り早い。常識知らずとか世間知らずと言われても気にしなければ効率が良い方を選ぶのが吉だ。


「この大きさなら馬車ごと泊まれる宿もあるよ。もし馬車ごとは無理でもその場合は宿の人に預かってくれるところを紹介してもらいな」

「このまま街の中を馬車で移動して大丈夫ですか?」

「今日と明日ならゆっくり歩くくらいの速さなら問題ないよ。もちろん歩いてる人、特に子供には気を付けてな」

「わかりました。ちなみに明後日からはダメなんですか?」

「3日後は節末祭だ。さすがに人の出入りを考えると街の中を馬車で移動するのは簡便してほしいな」

「節末祭か!」


 そうか。うっかり忘れていた。もうそんな時期か。そう思うと今の街の人の多さや賑わいもそのせいな気がしてきた。普段のこの街の様子は知らないけど。


「節末祭と前日は例えば宿に馬車を停めていたら動かすのは難しいですかね」

「早朝や深夜ならできなくもないが止めておいた方がいいな」

「ありがとうございます。気を付けます」

「丁寧な兄ちゃんだな。これくらい構わないよ」


 俺たちの対応をしてくれた衛兵さんは親切な人だった。


「ケルソンバートにようこそ」


 そう言って俺たちを街の中へ入れてくれた。



 街に入った俺たちはとりあえず宿を探す。速度も出さないので俺は荷台から降りて馬の横を歩いて2人に御者台に座ってもらっている。これなら急に馬が歩行者にぶつかりそうになっても防げるだろう。


 初めに見つけた宿は馬車ごと泊まれなかったので停めれる場所を聞くと馬車ごと泊まれる宿を案内された。客を他の店に回してもいいのか?と思ったが節末祭の近いこんな時期に客に困ってはないようだ。当てもないので紹介された宿に向かう。

 紹介された宿では馬車を置くスペースが庭にありそれとは別に小さな馬房もあったので馬はそっちに預ける。馬の世話は自分たちでしないといけないが全員が宿を離れるときは声をかけておけば餌と水くらいは与えてもらえるらしい。

 せっかくなので節末祭は見ていこうと3人で話し合い宿の方は4泊以上でお願いする。連泊することと4日分は先払いすることを話すと少し広い部屋を用意してくれた。正確には4人部屋だな。3人部屋はなかったので2部屋とるつもりだったが4人以上の部屋を一組の客で使うのも難しいことが多いみたいなので3人分の料金でその部屋を借りれることになった。

 馬車に積んでいた荷物を部屋に運んで軽く休憩をした後、とりあえず街を一通りめぐることにした。

 ちなみにこの宿には風呂が無かったし、風呂がついている宿も無いとのことだった。


 街に繰り出した俺たち3人はまず役場に行って狩りや採集をできる場所を聞く。ここは結構流通がさかんな街のようで荷物運びやそれの警護の依頼が多くて単独での狩りや採集を行っている人は少ないようだ。それでも近くの森や俺たちが渡ってきた川のところの話などをされた。しかし川までは3~4日かかるからな。情報は教えてもらうが川の方へは行くつもりはない。主な採集スポットを聞いて役場を出る。魔物もそんなに危険なものはいないようだ。黒狼ってヘルムゲンだけじゃなくて普通に危険な魔物だったことを知る。


 役場を出た後は魔道具屋へ。移動中に見かけたいろんな店でちょっとずつ買い物をする。ほとんどが馬車での移動中や野営中に欲しかったものだ。荷台で使う枕や外で見張りをする時に使う毛布のようなものや調理器具なども見て回った。


 魔道具屋はそれなりの大きさだったがリアンクルよりは小さかった。やっぱり獣人が主な住人のリアンクルは魔道具の需要が高いのだろう。逆にこのケルソンバートには魔法を使える人が多く住んでいるのかもしてない。新しい魔法を教えてくれる人いないかな。

 この店では先ほど役場で教わった採集場所で取れる素材の買い取り価格や需要をシルフが店員に尋ねている。役場でも言っていたがやはり採集を積極的に行う人が少ないのか図鑑のような本を持ってきて丁寧にシルフに教えている。教えてもらっているシルフも真剣だ。セレンもリアンクルで採集をしていた時にシルフを手伝っていたし植物のことも教わっていなのでここでもシルフの横から覗き込んで一緒に話を聞いている。

 俺は植物のことが全然分からないので2人が教わっている後ろで店内の商品を見ていた。

 2人が説明を聞き終えたのでまた来ますとだけ挨拶をして魔道具屋を出た。


「今日はもうそろそろいい時間だし街の散策は明日以降にしておこうか」

「そうですわね。夕食は宿でとりますの?」

「とりあえず今日はそうしておこうか。泊まってる宿の食事の味も知っておきたいし」


 そうしてまだ少し早い時間であったが俺たちは宿に戻って夕食をとることにした。

読んでいただきありがとうございます。


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